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「子どものストレス」の行方

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9日午後7時20分頃、東京・品川区の東急大井町線荏原町駅で、女子中学2年生の2人が駅を通過しようとした上り急行電車にはねられ、死亡した。2人は同じ品川区立の学校に通う同級生。ともに13歳で自宅も近所だった。事故当時、2人は制服姿でホームにいたことから学校帰りとみられている。警視庁は2人が飛び込み自殺した可能性が高いとみて調べている。

2人のバッグからは人間関係の悩みを綴り、「死にたい」と書かれた数枚の遺書がみつかったが、内容は公開されていない。2人は手をつないで電車に飛び込んだとの目撃情報もある。持ち主を失ったナイキのスニーカーが、線路上に転がっていた。同学年の女子生徒は、「2人はいつも一緒にいた。悩んでいる様子もなく、亡くなったなんて信じられない」と話す。

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近所の人は、「昨日見たかな。全然変わった様子なんてない。行ってらっしゃいと言ったら、“行ってきます”と…」。女子生徒の1人の母親(42)は、2人は演劇部に所属、同じ高校に通おうと話し合うほどの仲良しだった。連休も家族で過ごし、昨日は一家でボウリングを楽しんだ。この日も朝食を食べて登校したが、いつもと違う様子は感じなかったという。

母親が「朝礼間に合わないよ」と言ったら、「わかった」と言って元気に返事をして出かけたと、残念がった。手をつないで電車に飛び込む行為は、死を避ける我々に勇気と映るが、死にたいものには勇気というより怖るに足りない手段である。あらゆる自殺があるが、すべての自殺は防ぐべきことなのか?覚悟の自殺であっても、それを止めさせるべきなのか?

13歳の少女の覚悟とはどういうもので、それは死ぬこと以外に解決がつかないことなのか?わからない。死ななければ解決できない人間関係の悩みがどういうものか…。遺書を見た人には分かるのだろうか?が、分かったとてそれでどうなる?かけがえのない命を失ったわけだ。おそらく少女たちの覚悟とは、誰かに話して解決つくと思わなかったのではないか。

親にとってこの事が残念であろう。専門家は自殺をどう捉えるのか?国立精神・神経医療研究センター部長の松本俊彦氏は、10年前から「心理学的剖検」に関わってきたという。遺族を情報源として、自殺既遂者が死に至ったプロセスを詳細に振り返る調査である。遺族の心理的負担は決して軽くない調査だが、聞き取り側にもある種のタフさが要求されるという。

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調査面接の際に遺族が提供してくれる情報は生々しく、遺書や生前の写真、自殺直前まで交わしていた家族や恋人とのメールやSNSのやり取り、ネットの閲覧履歴…。そうしたものを見ながら、感じとりながら、遺族の話に集中していると、自殺直前に故人が眺めていたであろう風景など、追体験する錯覚に陥るというが、これは同化といえる心情であろう。

多くの自殺者遺族との話を集約すると、自殺者の行動は矛盾に満ちていると言う。例えば、自殺当日の朝、遺書をしたためながら残り少なくなった洗剤やシャンプーを補充し、かかりつけ医で糖尿病や高血圧の治療薬をもらうなどの行為で、今日死ぬ者には不要なものばかり。そういう矛盾を感じとりながら、自殺者に「覚悟の自殺はあるのか?」と松本氏は問う。

自殺者の不可解な行動は何を意味する?死にたいは生きたいの裏返しゆえ、このような矛盾を生むのか?自殺者は覚悟の自殺というより、生の渇望と無意識の対峙がなされているのか?興味深いのは、自殺の名所で知られる米サンフランシスコの金門橋で飛び降り自殺をしかけているところを発見され、警察官に強制的に追い返された人たちのその後の調査がある。

それによると、数年後の生存率は90%を超えていた。支援といっても、「パトカーに乗せて自宅に送り届けた」だけだが、彼らの生存率の数字には驚く。ちょっとした手助けが元で、心の中の天秤量りの傾きが変えられ、命運を分けることになったのだろうか。他に理由が見つからない。「覚悟の自殺などない」と断言はできないが、些細な手助けを試す価値はある。


日本の自殺は、1998年に中高年男性を中心に急増し、14年間にわたって高止まりしてきた。最近3年間は減少傾向にあるが、中高年層の減少幅に比べて、10~30代の若年層の減少幅が小さい。日本の15〜39歳の死因1位は自殺で、先進国中にあって例外的な現象だ。現在、日本の自殺予防の新たなターゲットは若者である。 若者の自殺予防には早期の教育が必要である。

小学校から、『命の大切さ』を教える。これは間違いではないが、問題は教育の内容にある。命の大切さを教える授業は、ともすれば「命の尊さ」、「自分を大切に」、「産んでくれてありがとう」の連呼になりやすい。これらが真に自殺防止に寄与しているとは言い難い。自殺者の真の苦しみとは何か?それは、「人に助けを求めても無駄だ」と絶望しているのが見える。

自殺リスクの高い子どもの多くは、家庭や学校で暴力を受けたり、それ以外にも自らを否定される体験にさらされる中、誰かの助けを求めている。今回の2人の少女も、助けを求めたいが、おそらく誰にも助けを求めていない。だから周囲には何ら普通どおりに見えた。誰に期待も持てず二人で共鳴しあった。そんな子どもに「命の大切さ」などの言葉は気休めにもならない。

彼女たちの自己無価値感に価値を与えられる人間は、やはり親であるべきだ。親の期待に添おうとする子どもは、親に貢ごうとする子どもで、実は親が貢がせている。子どもに期待をかけるをいけないとはいわないが、子どもを親に貢がせないため、プレッシャーを与えないために、子どもへの期待は内に秘めておくべきものだが、あえてプレッシャーをかける親もいる。

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親がプレッシャーをかけることが、子どもの発奮になると考えているのだろうが、応援とか期待とか、それら名を変えたプレッシャー子どもにをかけるべきではない。競争のプレッシャーをかけ、望む成績でなければ気分を害す親は最低である。プレッシャーをかけるのが発奮目的なら、ビリでも笑顔で頭を撫でる親ならともかく、子どもの背中に馬乗りになる親がいる。

子に不機嫌になる親、生徒に不機嫌になる教師、部下に不機嫌になる上司、この三態は下位者にとって害悪であるのを気づいてないのか、分かってもやるのか、どっちも同罪だ。月に数回、年に数十回なら忘れもするが、日常的に辛い思いをさせられるから子は親を殺す。殺されない親は子どもの我慢に支えられ、あり難いと思わなきゃ、親の命は危険に晒される。

親からヒドイ仕打ちや言葉を浴びた時、いろんな我慢の仕方が子どもにある。外に出るのも方法だが、出たからには帰らなければならない。黙って自室に入り、一緒に食事などしたくない。子どもの自尊心として、与えられた餌をパクつくのが出来ない。こんなときに追い討ちをかけられると、「怒」が重なる。親は子どもが怒りを鎮めてるときは、はからう度量が欲しい。

過去、多くの子どもによる親殺しがあった。金属バットや刃物、あるいはロープなどの紐類で首を絞める。それを行為するときの子どもの心を思う時、こんな家(親の元)に生まれて来た悲劇としか言いようがない。「命の大切さ」、「産んでくれてありがとう」の教育と矛盾する親の子に対する、「お前なんか産まなきゃよかった」を子どもに吐く親は今でもいるようだ。

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そんな言葉をいわれた折には、聞き流すとか、我慢で食い止めるしかないが、あまりに重くのしかかり、自己無価値感に襲われれば自殺をするしかない。「勝手に作っておいてその言い草はなんだ!」と腹をたてたなら、親を無きものにするしかない。想像するに、このような言葉が自殺の引き金になった、あるいは親殺しの動機になったという子は、少なくないのでは…。

道徳教育などと、綺麗ごと言葉を並べ立てた教科書で、親子問題が解決できたり、早まった行為が抑止できればいいが、真に大切なのは、「つらい気持ちに襲われた時、どうやって解消するか、助けを求めたらいいか」、「友達が悩んでいたら、どうやって信頼できる大人に繫げたらいいか」、「信頼できる大人はどこにいるのか」を誰が教えるかだが、信頼=親であるべきだ。

同居の母親を殺害した疑いで警視庁に逮捕された東京都台東区の高校1年の長女(15)は、事件当時は中3であり、通っていた中学校では、「1人で教室の黒板に絵を描いていた」と同級生らが話すなど、周囲になじめずにいたらしい。少女は今年2月26日、台東区の自宅マンションで、当時41歳の母親の首にタオルを巻きつけ、絞めて殺害した疑いがもたれている。

教育熱心な母親は英語留学も検討していたといい、事件後に進学した高校に通常通り通学していた。専門家は、親に反発できず、「殺さなければ解放されない」と考えた可能性を指摘する。父親は仕事で不在がちで、長女は母親と2人で過ごすことが多かった。長女は千葉県内にある私立小学校に通い、系列の中学には進学せず、受験をして都内の私立中学に入学した。

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捜査関係者によると、長女は学業方針のほか、普段の持ち物などについても母親に干渉され、不満を漏らしていた。新潟青陵大大学院の碓井真史教授(社会心理学)は、「親への愚痴を周囲に漏らすことができずにいたのではないか」と指摘。「期待を一身に受け、いつのまにか親の世界に閉じ込められてしまった結果、最悪の手段を選択してしまったのかも…」と話す。

殺した動機は携帯をスマホに替えたい、買わないの口論というが、そんなのは切っ掛けであって、過去の一切が爆発したに過ぎない。爆発は小さいものから大きいものまであり、少女も小さな爆発は我慢をし、抑えたろう。そんな子どもの我慢をいい事に、親はさらなる我慢を強いる。「もう我慢なんかしない!」それが爆発だ。親は死んでやっと気づく。


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