Quantcast
Channel: 死ぬまで生きよう!
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1448

りまさんをいじめたバカども ⑤

$
0
0

「突然でごめんなさい。ストレスでもう生きていけそうにないです。りまが弱いのは自分自身でも分かってるし、りまが悪い所もあったのは知ってるけど、流石にもう耐えられません。東京いって全国でまた皆で優勝したかったけど、行けなくてごめんなさい。だから7人で、優勝してください。」


これは葛西りまさんの遺書の書き出しである。りまさんをいじめた加害者は数人で、名前も特定されている。彼女らが今後新たないじめをやるのか否か、教師だけでなく学校全体が鋭い監視体制で臨まなければ、犯罪者を野に放っているようなものだ。教師が舐められているのか、その辺は分からないが、個々に呼びつけて面談し、注意を促すのは当然のこと。

イメージ 7

イメージ 1

市教委や警察もしくは法曹関係者などと相談し、「誓約書」を書かせる是非について話し合うべきと思うのだが。加害者がりまさんに行為したいじめは、「無視」以外にも「暴力や恐喝」、「万引きの強要」や「自殺の練習」までやらされていたという。警察が本気で事件にすべく動いたなら、逮捕はともかく補導すべき事案だが、学校の要請がなかったのだろう。

いつもながら被害者の人権よりも加害者の人権が重視されることが多く、特に被害者が死んでしまったケースではその傾向が強いのは、さまざまな理由がある。確かに加害者は悪い。がしかし、加害者にも家族がいる。加害者を大々的にメディア報道でオープンにすれば、何も悪いことをしていない加害者の家族が、社会から被害を受けることが予想される。

加害者憎しという世間の波が加害家族に及ぶことは避けなければならない。あくまで家族には関係のないことである。諸外国とは違って、日本人は陰湿傾向にあるということもあるのではないか。そういう偏りがなければ外国のように加害者をオープンにさせることが出来る。英国は精神疾患の患者でも犯罪者は犯罪者として扱うし、それが出来る社会である。

日本人の人権に対する意識レベルが他の先進国までに至っていないのが一番の問題である。「心神耗弱で責任能力がないので無罪」というのも実は問題である。年端もいかない子どもに責任能力は問えないというのは分かるが、「心神耗弱で責任能力がない」人間が、普通に生活していいものか?まあ、犯罪が起こった後に分かることと言われるなら仕方がない。

イメージ 2

が、そういう人間が野放しにされている雑多な社会であるのは事実である。中学生のいじめ事件は、逆に子どもであることが問題となるくらいに凄惨である。大人には思いもつかないような卑劣な言動がある。万引きの強要、自殺の練習などは未成熟な人間の愚かさというしかないが、未成熟だからと対応せず、処置もせずに放っておくのは大人の責任である。

いじめ自殺に思うことは、殺され者損という気がしてならない。言い替えるなら、殺したもの勝ちということ。これは暴力が正当化されたことになる。こんにち社会においては、精神的暴力は肉体的暴力以上の暴力と見なされている。大人社会における職場には、「セクシャルハラスメント」や「パワーハラスメント」といったいじめや嫌がらせがある。

「セクハラ」、「パワハラ」というのは、それに準じた「嫌がらせ」を定義づけた言葉であり、刑事罰として法制化されたものではない。が、パワハラを受けたことが原因で、さらに無視や仲間はずれなどの職場いじめに発展する場合もある。仕事場において、「あの上司はむかつく、腹が立つ、いっそ告訴でもしてやろうか?」と思う人間は少なくないだろう。

しかし、結論から言うと、パワハラを刑事告訴するには余程の強い覚悟が必要である。そもそも、パワハラ行為の全てが刑法上の犯罪に当たるわけではないため、立証すること自体が難しいからだ。セクハラも同様である。さらには、刑事告訴の立証の程度は、民事訴訟と比べると格段にシビアであり、法律専門家の協力ナシに戦うのは困難極まりない。

イメージ 3

が、無理というのではなく、刑法に抵触するパワハラ行為もあるがゆえに、専門家の協力がいる。大人社会のいじめも子ども社会のいじめも対象に苦痛を与えるという基本は同じであるが、大人には子どもにはない我慢や許容量というものがある。りまさんは、「他校の男子とやっている」、「ブスのくせに軽い女」などと嘘の風評をまかれたという。

自分もかつて、関係していない女に「関係を持った」と広められたことがあり、それを知ったときは一瞬驚いたのは事実。しかし、彼女がなぜありもしないことを触れ回ったのかを考えれば、その意図は単純に理解できた。露骨にいえば、女が誘ったが男がそれを受けなかったことへの意趣返しである。「バカな女よ。こっちにだって選ぶ自由はある」である。

そんなことは口には出さないし、もっとも会社の女に手を出すような安易さは自分にはない。スカートを履いていれば入れ歯女でもいいという男はいるが、人は人であって、非難はしない。嘘を広めた女に事情を聞かずとも洞察すれば理解はでき、だから放って置いたが、13歳のりまさんがそういう屈辱的な虚実に対し、金持ち喧嘩せずのキャパはないであろう。

とかく子どもは、嘘のことにムキになりやすい。聞き流すこともできない純粋さが若さであろう。「あいつがそんな嘘を振りまいている?バカだね、あいつも…」などは腰の据わった大人であろう。事実、大人でも「ない」ことを、「ある」といわれてムキになる者もいる。「ない」ことを、「ある」という奴に弁解するのは、言い訳と取られる場合が多く、だから自分は無視する。

イメージ 4

「お前がそう思うなら思っておけ」という対応で済ませる。否定も肯定もしない立場をとることで、相手はいっそしつこくクロ、シロを知ろうとするが、「だから、好きに思えって」その言葉以外関わらないようにする。裏を返せば、自分を疑う人間と自分との間には成熟した人間関係がないということだ。否定して、「わかった」という奴なら、そんな疑いなど最初から持たない。

いかなる噂や風評であっても、相手を信頼する人間はそれに惑わされない。それが、自分の理想とする人間関係である。一言で済めばいいのであって、それを信じれば疑いはないという信頼関係である。それを安易と曲解して騙そうとする人間もいるが、こちらから払い下げだ。ハナっから人を利用しようとする人間は、安易で騙しやすい人間をターゲットにする。

自分は騙しやすい人間に見えるようで、実はそういう姿勢で相手の本質を見る。すると誠実な人間と人を利用する人間がくっきり見えてくる。むかし、身内のいない金持ちばあさんが、財産を捧げるに相応しい相手を探すのに、わざと身なりの貧しい乞食を演じる話が合った。「舌切りスズメ」の欲な婆さんもそうだが、相手の貧富で態度を変える人間がいる。

これを人間の浅ましさというしかない。「1万円の客より、1000円の客を大事に」という商売の鉄則を耳にした時も、「なるほど」と感じ入った。心汚い、薄汚れた人間を知ろうと思ったら、人に付け入ろうとする人間を見つけたらいい。その点だけで人の違いはハッキリする。バーゲンに群がる人、ゆったりとした気分で買い物をしたい人、それも人の差である。

イメージ 5
 
それなくして、お体裁の話ばかりしたところで、子どもの心に深く浸透しない。子どもが感じていて、どうしようもない問題を先取りして話し合う、その真剣さが親になければダメだろう。さらにいうなら、自殺についての話もすべきである。我が子が自殺などすると思わないでなく、いじめで自殺などは、逃避であって実は死んでも後悔するものであると。

とにかく、作り話でも何でもいい、様々な仮想問題を掲げて子どもと話し合う、そんな親であるべきだ。どの友達よりも最も頼りになる友達で親はあるべきだ。そのくらいの情熱と気概が親にほしい。熱い親が子どもの心を熱くさせるのだと信じたらいい。子どもにとって親は「幻想」であってはならない。熱く語り掛ける、熱く話し合える身近な存在であるべき。

いじめで人生を閉じた人がいるのは大変に悲しい。こんな死が人の死であるなど、虚し過ぎる。「流石にもう耐えられません」の言葉は、いじめ側にはしてやったりであろう。つまらん人間がいるというしかないが、そんなつまらん人間に防御策を講じるのは本人であり、周囲である。人が死ぬのは誰の予測にない。予測は予測であっても、死んで現実である。

だから、予測に対して並々ならぬ危機感を持つべきだが、それが親や周辺の「熱い思い」である。予測できない自殺の防止ではなく、「熱い思い」が自殺を思いとどまらせるかも知れない。結果は未知だから、その過程において全力を出せるか否かである。子どもがいじめを受けている現状では「熱い思い」が全てであろう。学校がなんだというのか。

イメージ 6

共同体としての学校が、子どもにとってすべてというのは改めるべきである。一つの共同体だけに所属している人間などいない。りまさんは、手踊りをやっていた。彼女の踊りを何度も見た。今まで知ることすらなかった手踊りが、こんなに面白いモノであるのを知った。葛西りまという少女がいなければ、生涯知ることのなかった「手踊り」の面白さである。

りまさんは「手踊り」という得意分野で、自らの価値を高められなかったのか?一心不乱に熱中するものを人は支えにできるはずだが、りまさんはどうだったのか。毎日踊っているでない普段は普通の中学生である。こうして自分が書いていることも、どうにもならない後の祭りでしかない。が、一人の少女の死が悔しくも腹立たしく、書かずにはいれない。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1448

Trending Articles