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歩くことのいろいろ ③

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数日前だったか、「歩くことの効用は、座っていないこと。これに尽きる」と書いた。そうはいっても、「これに尽きる」の意味や理由を書くのも自身への学習の意味もある。理屈より行動をすればいい、それもそうだが知識をもって行為するのは、「知らない」に勝る。ジムの会員になったり、ビジターとして行くのもいいが、たまに行っただけでは効果はない。

少しばかりのカロリー消費をした程度の効果はあろうが、筋肉を鍛えるのは負荷を与えるだけではダメ、継続しなければ意味がない。さらにいうなら、筋肉にはさまざまな種類があることを知っておくのもいい。それによると残念ながら日本人の筋肉は、欧米人や黒人とはちがっており、ダンベルやマシンを使った機械トレーニングだけでは筋肉がつきにくい体質である。

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一般的に、「筋トレをして基礎代謝を上げれば痩せる」と言われるが、痩せるということに於いて筋トレは日本人の体質に照らして効果的とは言えない。人の筋肉は筋線維という細い線維が集まってできている。赤い筋線維を、「赤筋(遅筋)」といい、ゆっくり長い時間にわたって働く。白い筋線維は、「白筋(速筋)」と呼ばれ、瞬間的に大きな力を発揮する特徴がある。

赤白どちらの筋線維が多いかは、人種ごとの違いがはっきり出る。アフリカ系人種は筋肉全体の約70%が白筋で、短距離走で爆発的な力が出せる。欧米白人も50~60%が白筋であるが、日本人を含む黄色人種は白筋がたったの30%しかない。筋トレで太くなる大部分が白筋であり、日本人は元々少ない白筋を集中的に鍛えることになるが、これはあまりにも効率が悪い。

「苦労して筋肉を1kg増やしても、基礎代謝量の増加は1日あたりせいぜい20kcal程度で、これはキャラメル1粒分のカロリーに過ぎません。日本人が筋トレだけで基礎代謝を高めるのは難しいのです」というのは、『日本人の「体質」』の著者奥田昌子氏である。基礎代謝には意外な側面もある。実は筋肉だけでなく脂肪組織もエネルギーを消費しているというのだ。

脂肪を減らすのがダイエットとばかりに、脂肪、脂肪、脂肪…と、呪文のように脂肪減らしに格闘するも、実は脂肪が1kg減ると基礎代謝が1日あたり5kcal下がるという。自分がこの年齢で多少の筋トレをやるのは、10代の頃の腹筋の割れ目を作ることと、同じく10代時のウェスト68cmに近づけたいとのロマンである。そうであるから根をつめずに、「楽観的」にやっている。

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体重も71kg~73kgあたりで推移し、22%内外の体脂肪率が10%台になればと思うが、目標値にして頑張るとか深刻には考えていない。一切は楽観的にであって、楽しむ要素を失わない。自分を強いるのが好きではないので、いつかなればいいが、ならないならそれもよし。何が何でも細マッチョを志向するのではない。『冷静と情熱のあいだに』という本の表題が如く…

食生活については、朝の食事はリンゴ1/2、キウィ1個に旬の果物、甘酒コップ1杯。以前はオレンジジュースだったが甘酒を試している。炭酸系のスパークリンクが、ウォーキング後の一杯は必須だったが、今はゼロカロリーの炭酸水にポッカレモンを数滴落とす。菓子類は口にせず、おやつ代わりに枝豆か豆腐を食べるなど、たんぱく質摂取に重点を置いている。

菓子を食べる欲求はあっても、身体的メリットはないと見切っている。昨今の「減塩志向」、「減塩ブーム」に対する感受性も特にない。日本人は昔から血圧が高く、1965年には脳出血による死亡率が世界一だったが、味噌、醤油、漬物などは日本人の食卓には欠かせないものだった。昨今は減塩商品などの開発もあってか脳出血は激減、日本人の塩分摂取量も減少した。

塩は摂ってもいい代わりに、腎臓から食塩を排出しやすくするカリウム食品をとればいいのである。日本人には代々受け継がれてきた伝統食=和食があり、それが日本人の長寿を支えてきた。中でも『味噌』は素晴らしい食材だ。麹入り食品や漬物など、発酵食品を摂ることはガン予防になるといわれるが、近年若い人の食卓に漬物がない。これも幼児期の慣習だろう。

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また、塩分の多い味噌は身体によくないと、誤った風評も幅を利かせている。味噌の原材料である大豆には、カリウムが豊富に含まれている。したがって減塩志向で味噌汁を控えるなどは、むしろ逆効果といわざるをえない。さらには極め付けともいわれるのが、パンや米などの炭水化物=糖質を摂らない、「糖質制限ダイエット」である。これは日本人の体質に合っているのか?

日本人は欧米人に比べて糖尿病になりやすい体質とされ、特に2型はその90%以上を占めている。この体質は生活習慣や食生活によってさらに悪化するが、糖尿病の最大の要因は運動不足といわれるている。糖尿病に運動療法があるように、運動を行う事で糖がエネルギーに利用され、インスリンの分泌も促されて膵臓への負担を軽減でき、高血糖状態も改善されていく。

ウォーキングなどの有酸素運動を指示する病院もある。肥満が問題なのは、体重が多いと血液中の中性脂肪や悪玉コレステロールが多くなり易く、中性脂肪や悪玉コレステロールを減少させることで血液の流れも改善される。血管が強くなれば心臓にかかる負担も少なく、必要な栄養素が必要な部分に回る事で、合併症リスクが軽減される。糖尿病で危険なのは合併症である。

炭水化物が魔物のように言われるが、グラムあたりのカロリーはたんぱく質とほぼ同じ。が、炊飯器の釜を茶碗代わりに食べていたマツコのように、炭水化物は量を摂ることが問題なだけで、欠かせない栄養素である。自分も若いころ、ご飯はどんぶりに3杯は軽く平らげものだが、太ることはなかった。40代からの中年太りの原因は、人間の老化現象といわれている。

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決して食べ過ぎや運動不足だけではなく、白髪や老眼と同様に、「老化」によって、体の中のさまざまな細胞や器官が衰え、本来の役割ができなくなって太りやすい体になる。したがって肥満を簡単に言えば、「摂取エネルギー」が、「消費エネルギー」を上回って起こる。それに加えてじっとしているときの、エネルギーを消費する基礎代謝量低下も要因である。

老化を引き起こすのは体内で起きる、「酸化」、「糖化」、「ホルモンの変化」といわれている。これらは若い体にも起こるが、40代以降は老化に直結する。これらが、細胞やホルモンの機能低下を招き、老化を加速させる。また、動脈硬化や糖尿病などの生活習慣病、がんや鬱といった病気、シミ、シワ、タルミといった美容的な問題すべてが運動能力低下の原因による。

これら3つの大敵は、食事や運動、ストレス対策など生活習慣を少しだけ見直すことで抑制することができる。だから食事、だから運動、だから、ストレス防止が大事である。自分がウォーキングのルートを変えた最大の理由は、ミトコンドリアを増やすためで、近年、ミトコンドリアの重要性がいわれている。ミトコンドリアは普通に細胞内に存在するが、問題はその数。

1つの細胞に数百から3000個あると言われているが、数百と3000?この数の違いは大きいが、その違いが何を意味するのか?ミトコンドリアが細胞内に少ない人はスタミナが少なく、逆に多い人はスタミナがある元気な人となる。ミトコンドリアは食事によって獲得した糖質・脂肪などの栄養素、呼吸によって取り入れた酸素を合成して、「ATP」という物質を生成する。

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ATPはすべての活動のエネルギーになるもので、ミトコンドリアが作るATPは50kgにもなるが、体重に影響しないのはどんどん消費されていくからだ。しかし、残念なことにミトコンドリアは加齢とともに減少する。「ためしてガッテン!」がミトコンドリアを特集していたが、ミトコンドリアを増やすには、「ちょっと身体に負荷をかける」だけでいいのだという。

ミトコン(糸コンではない)を増やす方法はさまざまあり、①インターバル歩行(例えば3分間普通に歩いて3分間早歩き)、②姿勢を良くするだけでも増える、③階段を一段抜かしで昇るとか、スクワット、④食事のカロリー制限(何かを食べるより、食べない方が増える)、⑤ミトコンドリアを増やすスタミナ食がある。などが紹介された。番組では週1の断食なども勧めている。

ちなみに⑤の食品は、タウリン(イカ・タコ・魚介類など)、ビタミンB群(うなぎ・豚肉・玄米など)、鉄分(レバー・卵黄・あさりなど)が挙げられている。よくよく見れば、昔からスタミナ食といわれるものだ。なるほど、ヨガ行者の断食の効用もこれなら理解できる。ようするに、ミトコンドリアは身体にストレスや制限を与えることで応答的に増えることが解っている。

これは早歩きや登板路で負荷をかける、カロリーを抑えた食事(粗食)を摂ることで、長寿遺伝子にスイッチが入り、ミトコンドリアが増えると同じ原理。カロリーが足りないとエネルギーが足りないと感じて分裂を始めて増えるということ。これらのことを頭に置きながら生活するなら、そうしないより目には見えない御利益がある。運動とはそういうものであろう。



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