12日夜、栃木・宇都宮市のアパートで28歳の看護師の女性が、血まみれで死亡しているのが見つかり、警察は、殺人の疑いで知人の27歳の男を逮捕した。殺人の疑いで逮捕された、菅野龍容疑者(27)は、宇都宮市御幸本町のアパートの室内で、この部屋に住む、知人の看護師・根本紗貴子さん(28)を、室内にあった文化包丁で刺して、殺害した疑いが持たれている。
根本さんは9日以降連絡が取れなくなり、家族が警察に届け出ていたが、12日午後7時ごろ、自宅を訪問した警察官が血まみれで死亡している根本さんを発見した。なくなっていた根本さんの車を捜索していたところ、福島県内で発見し、乗っていた菅野容疑者を任意同行のうえ逮捕した。菅野容疑者は、「根本さんから、冷たくされたため、刺した」と、容疑を認めている。
東京・目黒区で9月から行方不明になっていた24歳の女性会社員について、10月25日に死体遺棄の疑いで住所不定・無職の佐賀慶太郎容疑者を逮捕した。女性は警視庁に、「この男が私のことを探っている」と、4度相談していた。佐賀容疑者は、先月17日から20日ごろにかけて、東京・目黒区に住む会社員の中元志織さん(24)の遺体を捨てた疑いが持たれている。
中元さんの自宅マンションからは中元さんの血液反応があり、佐賀容疑者は調べに対し、「遺体をバラバラにして利根川や荒川、自宅の排水口などに捨てた」などと死体遺棄容疑を認めているという。警視庁によると、佐賀容疑者は中元さんの元交際相手だったということで、「ケンカになって刃物で刺した」と、殺害についても関与を認めているという。
事件が発覚したのは先月20日。東京都内にある中元さんの勤務先から、「中元さんと連絡が取れない」と警視庁に届け出があった。その後の警察による捜査で、中元さんの元交際相手である佐賀容疑者が、届け出のあった数日前に、中元さんの住むマンションの近くをレンタカーで走行していたことが確認されるなどしたため、25日の逮捕に至ったという。
「見た目はおとなしい子。びっくりした。そんな子ではなかったので」(中元さんを知る人)
そんな子とは、年齢50歳の中年男と付き合っていたこと。中元さんは昨年11月、当時、アルバイトをしていた店で、客として来ていた佐賀容疑者と知り合い、交際に発展。一時は同居していたこともあった。しかし、二人は今年5月ごろまでに別れ、7月には中元さんに暴力を振るったとして、佐賀容疑者が暴行の疑いで埼玉県警川口署に逮捕されていた。
佐賀容疑者は、7月27日に釈放された際、「中元さんに近づかない」との誓約書を埼玉県警に提出していた。しかし、その後も中元さんは自宅を管轄する目黒警察署を訪れ、「佐賀容疑者が私のことを探っている」などと、事件のおよそ1週間前まで4回にわたってストーカー相談をしていたといい、目黒署では自宅を引っ越すことなどを勧めていたという。
中元さんはそのまま事件に巻き込まれたとみられ、今も行方がわからないままである。警視庁は佐賀容疑者の逮捕を受けて、「被害者のアクションがなかったということはあるが、結果として残念」などとコメントしている。ちょい待て、中元さんは警察にストーカー相談をしているではないか?なのに警察は、「アクションがなかったことは残念」って何だそりゃ?
と思うだろうし、ネットの書き込みにも、「被害者のアクションが無かったと警視庁は言うが、狙われているとか、ストーカーされてるとか、アクションを出している。もし、これで被害者女性が殺害されていたら、警視庁は怠慢だと叩かれるでしょう。楽しみです」という意見もある。「楽しみ」はともかくとして、警察のいうアクションの意味が分かってないようだ。
警察のいうアクションとは、引っ越しなどの身を守る行動のことだ。警察に相談したからと常時監視をしてくれたり、ボディーガーつけてくれるわけでもない。「男に分からぬよう引っ越しをするなどで行方をくらましなさい」と、これが警察のいうアクションである。何処に行くにせよ、家探しも大変、勤務先も知られてるなら変える必要があり、お金もかかる。
が、ストーカー被害を防ぐにはこれしかない。命の危険性を感じるのか、感じないのか、感じるべきか、まさかそこまはないと思うのか、起こることは誰にも予測できない以上、最悪の事態を考慮して行動するにこしたことはない。警察はそうアドバイスをするしかなく、後は自己判断である。佐賀容疑者は、なんと女装して待ち伏せしていたというから恐ろしい。
以前、自分の知るある女性は、マンションのベランダで洗濯物を干しているとき、隣室に越してきた男がベランダの境界ボードから顔を覗かせ、「こんにちわ」などと挨拶程度に話しかけられるたことが怖くなって、すぐに引っ越しをしたという。男の自分は、「それだけで引っ越し?」と驚くしかなかったが、付き合って分かったのは、幾分臆病な女性であった。
臆病な性格を別の言い方で慎重派という。今の女性はそうまでないだろうが、昔は臆病な女性が多かった。ワザに引っ越した理由は、「キモチ悪くて」だったが、そこは当人にしか分からないことだ。確かに、ベランダの境界からワザワザ顔を覗かせるような男は、気持ち悪いというよりマナー違反も甚だしい。下着などを室内干しする女性の気持ちも理解に及ぶ。
別のある女性は窓を開けなかった。ばかりか、カーテンすら引くこともない、そんな部屋だった。初めて部屋を訪れた自分が無造作にカーテンを引き、窓を開けると驚いたのか、「止めてください」といった。鈍感な自分は、「何で?」と聞くが、前の部屋住人からの視線が気になると、言われてビックリ。そんなことは説得するが、女の一人暮らしは大変と知った。
そうした男女のさまざまな差異を思春期時期に学ぶのだが、相手を殺すに至る男女関係はなんとも理解しようがない。「男女関係のもつれ」と簡単にいうが、もつれにもいろいろあろう。事件は体験ではないゆえ、報道から想像するしかないが、それでも男女のもつれからの殺人事件の報に触れ、「人を殺すなどは大変なこと。絶対すべきでない」と学ばないのか?
様々な事件の報に触れるだろう?なのに、なぜ学ばない?人を殺さないを学ぶくらい簡単だろうに…。と、思ってしまう。追いかける男がいたとし、最悪の事態を考慮するなら逃げるべきだが、最悪の事態というのは、起こって見なければ実感しないのだろう。「まさかのときに共和火災」というCMが頭にこびりついているが、それが保険というものの主旨だ。
アクションを起こさなかったことで、殺されてもはや後悔もくそもないが、警察のいう、「被害者のアクションがなかったということはあるが、結果として残念」という言葉は、そういうものかも知れない。つまるところは自己責任なのである。中元志織さんは、24歳の若さで交際相手に殺されてバラバラにされて、川に遺棄されたが、自分の身は最後は自分で守るしかない。
何が問題だったかについての正解はない。26歳も年上の男と付き合ったことが悪いわけでも、若い男ならよかったわけでもない。栃木の看護士は28歳、彼氏は27歳だから、年齢のことは理由にならない。一切は運が悪いという以外に答えはない。こんな男と付き合ったのが間違いだったといっても、こんな男がどんな男か、付き合う前にはわからないのだから。
執拗に追い回され、あげく殺されることになるなど、付き合うまえも途中も、誰が考えるだろう?。ならば、何が悪い?運が悪いとなる。中年男には、若い男の二人分くらいの魅力があり、だから結構若い女性にモテるという。も26歳の年下の女性を、「ケンカになって刃物で刺した」などと信じれん。27歳男の、「冷たくされて」よりも理解不能だが、これが世間である。
何が起こるか分からないし、何が起こっても世間である。事件の報に触れたものが、心して学ぶ以外にない。人が寿命を延ばし、延ばす研究もされる一方で、日々の新聞は虫けら同然に扱われる命の儚さを報道する。ディケンズは、「あらゆるものが備わっているようで、なにもない」と憂いた。『二都物語』の冒頭の一節だが、まるで今の時代を予兆した言葉である。
「それは、今までの時世の中で、最もよい時であるとともに、また最も悪い時でもあった。英知に溢れているようで、また愚昧な時代でもあった。信仰の時代であるとともに、また不信仰漲る時代でもあった。光明に輝いているようで、暗黒に閉ざされた時代であった。希望の春であったが絶望の冬でもあった。我々の前には、あらゆるものが、備わっているようにみえるのだが、また何もないようであった。」
戦争を通して、戦争の悲惨さを学ぶように、殺人事件を通して、人を殺すことの慈悲の無さをなぜ学ばないのか。一部の低俗な民族が、先の大戦から学ぶことをせず、戦争を行っている。同様に、一部の低脳な人間が、殺人事件から何を学ぶことをせず、人殺しをする。何の罪もなく被害にあう人たちがいたわしい。せめて事件から人は身を守る術を学ぶことだ。