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Channel: 死ぬまで生きよう!
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「楽しいこと」は探さない

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「人生とは、勝ち組、負け組にあらず。楽しんだ組、楽しめなかった組である」としたが、楽しむと簡単にいうがどういうことであろう。その前に、「何をしても楽しくない」というような人間がいた。「楽しい」を考える前に、「楽しくない」とはどういうことであろうか。思い出すは子どもの頃に、旅行の名目で親にあちこち引き廻されて、楽しくなかったの記憶がある。

すべて一切が親の楽しい時間で、子どもが楽しめる要素がなかったからか?もし、子どもに楽しい時間を与えるなら、親は子どもに行き先を尋ねればよい。動物園、遊園地、水族館、海水浴、プールなどいろいろあるだろう。名所旧跡や菊人形展など何にも楽しくなかった。「生きてて楽しくない」という奴もいた。遺書には、「生きて行くのが辛いです」と記してある。

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楽しくないならまだしも、「辛い」となると死にたくもなろう。「楽しくない」は、「楽しい」に気持ちを変えていけるが、「辛い」を、「楽しい」に持って行くのは至難であろう。「生きてて楽しくない」という奴に対し、「何か楽しいことを見つけたら?」くらいは誰でもいえる。自分は人生を楽しんでいるが、あえて、「楽しい」ことを自らに問い、探すようなことはしなかった。

そんなことをせずとも、何かを始めたらそのことを、「楽しい」ことにもっていく。いつもこうした気持ちで取り組んでいるから必然的に楽しくなる。最初から、「楽しい」、最初から、「良い」と思うものもあるが、楽しくしよう、良くしようとしていく方が手っ取り早い。「いい女」(容姿ではなく)を探すよりも、自分が手を加えていい女にもっていく方が、プロセスにおいて楽しい。

昔から男は、女を女にする過程が楽しいといったもの。こういう風に自分は楽しんでいる。料理も工作も作っている過程が楽しい。結果だけを求めるなら外食派だろうが、1000円の料理を300円で作る楽しさ。近ごろお好み焼きが800円~1000円の時代だが、粉が5円、豚バラ肉100円、キャベツ10円、卵20円、天かす、ソースで15円、そば玉50円という一人前の概算だ。

200円あればできる。外でお好み焼きを5~6年食べていない。作るのが面倒だから食べに行くか…というのはない。自分は26cmのフライパンを2つ使って器用に作る。最期は平皿をフライパンにかぶせて180度ひっくり返して皿の上に盛るが、こういうこと一切が楽しい時間である。「鉄板がなくても美味しく作ってやる!」の意気込みから、色々考えた自分流である。

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味もそこいらの三流店など比較にならない。キャベツをレンジでしっとりさせ、そばを幾分カリカリにするなどの下ごしらえも時間短縮の要件だ。料理に限らず、プラモ工作やちょっとした日曜大工も、合理的精神を軸に楽しく前向きに何度も繰り返してやれば上達する。あれこれと試行錯誤しながら、工夫が生み出される。「習うよりは慣れろ」とはいったものだ。

どう生きても長くて80年。それ以上は余禄だろうが、この世に未練なきよう、何でもやって、思うことは言う。それが凡人の生涯よ。人がいろいろ、同じことを言っても受け取り方が違うし、何気に言ったことでも自慢話と受け取る者もいる。それも仕方ないが、どちらかといえば、自分は額面通りに受け取られることが多かった。だからか、人間関係の苦労はない。

「あなたが言うと自慢に聞こえない」と言われて笑った。自慢話に聞こえなくて当然かと。されど自慢話をする人は多いのだろう。人間は自尊心の塊りだから、自慢話をしたい気持ちは分かるが、あることをあるがままにいうだけなのに、捻じ曲げて取る人に問題がある。自然に受け取れないそこに何かがある。正しく受け取らなくとも、自然に受け取ってくれたらそれでいい…

誇張することもなく、自然に話すことを自然に受け取るのが自然というもの。あからさまな自慢話ならそのように受け取られよう。自分は人の自慢話は何ともない。代わりに無用な相槌などもしない。自慢したいものがあるならすればいいし、気に障る理由がない。また、自分の発言を捻じ曲げてとられても腹も立たず、気にならない。昔から母親で慣らされたのかも…

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若いということ自体は責められないものだ。物事の理解力も判断力もないだろうし、それで友人関係が壊れたり、愛が終焉したりの波乱はあるが、フロムはその著作『愛するということ』のなかで、「異性愛はもっとも誤解されやすい愛の形」と書いている。彼はその理由を、「異性愛は排他的で普遍的でない」とした。普遍性はないが排他的というものなのか。

「異性愛は、一人の人間としか完全に融合することはできないという意味においてのみ」排他的ということらしい。確かに、多くの異性と融合できる人間は、誤解されない技をもっている。誤解という感情の裏には、嫉妬や羨望が根差していることもあろうし、簡単、一筋縄では行かない要素を含んでいる。誤解は別れだけではなく、誤解が結婚を実らせることもある。

実際問題として、結婚後に相手を誤解していたと感じる夫婦は多いはずだ。もっとも、誤解という以前に相手に無知過ぎたというのが正しいだろうが、程度の差はあれ、人間と人間のつながりは誤解の上に成立している。人間というのは互いが自分でも分からぬ謎をもって生きている以上当然のこと。善意の誤解の上に恋愛や友情は成立しているものと思っている。

どうして人が人を正しく認識できよう。ならば上記したように、相手に自分を正しく理解されたいと欲張る前に、自分の発する言葉を自然に受け止めて欲しい。その場合の自分の言葉は、嘘・偽りのない自然な言葉であらねばならない。相手の発する言葉を歪めて受け取る人間に問題があるとするなら、彼には歪んだ人間と触れ合った環境が災いしたのではないか。

イメージ 5「言葉は自分の心を隠すために与えられた」という名言がある。人が嘘をつくから自分も嘘をつくのか。自分が嘘をつくから相手も嘘をつくのか。いや、人間は言葉の動物ゆえに誰でも嘘とは友達である。人間という愚か者がどう考えたことろで、自分の描く理想の人生は送り得ない。それすら忘れて、法外な要求をするところにそもそも誤謬がある。結婚は現実なのに、夢を抱くから失望する。「結婚は現実である」という年代での結婚はむしろ少ない。春樹の『ノルウェイの森』にこんな会話がある。「ねえ、私、悪く言ってるんじゃないのよ。私ね、うまく感情を言葉で表すことができないのよ。だからしょっちゅう誤解されるの。私が言いたいのは、あなたのことが好きだってこと。これさっき言ったかしら?」

感情を言葉で上手く現わせたらヒステリーはいなくなる。感情を上手く言葉で現わせないから相手に嫌悪感を与える。腹が立つと黙り込む女がいた。彼女がそんな女だとわからないとき、彼女の友人が、「○子は機嫌が悪いと黙るから、すぐにわかるんだよね~」と彼女の前でいった。有意義な情報だったが、女がこんなことを人前で言われても平気な事に驚いた。

二人はそれくらいに気心が知れた仲だったのだろう。腹が立ったら黙る人間は心を抑えているより、葛藤しているのだろう。本当は喚き、暴れたいが、してはいけないことだと頑張っている。ところが、慣れ合ってくると遠慮なく表に出す。これも人間関係のイロハでいえば当然か。村上春樹には、「理解というものは、つねに誤解の総体に過ぎない」という持論がある。

著書『スプートニクの恋人』や、別の短編にも登場し、村上自身ホームページにも、「理解とは誤解の総和である、というのが僕の基本的な考え方」と述べているように、彼の世界観のようだ。そうであるなら本当の理解とは何?春樹は、それが誤解であると言いたいようで、まるで理解したように思い込んでいる状態こそが本当の理解だと…。なるほど、そうかもしれん。

自分が人に、「正しく受け取らなくていい、自然に受け取ってくれたら…」というのも、人は人を正しく理解できないというのが根底にある。勿論、自分も過去において人を正しく理解していないし、それも前提だ。多くは推測や抽象や、少しばかりの客観を交えた主観であり、時に実験(体験)から導き出した可能性に過ぎず、理解とはこうした誤解の総体かと…。


信じていたものが実は単なる誤魔化しだと気づいたとき、人は強烈な自己嫌悪に襲われようし、その矛先として相手を責める人が多い。近藤医師を選んだ米原万里も川島なお美も、最期は彼を責めた。「女々しい」とは、振舞いが女性的の意だから、女が女々しいのは普通である。人を信頼するというのは、信頼する側の責任だが、女のこういうところは浅ましい。

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男にもいないわけではない。「信頼」とは騙されないこととは思わない。騙されることも、相手が間違っていることもあろうし、一切を含めての信頼である。「走れメロス」は約束を果たした話に過ぎない。「騙された」、「裏切られた」と、自分が正義の塊りであるかの言い草を自分は好まない。自分に於いてもそうした判断はないし、騙された側には何がしか非が存在する。

「迂闊」、「無知」、「欲」、これらはすべて自分の責任である。それを差し置いて、人が悪い、社会が悪いなどと永遠に言い続ける人間は、何にも成長をしないで一生を終える。「迂闊を悔い、無知を悟り、欲を恥じる」という気持ちが、人を高めるのではないのか?人もいろいろだから答えはないが、もしも自分を高めたいと思うなら、自己責任は必然であろう。


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