五賢人 加藤諦三 ③
田原が『現代の眼』で加藤批判をしたのは38歳、加藤は34歳だった。その2年前の1970年の週刊朝日(11/27号)には、「いま頼られている日本の『ココロのボス』10人」の中で、加藤(当時32)は最年少で選ばれている。他の9人は、寺山修司(34)、大江健三郎(35)、小田実(38)、池田大作(42)、三島由紀夫(45)、吉本隆明(46)、司馬遼太郎(47)、羽仁五郎(69)、松下幸之助(75)。田原は...
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加藤は長らくラジオニッポン放送の「テレフォン人生相談」をやってきた。1970年代前半より出演しているが、正確な初出演日は本人も覚えておらず、ニッポン放送の記録にも残っていない。2005年、ライブドアのニッポン放送株大量取得に反発し、ライブドアが経営権を握った場合「テレフォン人生相談」を降板することを表明したが、騒動が落着したことで続投が決定した。忌憚なく率直な物言いをするので、相談者にも批判されるこ...
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「受験に恋愛はダメ」と息子に言い渡した母親がいた。そんな母親に文句も言わずに従い、東大に入学した息子を最も喜んだのは母親だろう。受験に何が必要で何が無用かを区分けした母親は、自分の考えが正しかったことを息子たちが証明してくれたようなもの。『もういちど生きなおそう』の80ページ、「いい子になんかなろうとするな」で加藤は以下のように述べている。「受験勉強中にある異性が好きになったと悩み苦しむのはいい。(...
View Article思考が停止する理由
「思考が停止する人」は結構いる。思考が前に進まずどこかで停滞する。それで何かを解決しよう、改善しようなどをせず文句をいうだけで気を晴らす。どうしてそういう思考回路になるのかは不明だが、「思考停止する人」としかいいようがない。今回、上記のような考えに触れてそのことを強めたが、↑このような物言い(思考回路)には強い違和感をもった。「幼少期に親からの愛情体験が足りない」という生育分析を発達心理学用語で「マ...
View Article思考が停止する理由 ②
「君は幼少期に親から愛されていたと思う?」何人かに聞いたことがある。いろいろな答えが返ってきた。「姉(兄)はそうだけどわたしは厄介者だった」などは露骨な兄弟差別だが、一人っ子の自分に経験がない。同じ兄弟でありながら差別されるのはどんな気持ちなのか?永遠に分らぬ謎である。ただし、四人の子をもった自分は兄弟差別のないよう留意をした。心理学に限らず著書とは文字や言葉の記述で、人を救うと救えるとかではなく、...
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心を病む人に関わった経験からいうと結構難しい。心療は体系化された専門医療行為で、巷にある恋や夫婦や親子関係の悩みとちがい、人によっては大きな苦悩となる。義務でもボランティアでもない他人の悩みに関わるのは元気づけを願ってだが、咄嗟に自殺した女性もいた。人が人に関わる限界を把握し、被相談者は相談者の苦悩を刺激しない配慮が大切である。個対個における人間関係にあって距離感が大事であるのを知る。苫米地英人に、...
View Article死は確実なる思考停止
「千々の思いに乱れつつ」人は生き、かつ人は死ぬ。亀井勝一郎は自殺者を非難するのは傲慢とし、「自殺するほどに思いつめたその純粋さにかえって心打たれる」といっている。純粋であるがゆえに人間に与えられた美しい能力ともいい、「自然が人間に賦与する財宝のうちで最もすぐれた財宝は、人それぞれが自殺できること」と、プリニウスの言葉を引用した。無理をしてまで生きることはない。これは一面真理だが、生きる努力を怠ったと...
View Article心に残る曲 『ホリデイ』 ミッシェル・ポルナレフ
これまで紹介した6曲はすべて邦楽で、高田真樹子、イルカ、柴田まゆみ、もとまろ、尾崎亜美、中山千夏らすべて女性アーチストだった。邦楽、女性とどちらも多少は意識した部分もあるが、あまり知られていないアーチスト、知られていない曲をあえて選んだことも意識というか、自分の少数派志向にもよる。決して有名な曲、有名な歌手が悪いわけじゃない。誰もが好む美人が悪いわけじゃない。少し深いことをいうと、自分を試す意味もあ...
View Article禅と善と前途
「ブログをはじめました」。の一言だけで、始まっていないブログにお目にかかることがある。まあ、誰でも始める時はそのように書くだろうから、その後のことを書いたわけでもなく、書かなかった理由を述べる必要もない。始めるつもりだったが、放置の理由はいろいろあるだろう。自分なんかは始めるといったら本当に始めるばかりか、徹底的にそれをやる。これまで、何事もそうであった。自分にとって、「始める」とはそういうことだか...
View Article善行についての矛盾
「君はやっていいことと悪いことが分からない人間なのか?」、「彼は善悪のけじめもつかぬ人間だ!」などは結構耳にする他者批判。こういう批判はそれこそ自分たちが子どものころからあった。教師に叱られる場合は決まってこれだ。このようにいって叱れば教師は立派なひととなる。立派な人だから、相手を叱ることが許されるということだ。が、もし知能の優秀な子どもなら… 生徒:「善悪の判断くらい分かってますよ」...
View Articleコマダイ
コマダイという言葉から一般人的な連想は駒大か。駒大とは駒澤大学だが、駒台を浮かべる人もいる。将棋が好きな人はともかくとして、将棋を指さない人でも駒台を連想する人もいよう。「それって鯛の種類か?」という人もあれでもいるかも知れん。調べると20種以上の鯛がいる。マダイ、キダイ、クロダイ、イシダイが一般的だが、自分はエボダイの干物に圧倒されたことがあった。伊豆の網代に行ったとき、で初めて食したエボダイの干...
View Article小冊子に秘めた恋
時々書棚から手にとる本がある。かつて全書判と呼ばれたサイズだが、現在ではB6判変型もしくは小B6判と呼ばれる。現在の文庫判と呼ばれるのはA6判(105×148)で、それより幾分大きめの117×174となっているが、ハードカバーでケース入りと豪華仕様。昔の本の造りは丁寧でゴージャスだった。大切な本のタイトルは『愛の無常について』、著者は亀井勝一郎である。大切にする理由は後に記すとして、213ページの同...
View Article永遠の凝視
永遠の凝視について亀井はこんな風にいう。「何を凝視するか。いうまでもなく人間の状態を、その矛盾を、その懐疑を、その抵抗を、反宗教的なものすら凝視して止まぬものでなかったならば、大慈大恋とは言えますまい。背信をも、敵をも、全衆生を凝視することに於いて摂取不捨であらねばなりませぬ」。随分と多くのものを凝視する必要があるものかなと。亀井はキリスト教を捨ててマルクス主義に傾倒したが、「三・一五共産党弾圧事件...
View Article教養と言葉づかい
「教養」は様々に解されるが、端的にあらわれるのはその人の言葉づかいと感じていた。「言葉は精神の脈絡」というように、乱暴な物言いやバカ丸出しの言葉づかいの主に尊敬や教養を感じることも見出すこともない。人の言葉づかいは教養の問題以前に、その人のなかに入る玄関口のようなものであり、乱暴な言葉を使う人間の中に入ろうという気がおきない。言葉は玄関口の立て札であり、美しい言葉づかいの女性は魅力的。人と人の結びつ...
View Article汚い言葉での批判社会
汚い言葉の横行は顔の見えないネット時代の特質である。見ず知らずの他人とはいっても、敬愛心のなさが見せる態度は、他者の自分への警戒心もあるのだろうが、あまりの自意識過剰で、こうしたことが背景にあると考える。人のことはともかく自分の場合、見ず知らずの他人だからこそ気をつかった対応をするが、そうした敬愛心は自然と湧くもののはずだ。見知らぬ他人、初対面の相手に非礼でガサツな言葉を放つ人間というのは、自分なり...
View Article教養と愛情の関係
「教養と愛情の関係」という表題は、自分しか分からぬ隠れた美しさ、善いところの発見は、愛情なしでは見つからないという意味だ。多くの人が見逃して素通りするものに立ち止まれるのを教養と見立てるなら愛情と教養は結びつくことになる。人が気づかぬものに気づいたり、見過ごすものに立ち止まるのは、頭脳の明晰さというより教養という感受性である。教養人たる自覚はないが、誰も気づかぬものを発見する力は能力であることには違...
View Articleblogで教養を学んだか? ②
有益な友人は三種あるというが、人にも三種の性向がある。「失敗をせぬよう他者から学ぶ者」、「他者から学ばず自ら行動したあげくの失敗から学ぶ者」、「自分の考えで行動し、失敗から学ばぬ者」と、3番目以外は妥当である。学ぶことがいかに難しいかはやってみるとわかる。クリスマスやバレンタインやバースデイの贈り物を否定するものではないが、自分は無視をする。「父の日なのに子どもから無視されて悲しい」、「バレンタイン...
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