オウムの麻原ら7名に死刑執行 ― 終 ―
「多くの高学歴信者たちが英雄として待ちわびたのが麻原彰晃だった」。誰の発言か、この「英雄待望論」分析には納得した。また、早大理学部教授の大槻義彦は、偏差値至上主義によるマークシート方式を以下のように批判した。「とにかく手っ取り早く解答を出してしまう。自分で考えない、批判的に物を見ないという態度からは、真の学問は一切生まれてこない」。共通テスト構想は、1960年代以降文部省やその周辺から発案されていた...
View Article人はなぜ悩むのか? ①
唐突な表題のようだが、簡単なようですぐに答えられないなら考えてみようと…。むか~し彼女から同じ質問を受けたことがあって、自分はこういう感じに話す。「人はなんで悩むと思う?」、「そりゃ悩みがあるからだよ」、「マジメに聞いてよ」、「マジメに聞いてるよ」、「だったらマジメに答えて!」、「マジメに答えてるよ」、「答えになってな~い」、「正しい答えだよ」、「……」。「どういう悩みがあるんだ?言ってみろよ」、「...
View Article人はなぜ悩むのか? ②
悩みとは、不安であり、怖れでもある。どれほどの悩みの種があるのか、考えたこともないが、身体的な悩み、親・兄弟・親族など身内の悩み、異性や恋愛についての悩み、自分の存在と価値観についての悩み、死への不安という悩み、失われたものへの悩み、やってくるであろう未来への悩み、そういった自分を取り巻くあらゆるものに対し、悩みはついてくる。取り払える悩みもあれば、取り除けない悩みもある。悩みや苦悩を描いた小説は多...
View Article開いた口が塞がらない母・息子 ①
「開いた口が塞がらない」というのは、相手の行動や態度やあまりの出来事に呆れかえって物が言えないことをいう。人はあまりに呆れると、ぽかんと口を開いたまま思考停止状態になるというが、そこまでの経験はない。ぽか~んと口が開いたまま…というまではいかないにしろ、「呆れて発する言葉がない」状態に近いのが、妻を殺して実家の庭に埋めたという事件。柏市南柏中央の銀行員、弥谷鷹仁容疑者(36)と、鷹仁母親で茨城県取手...
View Article開いた口が塞がらない母・息子 ②
人は人をどれだけ許容できるかが試される。同じ一つ屋根の下に居住する夫婦とはそういうものではないか、老齢にして実感するものだが、若い夫婦にはそれができないこともよく分かる。しかし、殺すという発想にまで不満が昇華するというのは、人間的に問題があるとしか言いようがない。「夫婦間の不満がたまり、妻の首を絞めて殺害した」と弥谷容疑者は述べている。殺したいほどの憎しみがあったと推察するが、やはりそれは彼にとって...
View Article殺人事件の加害者と被害者を持った子
弥谷鷹仁容疑者と被害者で妻の麻衣子さんの間には1歳9か月になる娘がいたというが、おそらく麻衣子さんの実家で引き取ると思われる。理由は鷹仁容疑者の実家には母親の恵美容疑者(逮捕)もいて、引き取る状況ではない。求刑は25年の有期刑が予想され、判決は20余年程度と思われるが、子どもはいつしか加害者が父で被害者が母であった事実を知ることになろう。何とおぞましいことか。こんな子どもに生まれてきたくはなかったろ...
View Article母とは何か? ②
「毒親」という言葉は昔はなかった。2008年以降、自己愛の強い母親とそれに苦しむ子どもの問題に関する書籍が増え、日本では2015年時点で毒親という言葉は一種のブームになって、ひどい親によって被害を受けたり、苦労体験を語った著書が乱立する時代になった。自分が子どもだった50年前に、「毒親」という語句がなかっただけで、毒親がいなかったわけではない。今の子どもも昔の子どもも、子どもの質が変わったわけではな...
View Article母とは何か? ④
『かあさんの歌』を作った窪田聡について興味深いことが書かれてあった。先の記事では高校卒業後に大学に合格したにも関わらず、家出をして消息を絶ったと書いたが、その辺りの事情はどうだったか気になり調べてみると詳細は以下のようである。窪田聡は本名を久保田俊夫といい、昭和10年、東京都墨田区京島で五人兄弟の四男として生まれる。家業は建具屋だった。進学校で有名な開成高校に進むも太宰治に心酔し、デカダン(頽廃的)...
View Article母とは何か? ⑤
親が我が子に夢を抱く程度の親バカは非難されることもないが、子どもに自分の幻想を押し付ける母親こそが問題となる。夢と幻想の差は何か?ということではなく、母親自身が望んで果たせなかった夢を子どもに託すのはいいとして、そのことの実現のために強要するというのは、多少なりどの親も経験があろうとも、あまりに度が過ぎれば子どもの心が歪むことになる。親が子どものために我を忘れて必死になることを、子ども自身が感じてい...
View Article母とは何か? ⑥
メラニー・クラインという女性の精神分析家は、人間の発達を母子関係を中心に細かく研究している。クラインは子どもは母親に対して憎しみと恐怖を持ち、母親も息子に憎しみを持つ場合があって、母子に激しい愛憎の葛藤世界があることを分析し、指摘をした。クラインと同じ人格形成過程における母子関係研究に、古澤平作の、「阿闍世コンプレックス」がある。「阿闍世コンプレックス」は、西欧的な父親型エディプス・コンプレックスに...
View Article母とは何か? ⑦
子どもにとって親は信じるべく対象であるべきか?この世に生を受けたときから自分を保護し、守ってくれた母親がまさか毒親であるなどと思わない。ただし、自我が芽生えてくると客観的な視点で親を見られるようになる。今まで保護し、守ってくれた母親はどのように子どもに映るのだろうか?自分は幼児期から今でいう虐待を受けていたが、当時は折檻と容認されていた。折檻とは、体罰を与えて厳しく責め叱ること。古い言葉で、「打擲(...
View Article母とは何か? ⑧
もらい子の悲劇というのがある。もらい子はもはや死語、今は、養子・養女という。実の親でない養父母に甘えながら、何のわだかまりなく育ってきて、青年期になって偶然に自分がもらい子であることを知った時のショックは、目の前が真っ暗になるほどのものかと想像する。事実を知った後も親を慮って知らぬ素振りをするが、親とてまさか気づいたとは思わない。どちらも押し黙ったままのギクシャクした日々に何の意味があろう。ならばい...
View Article母とは何か? ⑨
男が女を分からないように女も男が分からない。分からない同士が一緒に暮らしていく。さらに、男は父、女は母という肩書きがつけば、謎は深まるばかりとなるが、先に述べた曽野綾子の発言なども顕著な一例である。あれだけのことを雑誌上で臆面なく発せられるのは、母親の強さという以外になかろう。「母よ、あなたは強かった!」の言葉を贈っておこう。ヤクザの強さとは、いつ死んでもいいとの肝いりからくる何をも恐れぬ強さである...
View Article父とは何か? ①
父について書こうと思うが、母のときのような書きたい何かが父にはない。書くことがないではなく書きたいことがない。母と比べて書きたいほどの何かが父にないのも理由だが、父が何であるか実はよく分からない。昨今の家庭は母中心で成り立っているといわれている。他人のことはよく分からないけれども、家庭を牛耳っているのが妻であるような感じは伝わってくる。夫や父親の権威が喪失した時代といわれて久しい。男女平等、夫婦対等...
View Article父とは何か? ②
武士社会は父親という存在が家庭の中で最も重要づけられていた時代であった。時代劇映画を見ながらなぜか美しいと感じていた。これは遥か昔のことなのか?封建時代が明治維新で終わり、近代においても第二次大戦で敗北するまでの日本社会においても、家長として父親は、慣習的にも法的な面においても、大きな権限を家庭の中でふるっていたのはつい80年前のこと。家長としての父親の権威は日本の場合、社会における一つの単位として...
View Article親族旅行
旅行とは旅に行くと書くが、旅の分類にはさまざまある。なぜなら旅とは、「定まった地を離れて、ひととき他の土地(場所)へゆくこと。大辞泉には、「住んでいる所を離れて、よその土地を訪れること」とある。旅の歴史を遡れば、人類は狩猟採集時代から食糧を得るために旅をしていた。農耕が行われる時代になった後も、すべての人々が定住していたわけではない。猟人、山人、漁師などは食糧採集のための旅を行っていた。...
View Article父とは何か? ③
煩わしいほどに存在感に満ちていた母は、存在感を出しすぎることで返って迷惑がられるものかも知れない。子どもに覆いかぶさったり、畳みかけることのなき母は、広く、深い、海のような愛情に満ちた母なのかも知れない。思うに自分の父の愛情とは、隠匿された羞恥なものだったに感じる。露骨でこれ見よがし的なものでは決してない、それが父親の遠見の愛情なのかと。印象深い父を思いつきであげるなら、『レ・ミゼラブル』のジャン・...
View Article父とは何か? ④
子どもの攻撃対象は母親より父親であるべきで、古来より「厳父慈母」の在り方は、役割分担としての父・母である。誰に指導されたわけでもないが、子どもにとって超自我的な存在としての父親を自分は演じていた。ダメ人間の自分は理想的な父親を演じる以外にないという自覚があったのが幸いした。役者としての能力が問われることにはなるが、相手は子どもである。ライオンの父と母がそのような役割分担をしているかどうか分からないが...
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