1月11日午後7時ごろ、兵庫県伊丹市内のコンビニエンスストアに5歳の幼女が一人で入ってきた。手には10円玉一枚と1円玉一枚の11円を握りしめ、レジ横の揚げ物コーナーをじっと見つめていた。厳寒の冬に素足のまま靴を履いていたことや、足首が紫色になっていたことから不審に思った女性店員が110番通報した。駆け付けた同署員に幼女は、「おなかがすいた」と話したという。
女性店員は幼女が入店したときの様子や、署員から事情を聞かされ、「こんなことが起きるなんて…」と驚いていたが、この事実を知った我々の驚きも半端でない。幼女は伊丹署内で保護され、事情を聴いた署員が12日に伊丹市内の幼女の自宅を訪れ、無職の母親(26)と、会社員の祖母(47)を傷害容疑で逮捕した。幼女の腹や脚に複数の傷が見られた。
女児は逮捕された母親の次女で、母親は10日夕方、自宅1階の居間で、次女の左腕を石油ストーブの天板に約5秒ずつ2度押し付けたとされ、祖母は包丁を次女の顔に当てたり、叩くなどした疑いがもたれている。同署は日常的な虐待があったとみて調べているが、二人とも容疑を認め、昨年10月ごろからしつけのため日常的に暴行を加えていたとの供述をしているという。
容疑者宅は7人家族で長女(6)、三女(4)も一緒に暮らしているというが、後の2人は父親と祖父なのであろうか。母親と祖母だけが傷害容疑で逮捕されたというが、父と祖父は黙ってみていたのか、止めきれなかったのかは謎だ。今の時世でおなかすかした幼児が10円玉もってコンビニに入ってくるだけで異常であるが、次女だけ残されて家族全員外食に出かけていた。
虐待もあまりにひどすぎて拷問のようだが、次女だけ残して他は外食という仕打ちもひどすぎる。おそらくこの家庭は、母と祖母の力が強いのだろうが、「次女だけおいて出かけることに異を唱えない父親や祖父にも腹立たしさが湧く。同署によると母親は、「次女が失禁したことに腹を立てて頭をたたいた後、ストーブに押し当てた」と供述しているというが、何ということだ。
祖母は、「ご飯の食べ方をしつけたら無視され、包丁でびびらせてやろうと思った」と話しているというが、何ともノータリンな母とその親であろうか。こんな家庭が現実にあるというのが悲しすぎる。好んでこんな環境下に生を受けたわけでもないとはいえ、いたいけで罪のない子どもがいたわしい。母親も祖母も実刑には至らず書類送検で釈放されるだろう。
司直によるこの程度のお仕置きだけで更生することもなかろう性悪女が、態度を改めることはない。この際、父と祖父がしっかりしてもらいたいものだが、それも急にはできない。こういう悲惨な話を耳にしただけで養女にと希望する人はいるだろう。長女や三女には虐待の痕は見られず、これだけ親に嫌われたなら、施設や養女に行くのが次女には幸せかもしれない。
そういえば以下のようなバカを通り越した母親も頭から離れることなく残っている。福岡市内に居住する家庭で、小学生の次女(当時10))に指示をしてランドセルなどを盗ませたとして、窃盗罪に問われた母親(41)に対し、福岡地裁の川瀬孝史裁判官は18日、「手段が卑劣というほかない」と指摘をし、懲役2年執行猶予4年(求刑懲役2年)の判決を言い渡した。
この母親は2017年月14日~4月23日、福岡市内の家具店とドラッグストアで、ランドセルとアイスクリーム、ギョーザの皮(計3万円相当)を次女に盗ませた。 判決は、次女が以前から母親の指示で万引きをしていたことを認め、「万引きをしないと怒られたり髪を引っ張られたりした」と供述したが、母親は次女にそのような指示はしていないと争っていた。
母親側の弁護人は、「母親のせいにすれば許されると思ったのではないか」と無罪を主張したが、裁判では、次女の供述の信用性は高いと母親側の訴えを退けた。その上で、母親が商品の場所を移すなどして指示したと認定。「手口が手慣れており、常習性が認められる」とも述べた。川瀬裁判官は母親に対し、「お子さんとの関係を時間をかけて考えてほしい」と説諭した。
母親への裁判官の諭しは当然であり、執行猶予付きだから母と娘は家庭内で同居することになり、裁判を通じて敵対関係にあった母娘への懸念は誰もが思うことで、考えただけでもゾッとする家庭環境である。娘の供述が事実なら、なぜ母は娘を敵に回してまで供述を否定したのか?娘を罪に陥れても、自分は罪を逃れたいということなのか?それが妥当といえる状況だ。
仮に娘が嘘をついていたとしても、自分が罪を被ろうとするものなのに、「娘の供述は嘘」と争った母である。なぜなのか?そこは分からない。どちらにしても、この母親も言語に絶するクズ女であるが、その後、2人が普通に家庭で暮らしていけるのかに於いても懸念が残る。同じ福岡の久留米においては、2016年に信じられない母親の事件があった。
2016年8月、福岡県久留米市の住宅で、17歳の少女をベッドに縛りつけて監禁し、暴行を加えたなどとして起訴された46歳の母親と内縁の夫が、少女の飼っていた金魚の死骸を無理やり食べさせたとして、強要の疑いで再逮捕された。母親は尾形優子容疑者、内縁の夫は江上孝容疑者(46)。2人は17歳の長女に、飼っていた金魚の死骸30匹余りを無理やり食べさせた疑いが持たれている。
長女は当時金魚の世話をしていたが、2人は餌のやり方を巡って長女に言いがかりをつけ、水槽に食器用洗剤を入れて金魚を死なせたうえ、「全部食べろ」と命じた。警察の調べに尾形容疑者は容疑を認めたが、江上容疑者は「そんな事実はない」と否認しているという。2人は、長女をベッドに縛りつけて監禁・暴行を加えたと監禁傷害などの罪ですでに起訴されていた。
松本清張の『鬼畜』も表題如きのひどい親だったが、父親に崖から落とされてかろうじて命を取り留めた12歳の息子に、警察で面会した父親は、「この人はぼくの父ちゃんなんかじゃない。知らない人」といわれて驚き、慄き、息子の前に膝まづいて、「悪かった!かんべんしてくれな!」と号泣する父親が、緒形拳の名演で映画で再現され、脳裏に焼き付いている。
思えば自分も小学5年生の時、母親にされた行為を機に、二度と親と思わないと心に刻んだことがあった。あの時の、驚きを超えた茫然自失という状況を、あれ以前も以後も経験していない。傷つくとか、怒るとか、そんなものではない。憎悪という情動すらもはるかに凌駕するのが、「自失」であるのを10歳で知った。それほど特異で稀有な体験をした時、人の頭は真っ白になる。