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バカの論考 ③

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弁護士も検察官も裁判官も法学部で学び、司法試験を受けた後、合格者は最高裁判所に司法修習生として採用される。司法修習は裁判官・検察官・弁護士のいずれを志望する場合であっても、原則として同一のカリキュラムに沿って行い、修了後、裁判官なら判事補、検察官なら検事(2級)として任官、弁護士は弁護士会への登録を行い、それぞれ法曹として活動する。

いずれもが正義を行う強い人。のようにみえるが、実は我々と同じ弱い人間である。凶悪犯を極刑にするのも正義なら、凶悪犯の命を助けるのも正義であるように、いづれにも家族・親族はいる。それぞれが正義を行使するなら、それぞれが深く傷つくが、仕事であると割り切るしかない。ゆえに悪を追い詰め、方や悪を守ろうとし、最後は司法が断罪する。

訴訟や裁判というのは、真実を追究ではなく、正義の戦いでもなく、論理のテクニックを披露するディベートの延長線上のようなものである。凶悪犯などの弁護を恐れ慄いて断る弁護士はいる。国選でなければ、仕事を受ける受けないは弁護士に選択権があるが、巷には「凶悪犯の弁護なんかするな!」と叫ぶ声。弁護士も人間、これらの声に深く傷つくことになる。

それでは仕事ができないではないか。したがって、凶悪犯を救おうとする弁護士の気持ち、つまり弁護士の正義の理念とは、「困った人を助けることこそが正義」という考えにある。誰にも分らない架空の真実を法廷で争うのではなく、論理を駆使し、矛盾を激はして依頼人を救う。依頼人が凶悪犯であるとかは関係ナシに、凶悪犯に対する世間の非難も関係ない。


世間の声などまったく気にならないと言ったら嘘になる。先にもいったが、弁護士とて弱い人間だ。したがって、「あんな凶悪犯の弁護なんか、よくやれるよな!」という声を気にしないでいるためには、自分たちの仕事に対する「世間の無理解」と考える。人によっては「バカの無理解」と、自らを叱咤・激励するものもいよう。もちろん、口には出さないが…。

仕事に誇りを持つとはそういう事でもある。世間の非難は理解できるが、仕事に邁進・鼓舞するための「バカの無理解」である。バカという言葉を「無知で純粋」と置き換えるなら、「なんで弁護士は悪い人の味方をする?」と多くの人間は思う。舛添がいかに悪人といえども依頼された弁護士は、共感できるできないに関わらず、彼の立場に立って弁護をする。

英米法には、「訴訟はゲーム」という考え方がある。特にアメリカはこの考えが顕著で、武器を多く、説得力ある証拠を多く出した方が勝つ。それが絶対的正義というわけではないが、どんなに疑わしくても証拠によって証明されない限り、責任を問えないと言うのは訴訟の基本である。日本の法体系は、もとはドイツ法がベースで、「絶対的真実発見主義」である。

この方が、何となく日本人の感性になじみやすいようだ。裁判をゲームと割り切ることができない空気が日本社会にあり、そのことが日本人にとっては、弁護士というシステム自体がしっくりこない馴染まない。ディベートというのは、「個人的な心情としては共感できない人の立場に立つ」ことを目的にしたゲームだが、遊び心のない日本人はディベートが苦手。

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悪い人の味方をしない、良い人にだけ味方する、というものでもない。それが弁護士の仕事である。したがって、橋下が舛添の弁護士を引き受けたら100%無罪にする。もっとも弁護士は依頼人を有罪にする仕事ではないし、舛添がそれを狙っているのは明らか。そうしたメディア、マスコミの無知を橋下は指弾した。舛添を辞めさせるのは議会しかないのだと。

橋下は、『たかじんのそこまで言って委員会』のレギュラー出演していた際、2007年5月27日放送のにおいて光市母子殺害事件弁護団に対し、「あの弁護団に対して、もし許せないと思うんだったら、一斉に弁護士会に対して懲戒請求をかけてもらいたいんですよ」と懲戒請求を行うよう視聴者に呼びかけたことがあった。(「光市母子殺害事件弁護団懲戒請求事件」)。

これに反発した光市母子殺害事件弁護団の今枝仁ら4人は、2007年9月に橋下に損害賠償を求める訴えを広島地裁に起こす。第一審、控訴審では橋下の行為を不法行為と認定、損害賠償を命じたが、2011年7月15日、最高裁判所は、「橋下の行為は弁護士として問題なしとしないが、懲戒請求の呼びかけそのものは不法行為とはいえない」として、原告の訴えを棄却した。

これが発端となり、2007年の弁護士に対する懲戒請求件数は、前年1367件の約7倍に当たる9585件となり、うち84%に当たる8095件が弁護団に対するもの。しかしいずれの弁護士会も、「弁護士の職責を果たすためで、懲戒事由に当たらない」との理由で、2007年11月22日付の東京弁護士会を始め、大阪、仙台、広島弁護士会と、いずれもが処分せずの結論を出した。

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これに対し橋下は、2007年12月9日放送の『たかじん~』において、「7000通も(懲戒)請求が出てるのに何にも意味がないんだ」と懲戒請求制度および、弁護士会の態度に不満を洩らした。「橋下的生き方」なるものがあるとするなら、朱に染まることなく多くの事象を客観的に見つめる。焼け跡派言論人小田実、大島渚、野坂昭如亡き後、ひとり異彩を放っている。

小田(東大)、大島(京大)らは左翼インテリだが、野坂(早大)は、違う。彼の『火垂るの墓』を左翼映画とガチャガチャいう者はいた。戦争を悲劇的・否定的に描くものは全て左翼的との短絡思考だろうが、誰もが生きる為に精一杯だったあの時代を知らない世代の言い草であろう。アニメはジブリ制作だが、共産主義者の宮崎駿の監督でなく、高畑勲が担当した。

昨今のインテリと彼らの決定的違いは、いずれも行動派であったこと。彼らの少し前に三島由紀夫(東大)がいた。彼はおぼっちゃまで、青白インテリの汚名を晴らさんがため、右翼思想に傾倒した。三島の没後20年にちょっとしたブームがあった。『文藝春秋』90年12月号で吉本隆明と西部邁の対談があった。吉本はかつて三島に最後の対談相手に指名された。

吉本が断ったために実現しなかったが三島は晩年、左派系論客との対談を積極的に行った。その中で戦中派として、同世代として、あるいは対極と見られがちな、吉本を指名したのだろう。吉本の著書に『共同幻想論』というのがある。友人が血まなこになって読み、是非ともと勧めてくれた本だが、薦められると読むのが嫌になってか、読む機会を逸した。

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「当時の教条主義化したマルクス・レーニン主義に辟易し、そこからの脱却を求めていた全共闘世代に熱狂して読まれ、強い影響を与えた思想書である。」との解説がある。吉本は「幻想」という言葉を好んで使うが、仮に国家が幻想であっても、問題はそこからで、幻(まぼろし)から何かが見えてくるものでもない。後に、『共犯幻想』というのをマンガで読んだ。

原作は斎藤次郎(本名:水上次郎)で、自著『若き日の読書』(1968年 三一書房 高校生新書)が切っ掛けだが、『共犯幻想』は吉本隆明著、『共同幻想論』の表題借用なのはいうまでもない。先に出たのが、『共同幻想論』だったが、時系列反転するほどに、『共犯幻想』の方が学生にインパクトがあったようだ。巻末には原作者による、6300文字相当の長い解説がある。

斎藤は漫画原作者として活躍後、1987年から子どもや子ども文化に係るミニコミ誌『三輪車疾走』、『子どもプラス』、『子どもプラスmini』の編集代表を務める傍ら、「BPO放送と青少年に関する委員会」副委員長などを歴任、教育評論家として子どもに関する多くの著作がある。2007年9月、岐阜県多治見市にあるダイニングバー「Jazz inn PAPA’z」で講演を行った。

その2週間後に長男(39)と、長男の同居人の女性(32)とともに、大麻取締法違反(所持)の疑いで現行犯逮捕された。斎藤容疑者は自宅書斎の机の引き出しの中に、ポリ袋に入れた乾燥大麻約10グラムを所持し、長男も自宅から少量の乾燥大麻が見つかったほか、居間で大麻10鉢を栽培していた。これで彼の教育評論家としての人生も、過去の業績も終ったことになる。

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逮捕時斎藤は68歳で、晩節を汚したことになる。若き日々を振り返れば、呆れるほどバカであった自分だが、その時は誰より正しいと思っていた。若さとは自分しか見えないようだ。大人になってもバカがいるが、あれは成長しないということなか?バカでなくとも権力を持つとバカになる。舛添もただの一市民であったなら、バカな発言はあってもバカな行為はなかった?

舛添と下村満子の対談の続きだが、彼は、「女の許せないところは、すぐ女を出して議論をするところ」とし、消費税に台所の主婦感覚で反対するのも、「オッパイ見せて僕を誘惑するのと同じレベル。女を武器にしている」と感情的な物言いに対し、「舛添さんはオッパイ見せられる程度で誘惑されるの?」と切り替えされた。引用の仕方がいかにも品性なき舛添である。

20日の釈明(しない)会見の前に、全米さくらの女王にハグ写真があった。ハゲがハグして悪くはないが、この写真はバグだ。耳元に顔を寄せた舛添の顔がキモイ。舛添の元妻片山さつきは表立った舛添批判をしなかったが、彼のバカさに我慢の糸が切れたのか、片山は舛添の会見を、「号泣県議と基本は同じ」といった。方や号泣、方や沈黙、どちらも同じ誤魔化しである。


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