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がんを生きる…

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がん「告知」と言っても、早期がんと末期がんとでは、告知する医師の気持ちがちがうように、告知を受けた患者のナーバス度も違うだろう。昨今の早期がんの治癒率は目に見はるものがある。告知の是非が議論された十数年前、末期がん患者を収容するホスピスでさえ、入居者の半数以上が自分の病名を知らない患者が多く、医師も看護師も家族も芝居を強いられた。

一般的にがんは治療後5年以内に再発しなければ治癒したとみなされる。これを「五年生存率」という数字で示されるが、それとは別に、「10年生存率」を財団法人癌研究所附属病院がまとめた。1980年にがんと診断されて治療を受けた1575人を対性調査、825人が10年後の1990年まで生存していることを確認、「がんも2人に1人は治る時代」を、数字は裏付けたことになる。

患者の家族には知らせても、患者には知らせない場合には、家族の演技の得て不得手もあってか、疑心暗鬼になる患者もいたことだろう。そもそも自分のことを自分で決めるのは当たり前であるはずなのに、それが生命にことになると、なぜ自分のことを人に決められてしまうのか?これは素朴な疑問である。知らせない方が治癒の確率が高いということでもない。

がんと知らなければ、治癒法の決定に自らかかわることも無理であるし、病名を知ることは自己決定権を行使するうえでの大前提となる。自身ががんであることを知る権利を他人が勝手に制限できることは、どのように考えても可笑しい。身内を思いやるという優しい心情を持つ日本人が、本人に病名を知らせないのは分からなくもないし理解はできるが、「正しい」とは別である。

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「自分のことは自分で決める」というのが、自分の思うところの、「正しい」である。人によって、「正しい」が異なるゆえに、尊厳死や脳死の問題は決着をみない。がんを告知するのは、事実を知って、治療の含めたその後の人生の選択権を自身が決定できるのは、大いなる収穫であると思うが、これまでにはがんであることも余命も知らされずに、死んでいった患者も大勢いた。

がんであることを患者に告知することと、余命を告知することは無関係であり、本人が知りたいならともかく、聞かれもしないのに不正確な余命を告げるのはどうなのか?よほどの致命的末期がんならともかく、余命は当たらないケースは多い。当たることの善悪よりも、聞いて愕然とする余命は告げなくとも、「治癒は難しい」と言えば、患者がそれなりに判断しよう。

告知は医師の義務とは言い難いが、緩和ケア治療に移行する場合、告知は行わざるを得ないように思う。医師の告知義務については、「(医師は)告知をしないことにより患者が不利益を被る場合、告知しなければならない」というのが綱領のようなものだが、告知の利益、告知の不利益の判断を、医師が本人を見越して正確に判断できるかどうかの問題はある。

最終的にはご本人の余命であって、本人がQOLを考えるべきと思うが、医師が指導したり、サポートするのは当然にして必要だろう。嫌がる鈍牛を水飲み場に連れて行くことはできないが、賢い牛ならそれなりに考えることはある。比喩ではなく率直にいうなら、本人の頭がしっかりしており、メンタルに問題ないと判断する場合、余命告知は、「正しい」と言えるかもしれない。

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「がんは老人疾患」と自分の主治医はいったが、20代や30代でも乳がんや子宮がんになる女性もいたり、男女ともに概ね40代まではがんのリスクは高くない。主治医は一般論を言ったまでで、確かに高齢になるほどがんのリスクは高まり、特に60歳以降の男のがんの発症率は急激にあがる。これは喫煙による肺がんや、飲酒による胃がん、肝臓がんの発症率が高まるため。

がんは発生したばかりの頃は成長も遅く、検査で見つかるぐらいの大きさになるまでに、10~15年はかかると言う。例えば60歳でがんが見つかったなら、そのがんは45歳頃に生まれた可能性もある。生活習慣や食生活などで不摂生を続けていたとし、その時に大病を患うことはないが、それらが蓄積されて60歳を過ぎる頃になると一気に症状として表に出てくる。

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自分もがん宣告を受けたとき、すぐに過去の生活習慣の不味さが頭を過ったが、それらとは無関係に子どもでもがんになる。耳にすることは多くはないから子どものがんについての情報・知識はまるでない。高齢者ががんになるのは、それらの蓄積とは別に、免疫力の低下も原因とされる。さらには、「遺伝子変異の蓄積(コピーミス)」といった原因も分かっている。

人体には60兆個もの細胞が常時細胞分裂を繰り返している。人間が一生の間に行う細胞分裂は1京回(1兆の千倍)と言われている。それほど繰り返していればコピーミスだって発生する。ただし、コピーミスが起こっても免疫力が強ければ、癌細胞を消滅させることができる。誰にでも起こるコピーミスを、がん化させずに抑え込めるかどうかはその人自身にかかっている。

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「2人に1人がガンになる」といわれるが、昔と比べて現代人ががんに罹りやすくなっているというわけではない。食生活の欧米化で肉中心の食事が原因でがんになる事もないわけではないが、がん患者が増えている一番は原因は少子高齢化のようだ。がんは免疫力が落ちるほど罹りやすい病気ゆえ、高齢者が増えればがん患者も増えて、がん死亡者も増えることになる。

日本は世界有数の長寿国ですので、必然的にがんで死亡する人も多くなる。がんの発症率グラフを見ると、50代までは女性の方が高いが、60代からは男性の方が高くなる。乳がん、子宮がん、卵巣がんなどの女性特有のがんは、比較的若い年齢でも発症し、それによる死亡数が多くなるが、全体で見れば女性よりも男性の方が圧倒的に、がんで死亡する可能性が高い。

がんが一般的に高齢者がかかる病気なら、若くして乳がん、子宮がん、卵巣がんにかかる女性は運が悪く、気の毒というよりないが、それにも増して子どものがんは何ともいいようがない。子どもを不幸にする親はいるが、数は多くはないががんに罹患する子どもは不幸なのだろうか?という命題について思考してみる。小児がんは、子どもに起こる悪性腫瘍の総称をいう。

白血病、脳腫瘍、神経芽腫のほか、悪性リンパ種、ウィリムス腫瘍(腎芽腫)などが主な小児がんで、普通大人がかかる胃がん、肺がん、大腸がんなどはほとんど見られない。2011年『がん対策推進協議会小児がん専門委員会』の資料によると、1970年代は年間2500人ほどの子どもが小児がんを発症していたが、80年以降になると、1600~1900人程度に減少している。

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これは小児人口1万人あたり約1人の計算になり、小児がんにかかる確率はかなり低いといえる。近年の小児がん患者の減少は、少子化にともなう小児人口そのものも減っている結果と考えられている。昔は不治の病と言われたが、1960年代以降は化学療法や放射線療法によって、7~8割が治るようになったものの、年齢別に見た子どもの死亡原因では高い順位を占めている。

1万に1人の確率とはいえ、もし自分の子どもが小児がんになったら確率もなにもない。子どもの身体の心配もあるが医療費の不安もある。しかし、小児がんと診断されても医療費はそれほど心配する必要はない。治療期間が長く、医療費が負担になりがちな特定疾患については、「小児慢性疾患医療費助成制度」を利用でき、ほとんど公費で賄ってくれる体制が整っている。

この制度は児童福祉法に基づいた、「小児慢性特定疾患治療研究事業」として国が定めたもので、各都道府県が実施している。18歳未満(引き続き治療が必要な場合は20歳未満)の患児を持つ保護者を対象に、所得に応じてひと月の自己負担限度額を設け、それを超えた分はすべて免除される。高額療養費制度に似ているが、自己負担の限度額は比べ物にならないくらい低い。

さらには、重症患者認定を受けた場合は所得に関係なく全額免除となっている。子どもは未来の宝、誰の罪でもない疾病に対する手厚い保護体制は良いことであろう。成人のがんは老化現象の一つと捉えられるが、子どものがんは成人とは性質が大きく異なるが、そのひとつに細胞の分化度の問題がある。分化とは細胞が分裂して成熟していく過程のことを言う。

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体内で機能的な違いのなかった細胞が固有の機能をもった細胞へと徐々に変化して行く。分化の度合いは未分化、低分化、中分化、高分化と表現され、がん細胞では未分化なものほど悪性度が高いとされ、高分化になるほど悪性度は低いとされている。それに反し、化学療法の効き目は逆で、未分化なものほど薬への感受性が高く、高分化になるほど感受性が低いとされる。

小児がんは、増殖能力の高い低い分化レベル腫瘍が多い。そのため成長のスピードが特段に速い。発見時にすでに10cmを越える大きさの腹部腫瘤で見つかる場合も稀ではないようで、そういったケースは特に腹部で多くみられる。いたいけな子どものがんは、運命を呪いたくなるほどに理不尽であるが、単に不幸と解するではなく、家族の温かいケアが不可欠だろう。

子どもががんを宣告されることは、家族を根本から大きく揺さぶる出来事であろう。最初に病気のことを聞くのは両親であり、その驚きとショックは想像する。「未来あるはずの我が子が、がんにより命を落とす可能性がある…」ということを受け止めるのは、本人以上に辛い親の定め。何も知らない、知らされない子どもの無邪気な笑顔はいたたまれないだろう。

がんになった本人以上に両親へのケア・サポートが大切とされる。親が不幸なら子どもも不幸、親が日々笑顔であるなら子どもは幸せ。たとい周囲の子どもたちとは違って辛い治療や病院だけの生活だが、短い命を生きるただそのためだけに生まれてきた子どもを、最大限に幸せにしてあげるのが親の務めである。与えられた日々を笑顔で生きる子どもたちのために…

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