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Channel: 死ぬまで生きよう!
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かまぼこ板の贅沢

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ピーマンとかまぼこをオリーブオイルで炒めて、ウスターソースをかけて食べると美味しい。ピーマンの薬味にかまぼこの甘さがマッチし、それをウスターソースが溶け合えば味のハーモニー。簡単すぎる一品だが、果たしてこれを料理というのか?炒め物とはこうしたものだろう。料理であるかないかの自己問答なら、目玉焼きもゆで卵も料理とはいいにくい。

一人前だがピーマン5~6個は使う。幅1cmくらいに切り、かまぼこは3分の2ほど使う。全部入れればいいのだろが、各々食材はバランスが大事である。ハーモニーとはバランスの調節だ。混声合唱なら、ソプラノ・アルトとテノール・バスのバランスが上手く取れていると美しく響く。同じく料理はまさにバランスの神髄である。まあ、何につけてもバランスは大事だ。

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時々、体がピーマンを欲しがるようだ。スーパーでピーマンの前にピタリ立ち止まると、体が求めている。何が食べたいか分からない時、ある食材の前で体が止まれば、今自分はそれを欲しているという、食における自然の摂理。残ったかまぼこの3分の1を包丁で切らず、板のまま噛ぶついてみた。子どものころ、親によくかまぼこ板をのすけられた思い出がある。

「のすける」とは広島地方の方言で、手渡すの意味。板に残るかまぼこを歯できれいにこさげて板だけにしてゴミ箱にポイ。上流家庭はこんな行儀の悪いことはしないが、貧乏家庭では当たり前の技。カレーの皿も洗う必要のないくらいにきれいに舐めたりしたが、これを女の子がやると、「行儀が悪いからやめなさい!」と親は叱るのだろうか?たとい貧乏家庭でも…

親は男の子と女の子では育て方が違うはずだ。我が家においても、長女と次女は年子、長男は3歳下であったが、女の子には弟をママゴトに誘わぬよう厳命していた。上が女二人だと資質的な影響を受けるからという配慮だった。何事も最初が肝心というのが自分の考えで、物事は後手を引かぬように先手、先手の対処が大事と思っていた。風邪予防の対策と同じこと。

風邪は引くかな?と思ったら即効で対策をすれば引かないで済む。風邪に効く薬はなく、医師や薬剤師は風邪薬を飲まない。というのも、風邪薬が副作用で逆効果になる場合もあるからだ。風邪の原因はほとんど複数感染ウィルスで、市販薬は、複数の症状に対応した薬が配合されているため、軽度な症状のときに飲むと副作用が強く生じ、だるい、発熱などを起こす。

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「くしゃみ三回、ルル三錠」というキャッチコピーで三共の「ルル」は売れたようだ。「ルル」シリーズの中には、市販の風邪薬には珍しい、「トラネキサム酸」という成分を含有しているものがある。ヒトの体内には、「プラスミン」という物質があって、これは、炎症を引き起こす物質であるキニン類の働きを強めて、体内で炎症を引き起こす原因となるようだ。

「トラネキサム酸」は、上記プラスミンの機能を抑えることで、炎症を鎮める働きをする。風邪の場合でいえば、のどの腫れや痛みを抑えることになる。また、トラネキサム酸は、「トランサミン」の名で、医療用医薬品としても使用されている成分だが、これは約50年の使用経験のある成分でありながら、風邪に対する効果についてはよくわかっていないのが実情。

「薬は毒に、毒は薬に…」というように、毒と薬は表裏一体の同じもの。「毒をもって毒を制す」というのが、人体と薬の関係といっていい。毒の王様である青酸カリは人工毒だが、自然界は毒の宝庫である。「毒」は怖い、恐ろしい、のイメージが強いが、毒は非常に身近な存在である。そもそも、「毒」というのは、人間の都合で命名したに過ぎないということ。

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「トリカブト保険金殺人事件」というのを記憶する人も多いだろう。1986年(昭和61年)5月20日に発生した保険金殺人事件で、凶器としてトリカブト毒が用いられたことが話題となった。、司法解剖を行った医師が被害者の血液などを保存していたため、その後の分析で殺人であることが発覚した。急死した犯人の妻は、当初は急性心筋梗塞と診断され、事件性はなかった。

犯人神谷力は、事件発覚までの過去5年間に、事件の被害者を含む3人の妻を亡くしていたが、いずれも保険金詐取の毒殺をしていながら葬儀で涙を流すなど、完全犯罪を目論んだ悪い奴であった。公判中から自らの無実を訴え、『被疑者―トリカブト殺人事件』著し、服役後も『仕組まれた無期懲役―トリカブト殺人事件の真実』を著すなど、無実を訴え続けた。

用意周到な計画もあってのことだが、突然死した被害者である妻の友人が不審を抱き、知人の1人が手当たり次第に保険会社に本件の内容を連絡した。保険会社でも、3人の妻の突然死に不審を抱いたこと、妻への保険金額が常識では考えられないことから警察に相談した。以下に示すように、四社の掛け金総額185550円で、保険金額は1億8500万円であった。

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この話はさておき、世の中にはすぐに薬を飲む人と、飲みたがらない人がいる。自分は後者だが、他にもそういう人の声はたまに聞くが、どちらかといえば前者の方が圧倒的多数である。どちらが正しい?という事もないが、「薬をやめれば病気は治る」という医師が書いた本がある。読んだわけでも読むつもりもないが、あまり深刻にならず面白く読むのもいいではないか。

安易(と思える)に薬をだす医師は多く、薬づけ医療が問題になった日本社会は、多少なり改善の兆しが見える。それでも医師の処方する薬に、「薬は結構です!」と言えない日本人の問題がある。ピーマン炒めからこんな話になっているが、何を書いたところで大層なこともなく、取り立て主眼もない所詮は暇つぶしの道楽ブログなら兼好法師流がよかろう。

板付きのかまぼこを食べながら、ふと板を見てちょいと驚いたのは、四方柾の木取であった。四方柾とは読んで字のごとく、切片の4面すべてが柾目という木取りの中でも最も贅沢なものだった。柾目であるのは2つの理由がある。一つは煉り状態の柔らかいかまぼこを板に乗せたとき、かまぼこの乾燥に合わせて水分を出し入れすることにより長期間一定の水分量を保つ。

金属や樹脂では不可能な木材の特性であり、これによって腐敗を抑える効果がある。かまぼこ板の原材はホワイトファーで、日本名はもみの木。クリスマスツリーの木ですである。もみは木肌が白くて柔らかく(水を吸いやすい)くせが少ないために使用される。反りや狂いの少ないのも大事な要素だが、そのために柾目を使うが、四方柾はもっとも狂わない木取り。

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かまぼこ板が反ったり、ひん曲がっていたのでは味には関係ないが見た目が悪い。それらを考えると、かまぼこというのはつくづく贅沢品であるなと思うわけだ。ついつい趣味の将棋盤や駒に重ねて考えてしまう。駒にも柾目と板目があり、見た目にも柾目がいい。材の黄楊(ツゲ)はとても堅く、板目であっても狂うことはないが、木目がつまっているので美しい。

同じ柾目でも、幅の広いのを荒柾、狭くつまったものを細柾、さらに極細を糸柾という。日本のツゲの産地として薩摩ツゲ(鹿児島県)と御蔵島ツゲ(伊豆諸島に属すが東京都御蔵島村)があり、気候のよい鹿児島の方が木が育ちすぎるので、柾目の感覚は広く、台風などに見舞われ苦しく難儀して育つ御蔵島のツゲの方が、色、艶、密度など全てにおいて高級品となる。

一方、将棋盤は榧油でなじみの榧の木が最高級とされる。樹脂が多く、木に粘りと弾力があり、打ち付けてもクッションのせいもあって、疲れない。堅い木に硬い駒や碁石を打ち付けると、しびれてしまう。用材的に最高級はヒノキであるが、将棋盤や碁盤に柾目取りで使うとなると、少なくとも直径1.5m以上の大木が必要となるし、これなら柱が数十本も取れる。

したがって、ヒノキの大木を盤に木取るのは効率上適切と言えない。とある将棋愛好家が、特注した台檜(台湾檜)の7寸盤を見たが、榧の甘い香りはなく、ヒノキ独特の臭いがきつく、色合い的にも榧盤が勝ると感じた。盤にも板目、柾目があり、柾目版は木の中心から左右の木取りをするため、大木でなければならない。板目版は木の中心が盤の天面に板目模様と現れる。

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柾盤は高価で、柾盤の天面は柾目である方が視覚的にもよいとされるが、近年は榧の大木が産地に希少となり、もっぱら中国四川省産が輸入されている。価格も国産榧に比べて半分~3分の1程度と安いが、日本産榧とちがって香りがキツイ。バブル前、国産日向榧の天柾の6寸盤は100万~200万が当たり前だが、昭和50年に板目の6寸盤は家宝にとの思いで買った。

趣味は道楽になり兼ねない。後に柾盤を買った時は夢を手にした気分だった。趣味と道楽の違いは、お金のかけ方か?安い盤と駒でも将棋は指せるし、それが純粋な趣味であろう。道楽は自身の楽しみだがこれも道なら仕方がない。他人から反感を買うこともあるので対局あいてはを選ぶに限る。無用と知りつつ買うわけだから自慢とはいい難くも、人にはそう解されないこと多し。

いいものを持つ人なら見に行きたいし、素直に称えたいが、お金がかかっているからか人によっては嫌な気分になる。これは仕方のない。趣味は良い響きだが、道楽には良い意味がない。道楽息子、酒道楽、女道楽など…。「かに道楽」というのは悪いイメージはないが、最近はかにも飽きて食べたいと思わない。かにカマが意外に美味しい。が、あれには板がないな。


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