4月4日夜、千葉市稲毛区稲毛東のマンションの一室で、派遣社員の茅野利奈さん(41)が首や腹などを刺され、死亡した状態で発見された事件で、県警では、凶器とみられる刃物が発見されていないことなどから殺人事件と断定、捜査本部を設置して捜査を始めていた。茅野利奈さんは部屋の布団の上に倒れており、腹を中心に複数の切り傷などがあったという。
また、茅野さんの部屋の鍵は施錠されていなかった。茅野さんは1人暮らしとみられ、4日21時頃、勤務先の会社から「茅野さんが出勤してこない」と父親宛に連絡があり、父親が様子を見に行った。茅野さんは、1日21時頃に東京都内の勤務先を退社、そのあとに事件に巻き込まれたとみられている。県警は殺人と断定、捜査本部を設置し100人態勢で捜査を始めた。
県警は28日、近所に住む飲食店従業員の藤長稜平容疑者(29歳)を強盗殺人などの疑いで逮捕した。藤長容疑者は先月中旬、女性に性的暴行しようとした疑いで逮捕、収監されており、茅野さん殺害を認める供述をしたことで、自宅を強制捜査し、茅野さん殺害の凶器とみられる刃物が見つかり逮捕した。藤長容疑者は現場近くで一人暮らしをし、茅野さんとの面識はない。
警察は今後、動機などを調べる方針。茅野さんの殺害状況だが、首や腹部には刺し傷などが複数あったが、部屋着姿で洋間で倒れており、室内には激しく争ったような形跡もなく、茅野さんが突然襲われた可能性があるとみて同日、遺体を司法解剖するなどし、当時の状況を詳しく調べる。6日に行われた司法解剖の結果、死因は血管が損傷したことによる失血死だった。
強盗殺人で逮捕された藤長容疑者はその後の調べで、「生活費や遊ぶ金のほか、借金の返済などで金に困っていた」などと供述していることが分かった。茅野さん殺害については、「強盗をしようとしたら抵抗されたため、殺害した」などと容疑を認めており、現場から50mの距離に住む藤長は、「自宅から歩いて現場に向かい、事件後はすぐ自宅に戻った」という。
藤長容疑者の逮捕を受けて、近畿地方に住む父親が日本テレビの取材に応じた。30前の息子が起こした事件であれ、行為について親に責任はなく、話す義務もないが、藤長容疑者の父親は逃げもせず、隠れることなく、キチンと対応した。逃げ隠れする親に比べれば、それなりに立派な親であろう。以下はそのやりとりである。
Q:藤長容疑者が千葉に行っているのは知っていた?
父:「知りません。家出したわけだから。捜索願を出していて(千葉の)警察から電話をもらったわけですから…」
父:「知りません。家出したわけだから。捜索願を出していて(千葉の)警察から電話をもらったわけですから…」
Q:(事件を聞いて)どう思った?
父:「天がひっくり返るような感じで、まさかまさかそんなことをすると思ってない。」
父:「天がひっくり返るような感じで、まさかまさかそんなことをすると思ってない。」
Q:いつ頃(実家を)出てってしまった?
父:「(去年の)12月20何日かです。たしか…」
父:「(去年の)12月20何日かです。たしか…」
Q:なぜ家出を?
父:「日頃のうっぷんがあったり、自分の仕事が合っているのか合ってないかの葛藤があったりしたと思う。」
父:「日頃のうっぷんがあったり、自分の仕事が合っているのか合ってないかの葛藤があったりしたと思う。」
Q:どういう息子?
父:「良い子だと思います」。「どうしても命にはかえられません。できるなら私が死んでかわりに、できるのでしたらそうしたい気持ちです」。「正直にすべてを話して、罪を償って、それから出てきたら被害者のところに行って改めて償いをする、何年かかってもそれをするべきだと思います。」
父:「良い子だと思います」。「どうしても命にはかえられません。できるなら私が死んでかわりに、できるのでしたらそうしたい気持ちです」。「正直にすべてを話して、罪を償って、それから出てきたら被害者のところに行って改めて償いをする、何年かかってもそれをするべきだと思います。」
息子の命と引き換えてもいいと、そこは親である。「出所したら被害者のところに行き…」はおそらく被害者遺族の間違いだろう。実はこの事件、被害者の茅野利奈さんの友人が自分の知人でもあり、県警は茅野さんの携帯から友人女性のところに電話をかけている。友人女性はその事で茅野さんの殺害を知り、たいそう驚いたと自分のメールに記していた。
そりゃそうだろう、聞いた自分も驚いた。知人女性は16日に千葉マリンスタジアムに行く予定があり、茅野さんと会う予定でいた矢先の事件であったという。が、友人女性は茅野さんと会うことも叶わず、16日には彼女のアパートの前で手を合わせたという。「信じられないな。なんでこんな目に遭わないといけないの。怖かったかな。痛かったかな。苦しかったかな。
こんなことをぐるぐる考えています。まだ犯人は捕まっていません。一体誰がなぜこんなひどいことをしたのか…でも、犯人が捕まって、どんな理由を言ったとしても、だからって殺さないでよ、なんで?なんで?って思うのでしょうけど。」と彼女は思いを綴っていた。人間は自分の肉親や友人、知人などの不幸や死に遭遇すると、深い悲しみに包まれる。
知らない他人に比べれば当然である。経緯を知った自分でさえ、見ず知らずの茅野さんが少しばかり身近に感じた。藤長容疑者は強盗と話しているというが、室内に現金は残っていた。警察は様々な疑問を突きつけ、犯行に至った経緯を詳しく調べる。性的暴行の前科もあり、強盗と言いながらも強姦目的の線もある。金が欲しいなら空き巣という手がある。
被害者とは50mの近隣なら、おそらく茅野さんが一人暮らし女性であるとのめぼしをつけていようし、室内に入った経緯も明らかにし、一人暮らし女性に喚起を促す必要もある。普通のアパートなので応答チャイムもなく、いきなり玄関をノックし、相手が隙間から顔を覗かせると、強引にドアを開けて室内に入る手口も考えられるが、これを押し込み強盗と言う。
この事件についてある女性が、「だから一人暮らしは怖い…。私も一人暮らしだけど、どうやって自分の身を守るか常に考えてる。」との書き込みがあり、それに対し、「こういう事言う女って大概、勘違いデブスなんだよな~」と、書き込むバカがいる。心ないを越えたバカに、「こういう事を書く男って大概、モテない醜男なんだよな~」と誰か書いてやれと思った。
まあ、それでバカが治るとも思わないが、これもネットの特質というしかない。実社会では顔を突き合わせて強い言葉をいう度胸のない人間が、ネットでのさばっているだけだから、言われた側も気にせず、周囲の誰もが、「バカだよね~、この手の奴は」と思うことだ。一人暮らし女性の言葉を目にし、男なら考えもしない不安を持ってるんだと、改めて考えさせられた。
今回の事件は、強盗であれ、強姦目的であれ、50mの近隣なら、おそらく最初から殺害目的であろう。「強盗をしようとしたら抵抗されたため、殺害した」と藤長容疑者の供述だが、室内が荒らされた形跡もなかった。物取りなら金目の物を漁るだろう。殺害後は自由に部屋を探索でき、それもない強盗の線はいささか弱い。強姦が主目的と考えるのが妥当である。
仮に、茅野さんが恐怖心から抵抗しなかったとして、藤長容疑者がレイプを果たしたとしても、おそらく殺害されたろう。あまりに近隣で面も割れているなら、殺害が自己保身と加害者は考える。女性が手を合わせ、助命嘆願したところで、生かしておくリスクは余りに大きい。被害者が、「命だけは助けて、絶対警察に届けないから」と手を合わせてもダメだろう。
平成23年9月30日、岡山市の元勤務先に退社手続きで訪れた住田紘一(当時29歳)は、同僚で派遣社員の加藤みさ(当時27歳)を誘い出し敷地内の倉庫で強姦。加藤さんの、「誰にも言わんから助けて」の懇願を無視、ナイフで数十回刺して殺害。現金2万4千円を奪い、大阪市内の自宅近くのガレージに運び、遺体をバラバラに切断、ゴミ捨て場や河川に遺棄した。
なんとも痛々しい事件である。部外者には凄惨な加害者の行為だが、彼らにとって殺人も死体損壊も、足がつかないための算段である。死体を切り刻むなどは、事件の物証を残さない、という犯罪のセオリーでもある。「お願い、助けて…。死にたくない、お願いだから話を聞いて…」と、金ヅチで叩打されながらも、気丈に必死で頼んだという磯谷利恵さん。
彼女は、2007年8月24日に愛知県名古屋市内で発生した強盗殺人事件の被害者である。「闇サイト殺人事件」といわれる犯行であるが、人の命など虫ケラ同然程度にしか思わぬ人間に、助命懇願の無意味さ、儚さを思い知らされる事件であった。千葉の茅野さんも抵抗をしたようだが、してもしなくても殺されていたろう。まして近所の居住者なら、生かして得はない。
こういう切羽詰った状態で、命を助かる方法があるのだろうか?レイプされ、金品も奪われて、もし、助かる方法があるなら、「お願い、わたしのいう事を聞いて!そして信じて!」とこのように言ってみるしかない。「わたしがあなたのことを警察に届けて、あなたが逮捕されたとしても、5年もすれば出て来れます。その時はわたしを探して八つ裂きにして…」
実際は強盗が婦女子を強姦したときは、無期又は七年以上の懲役だが、物は言いようだ。「もしわたしを殺せば、日本の警察はあなたを見つけます。わたしが警察に行かなければあなたは安全です。それなら、わたしを殺す理由はないはずでしょう?わたしは絶対に警察に行きません。誓います。約束を破ったときは火あぶりでも何でも受けます。信じてください。」
ここまで冷静に物が言えるかどうか、相手が聞き入れるかどうか、いずれにしても、落ち着くべきは被害者である。相手は切羽詰った状況で、興奮もしている。だからなんとか、興奮を冷めさせる方法を模索する。命あっての物だねなら、強姦は覚悟し、相手を観察する。事後は騒がず、ゆったり、落ち着いて、急場の凌ぎで上記の言葉…。ダメ元でも他に手はなさそうだ。
アメリカでレイプされた女性が、事前にコンドームを差し出したという。冷静で頭のいい女性と感じた。そんな場面にあっては、嫌がる、抵抗するが常道だが、強く頬を叩いておとなしくさせるのも男の常道で、気分の具合によっては殺される。この女性は男の力の前に一切を観念し、妊娠やエイズという二次被害を考えたのはクレバーで、危機管理意識も高かった。