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笑いばなしに涙がいっぱい

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「倒行逆施」について書いた記憶がある。史記『伍子胥伝』にある言葉で、伍子胥といえば、「孫子の兵法」の著書とされる孫武とともに太子の夫差を補佐し、国力を養った後に呉は夫椒で越を大敗させ雪辱を果たした。呉越春秋のロマン溢れる話は読みながら体が震えたものだ。「孫子の兵法」の他にも、「呉越同舟」、「臥薪嘗胆」などの言葉が知られている。

孫武の後半生については記録がなく、墓もハッキリせず、実在した武将かどうかも古くから中国史学者の間では論争が続いていた。『史記』列伝には、『三国志演義』同様、物語的な要素が甚だ多く、最も物語色の強いのは、『伍子胥列伝第六』である。「倒行逆施」は同巻に出てくる言葉で、仇敵の逃亡の無念さを晴らすため父(平王)の墓をあばき、屍に300回鞭打った。


伍子胥の友人申包胥は伍子胥に人を使わせていった。「いかに復讐とはいえ、おまえの仇打ちのやり方はひどすぎないか。格言にも言うとおり、『人は一時は天(運命)に勝つことが出来ても、やがては天の報い受ける』。おまえはもともと平王の家臣だった。その平王の亡き骸を辱めるとは、いまに天罰が下るぞ」。伍子胥は使者に向かってこう述べた。

「申包胥に言ってやれ。吾、日莫(く)れて途(みち)遠し、吾、故に倒行して之を逆施すと」。意味は、自分はもう年を取っているので、手段など選んだりする暇は無い。であるが、この場面が、「倒行逆施」の語源となっている。呉越春秋の話を知らずとも、「臥薪嘗胆」、「呉越同舟」の言葉を知っていればいい。それこそ、「もう物語を読む時間がないのかも…」。

若い時でなければ忙しさにかまけて、『史記』や『三国志』や『水滸伝』は読めないかも知れない。寿命なんか湯水のように溢れていた若き時代に比し、死というものがグンと身近に感じられる年代である。ならば、関心事が健康管理に変わってくる。もっとも顕著なのが食生活である。以前のように、好きなものを選ばず考えず、思うがままに食べることはなくなった。

これを「節制」と言えばそうとも言えるが、やはり悲惨なデブにはなりたくはないし、いまさら見栄え云々というより、若いころと比べて基礎代謝も下がり、弱った血管もいつ破裂をするのか分からない。足腰の筋肉は衰え、特にインナーマッスルといわれる腰や骨盤を支える大腰筋も衰えが見え始める。したがって老齢で大事なことは、何より現状の維持ではなかろうか。

それには若いころと同じ食生活でオーバーカロリーは禁物である。人間を総称して「心身」というように、身も心も自己管理の対象となる。今更、あれが欲しい、これが食べたいというのは、自然に退行していくべきで、したがって節制を無理強いすることもなれば幸便だ。現在は過去の集積である。未来もまた、現在から予測は可能である。特に肉体においては…

マツコは国民に支持され、人気があるようだが、それは芸能人という着眼で、彼を色物的に見るからであろう。彼はまだ44歳であり、それであの容姿、様相では世間で普通に生きることは難しい。ならば水を得た魚のように、芸能界という世界で生きる彼は、図体こそクジラかシャチのようであっても、天職を得ているといえるが、お世辞にもお手本にできる体型といえない。

あの体型は余程の不摂生のたまものであり、お手本にする者はいないだろう。あんなお化けのQ太郎のような服しか着れない生活は芸能人であればこそだ。マツコ曰く、「食べれないわけではないが肉・魚が嫌い」らしく、「米が大好き」という炭水化物依存症であるらしい。テレビでいうには、ご飯を炊いたら茶碗によそわず、炊飯器の釜をドンブリにして食べていたという。

その産物である。現在、20kgのダイエットに成功し、それでも120kgというが、彼のBMI指数からみた理想体重は約70kgで、50kgオーバーは難しい数値である。過去を悔いているのか、現在の状況に満足しているのか、そこは分からないが、お金があっても自制心は身につかないし、お金持ちでもデブにつける痩せ薬はない。本人がアレでいいならいいのだろう。

ああはなりたくないという人なら、自堕落は禁物だ。明日食う米に困るようになれば、何もしなくても痩せられるから、疑似的にそういう環境を作り出すのも一案だ。自己責任の国アメリカでは、野球やバスケのチームが、日本のような全体管理をしてくれないが、代わりに厳しい自己管理を求める。ビジネスマンにおいても、デブは自己管理できてないので失格となる。

自由の国である反面、責任が表裏を成している。強く自由を望む自分だから、当然のごとく責任ということを強く自覚している。数々の名言を残している英国の劇作家バーナード・ショーの言葉に、「自由は責任を意味する。だからこそ、たいていの人間は自由を恐れる」というのがある。言い換えれば、「自由を束縛されたものには責任は発生しない」となる。

ところが、自由とは何か?をつき詰めた場合、「自由とは束縛のないこと」では決してない。弁証法的な言い方になるが、つまり人が自由を感じるためには、束縛が必要となる。不倫する者が婚姻者であるように、婚姻という枠の中からでて、自由を満喫する。言い換えるなら、「自由とは、存在する束縛の外へ飛び出す事である」と、いえば分かりやすい。

妻(夫)が悪い、よくない、結婚が失敗だったという人もいるが、相手にも家庭に不満はなく、結婚が失敗だったわけでもないが、それでも配偶者以外と性的関係を持ちたいのも、婚姻という枠に飛び出す自由を求めるからだ。夫婦は互いに貞操を守るよう要求する権利を持つ。これを守操請求権というが、実は民法の条文のどこにも、貞操を守る義務についての明確な規定はない。

夫婦に貞操義務はあるが、条文にすら書かれていないのはなぜか?つまり、罰則を設けることが適切でないからである。というのも、夫(妻)が浮気をした、不倫をしたからといって、罰を与えなければならないものでなく、要は被害側(浮気をされた側)が、絶対に許さないというものでもない。つまり不貞行為は、「離婚の原因になり得ますよ」ということである。

離婚を望む者にとって、離婚理由にはなり得るが、離婚を望まぬ者には、その限りでない。上記した、「夫婦は互いに貞操を守るよう要求する権利(守操請求権)というのは、不倫相手に対して以下のような理由に基づき、原則として損害賠償(慰謝料)を請求することができる。妻が夫の不倫相手に求めるのが一般的だが、夫に求めたケースもないわけではない。

有名なのが小柳ルミ子の元夫大澄賢也に対する1億円とも言われる損害賠償である。離婚を認めない小柳に対し、離婚を望む代わりに要求された1億円を分割で払った大澄は明晰である。もし、あのまま離婚しないで小柳の僕(しもべ)となっていたら、大澄は自由を供与されない奴隷同然であったろうし、ルミ子女王さまの呪縛を切る1億円なら、安いものではないか。

己の望みを叶えるために小柳の言い分を受諾した大澄、その後に及んで小柳の悪口や不満を一切言わなかった大澄は男である。13才年上の小柳に自分から交際を申し込んだというが、離婚の原因について、「小柳のおかげでいろんな仕事をしていくなか、冷静さを欠いていた」と大人の発言である。「彼女には感謝の気持ちを抱いている」と、大澄は男を上げた。

過ぎさったアレコレを笑い話にできることはある。笑い話にできないこともある。笑い話にできるのは笑い話に転換できるからで、笑い話にできないことは、笑い話にできない何かが被さっている。「あの時はマジで死のうと思った」。「死ぬつもりだった」なども、死ななかったから笑い話にできるが、もし、自殺などしていたら、そのこと自体を悲劇というしかない。

生きていれば如何なるなことですら、笑い話にできたはずと、考えるなら笑い話を笑い話にできないのは悲劇である。「笑いばなしに涙がいっぱい」との表題だが、悲しくても生きているから笑い話となる。泣きながら、涙に目を曇らせながら、そういう笑い話もある。笑える話だけが、「笑いばなし」というのではなかろう。人間は複雑であるがゆえに、人生はいろいろである。

泣いて哀しむ笑い話というのは自分の過去にはないが、情緒は分からなくもない。うれし泣きがあるように、泣き笑いもある。人間社会における最大の罪は、殺人ということになっている。が、それは法治国家として決められた最大の罪であって、人間社会の矛盾は、最大の罪を最大の罪とできないことにある。つまり、殺人以上の罪が存在するということだ。

ヒドイ仕打ちに比べたら殺人などは罪のうちにはいらない。そんな罪も人間は起こし得る。殺人以上のヒドイことは、この世にいくらでもある。しかし、どういうものが殺人以上の罪であるかを、個々具体的に決めるのは至難だろう。決める側の主観によっても異なる。また、殺人以上の罪を認めるのは、社会秩序の問題もあるが、複雑な人間社会には殺人を無罪とする人間愛もある。

法律用語で、「情状酌量」という語句を使うが、殺人が無罪になるケースについては、被疑者が起こした殺人行為より、被疑者が被った仕打ちや虐待を殺人以上の罪とすることだろう。動機には要因がある。殺人を犯した動機、殺人を引き起こすことになった動機の要因、果たしてどちらが重いかを人間は正しく量れるものなのか?自分は「否」である。


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