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「ぬれぎぬです」

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日本将棋連盟は12日、三浦弘行九段(42)を年内の公式戦出場停止処分にしたと発表した。直接の処分理由は、提出を求めた休場届が期限までに届かなかったためとするもの。三浦九段は対局中に不自然な形で離席することが多いと、対戦した棋士から指摘があり、将棋ソフトを不正利用しているという疑惑が浮上。連盟側は三浦九段から聞き取り調査を始めた。

三浦九段は棋士の中でもトップ10のA級所属の棋士で、今月15日、京都市の天龍寺で開幕する第29期竜王戦七番勝負の挑戦者に決まっていた。そんな彼がカンニングの疑義をかけられ、聞き取り調査を受けることになったという。これらの疑義がまったく身に覚えのないことなら、三浦九段の屈辱ならびに名誉失墜はあきらかで、連盟側の落ち度では済ませられない。

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今回の件は、三浦九段と対局した棋士5名からの告発があったようだが、本人に聞き取り調査をすべきだったのか?これは早計のなにものでもないと思う。理由は、ソフトを利用したという明確な証拠があれば、連盟側が調査をするのはその限りでないが、疑惑というだけなら三浦九段と対局した棋士が、直接三浦九段に疑義なりのアクションを起こすべきでは?

疑惑を抱いた者が直接本人に正すべきで、それなら個人間の問題で済むことだ。「そんなこといたって、本人に聞くわけにはいかないじゃないですか?」というのは、確証なき疑惑だからであろう。万が一違っていたら、疑いをかけた側の立場はなく、謝罪は当然である。だから連盟に告発して調べてもらった方が人間関係の気まずさも起らないということか?

違反の確証がない疑義の段階で、連盟に告発するのは、された側にとっても侮辱行為ではないだろうか。「スマホで調べてません?」と聞きづらいから告発ってのも心外と思うが。例えばこういうケースは実際にある。会社の中で5名の金品が盗まれる被害があった。犯人は分からないが、どうやらAという人物が怪しい。5名は連名で会社に調査願いを出し、会社は本人に聞き取りをした。

会社は疑いをかけられた本人に対して、「5名の金品が紛失したと言ってるが、君は関知していないか?」というしかない。個人を特定した根拠は何だ?当然にして、「何の根拠に私が…」と問い返すべきであろうし、そう返されて会社は理由を説明できるのか?「彼らがそういってるから…」ではダメだ。「そういうことなら、彼らをここに呼んで欲しい」と、自分ならいう。

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つまりは全員に聞き取りをすべきで、曖昧な根拠での個人の狙い撃ちは間違っている。よって今回の連盟の対応は間違っている。三浦九段への疑惑について、まずは疑惑の深度を調査すべきだ。「対局終盤での不自然な離席が多い」というのは、疑惑の根拠として曖昧である。ソフトを利用した不正行為については、「ソフトとの指し手一致率」について調べる方法がある。

「ソフト指し」は、ネットの道場などで禁止されており、不正行為を摘発するために、ユーザーとソフトとの指し手一致率をチェックし、統計的に一致率が不当に高い場合、不正行為を行っていると見なし、アカウントを停止するなどの措置が取られている。連盟は告発後の、「ソフト指し」調査の有無に言及していないし、証拠らしい証拠を発表していない。

真相が明確でない疑義の段階で処分したなら、人権問題が発生し、当然にして違法である。仮にも三浦九段はA級棋士である。万が一彼の指し手が、ソフトとの指し手一致率として、他の棋士と比べて格段に高かったとして、だからといって不正を行っている根拠となり得るか?Aの物品がなくなったとし、Bが怪しいといえど、ただちにBに疑惑を向けていいのか?

複数の対局者が連盟宛に嫌疑を表明するなら、まずは連盟が主体的にソフトとの指し手一致率などの調査をすべきである。「七度探して人を疑え」というように、疑惑段階の犯罪容疑者を警察が用心深く内定し、確実な裏を取るためにやるのは、冤罪防止と人権に配慮するなら当然のこと。もっとも現行犯なら無用である。当然ながら三浦九段は現行犯でない。

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連盟の変人棋士橋本崇載八段は、以下のツイートをした。「数週間か1か月ほど前に、奴と対戦した人が不正行為をやられたと憤慨していると聞いた。恐らく、その後に決定的にクロ断定できるものを掴んで、踏み切ったのだろう。将棋連盟はタイトル戦開催まで数日というギリギリのタイミングでよく英断したと思う。始まってからでは、より取り返しがつかない。」

「ファンには酷な知らせと思うが、個人的にも1億%クロだと思っている。奴が除名になるかどうかは知らないけど、俺は二度と戦う気しない。以前からソフト指し、モラル、カンニング、再三警鐘を鳴らしてきたつもりだが、最悪の形になりただただ残念だ。これでも潔白を信じるという人はどうぞご自由に」。なんだこの書き込みは?同僚を「奴」だのと…。

これは疑惑を超えた罪人扱い発言で、その後、早まったことに気づいたのか、同日発言を取り下げた。その理由が、「取材の依頼とかきてたくさんきてこまってるんでツイート消します。この件の取材は一切NG。ちなみに言っとくけど、この件は僕ちゃん激おこだかんね」。なんだこの幼稚な言い訳は?発言の強さ、重みというわきまえがないタダのガキじゃないのか?

「奴と対戦した人が不正行為をやられたと憤慨…」これって聞いた話で、それで1億%クロと断定か?かの発言に取材がくるのは当たり前だろ?「これでも潔白を信じるひとはお好きにどうぞ」。などと威勢はいいが、風呂敷を広げすぎて墓穴掘ったのでは?個人が軽々に発言することではないし、列記とした人権問題ということも分からないのか?棋士ってのは。

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連盟が確実な証拠を持ってやったことなら分かるし、そう思いたい。でなければ三浦九段への聴取は常識を逸脱しており、日本将棋連盟は社会的バカ集団ということになる。厳格にルールを設定してこなかった連盟の責任も大きいが、ファンは「“黒”にしては軽すぎる、“白”にしては重すぎる」であろう。連盟側の調査に対し、三浦九段は以下の説明をした。

三浦九段が、「離席時は別室で体を休ませていただけです。不正についてはまったくのぬれぎぬであり、やましいことは何もしていない」。「これではとても(将棋を)指せないので休場する」と竜王戦を含む今後の対局の休場発言をしたという。連盟は12日午後3時を期限とし、休場届を待ったが提出がなかったため、連盟は12月31日まで公式戦出場停止処分を課した。

将棋界というところは、「村社会」である。村には村の論理があり、村の掟(規約)に乗っ取って行動しなければ、「村八分」の憂き目にあう。村で生きるものにとって何より怖れることだ。村という内輪社会にあって、陰口などは増幅されやすく、外部の者が冷静かつ中立的な視点抜きに、内輪の証言で物事を決めたりするのは公平性に欠けるだろう。

三浦九段がまったくの無実なら、ありもしない嫌疑に対して法的手段で対抗することも可能だが、それは村社会の掟に反した治安を乱す行為となろう。身分の保全と名誉棄損の訴訟を起こすとして、連盟が確たる証拠を提示しないかぎり、連盟側に分が悪い。が、訴訟に勝っても連盟内で孤立し、この一件は三浦九段と連盟にしこりを残す。これが村社会というところだ。

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連盟は13日、今後新たに三浦九段への追加調査を行わないことを発表した。処分は既に下っており、連盟側から三浦九段に連絡することはないとのことだが、連盟の対応は村落共同体論理であっても、社会的に見ればオカシイ。将棋連盟の理事らちは、三浦九段だけがスマホでカンニング可能な環境にあるわけではないことをどう考えているのか?

全員が等しくスマホを使える環境にある状況にあって、誰かが誰かを名指しで怪しいと告発したとしても、それを鵜呑みにするってのは、級友をチクった子どもの肩を持つ担任と同レベルである。告発された側が悪いなら、泥棒本人が、「あいつは泥棒だから捕まえてくれ」と警察にいえば、言った側は泥棒でなくなるのか?連盟の対応はどこか偏っており差別的だ。

三浦九段を擁護する声の多くは、「三浦九段はそんな人間ではない」という、単に情緒的な意見であるが、元「週刊将棋」編集長で、大阪商業大アミューズメント産業研究所主任研究員の古作登氏はこのように言う。「そもそも、プロを負かすレベルの将棋ソフトを使うには、高性能のパソコンが必要です。スマホ程度(の処理能力)では対応できません。

スマホの将棋ソフトは、せいぜい一般人の遊びレベル。離席してのぞき見たところで、プラスになるとは思えません」。体制側は、トカゲの尻尾を切って体制を死守するだろうが、三浦九段のいう「ぬれぎぬ」なら、名誉回復の方法は司法に委ねるしかない。それならやるべきであろう。周囲の村人の視線がどうあれ、天に恥じぬなら何も怖れることはない。

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トカゲの尻尾を切られても頭が残ってるわけだから、強く行動すべきである。「三浦九段とは将棋の本の出版で一緒に仕事をしたことがありますが、とてもまじめで、仕事も丁寧でした。将棋に関しては人一倍練習熱心な人で、不正など考えられません。出場停止処分にしながら、連盟から疑惑に関する詳しい説明がない方が問題でしょう」と、古作氏も憤る。

自分も三浦九段の無実を信じる。「ぬれぎぬといいながら、対局拒否したのはおかしいのでは?」との声もあるが、むしろ性格的に言葉少なく、朴訥とした三浦九段らしいのではないか。昔、武士は無実ゆえに腹を切った。死んで無実を証明してみせた。屈折した倒錯心理だが、言い分けを「善し」としない人間は、こういう抗議を「善し」とする場合もある。

三浦九段が無実を主張し、訴訟となった場合に連盟側は、「ソフト使用の疑いで年内の公式戦出場停止処分したのではない。本人が休場するといったが、休場届を提出さなかった事に対する処分」というだろう。事情聴取についても、「数人の棋士から三浦九段の対局中の挙動がおかしいと告発があったからヒアリングしただけ」と逃げを用意している。

とはいいつつ、連盟側は訴訟を怖れているのではないか?というのも、三浦九段に対する疑義は対局者からの密告であり、連盟が密告を鵜呑みにしたことが軽率と自分は考えるが、あとは有能な弁護士の腕の見せどころであろう。さて、前代未聞の一大事といえる本件、今後はどう展開し、どのような幕引きがなされるだろうか…。

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