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子どもの創造力をつぶす親

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「子育てに大事な、三分の寒さと三分の飢え」といった儒者がいた。昔のことだから、言葉だけを捉えて、「子どもにそんな目にあわせたくない」という親もいようが、大事なのは、「言外の言」、「理外の理」を理解すること。どうして、「バカ親」が発生するのかをいろいろ考えた事があった。そういう親を見るために、「なぜ?」が必然的に思考をめぐらせていた。

子どもの時分には分らないが、自分の母親もなぜあれほど「バカ親」だったのかについて、なんども考えた。発生要因の土台にあるのは、妄信的な子ども可愛さである。が、そのこと以上に大事なことは、「自分がバカ親であることに気づかない」、これがバカ親を世に有らしめる最大の理由。世間の多くの人はバカ親を見て、「なんで気づかないんだ?」などと感じる。

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「バカ親」の感情的行為(子を思う行為)よりも、行為の是非を理性的に問うているようだ。もちろん、親だから子どもに妄信的になるのは分かっているが、周囲はその「妄信さ」を責めている。親の子に対する妄信的愛も、"程がある"ということである。そこに気づくか、気づかないか、これが親に限らず「バカ」を生む要因ではないか。「バカ将棋指し」も同じ事。

そういう態度を取ったら相手がどう思うか?逆に自分が同じ事をされたらどういう気持ちか?そういう想像力を抱かないからできる行為ではないか。人間は感情の動物だから、様々な感情に支配され、他人のちょっとしたことにさえ情緒を乱す。乱れた心を内に秘めて傷つく人もいれば、言葉にして言い返す人もいる。後者は防御反応と言っていい。

言葉にしないが、不機嫌さを顔に現す人が一番多いかも知れない。昔、彼女ができたときに、その彼女の友人が教えてくれた。「あの子は、機嫌がわるいとすぐに黙り込んで何も喋らなくなるから…」。確かにそのアドバイスどおりだった。人が不機嫌になる理由はなってみて気づくだけで、不機嫌の防止策はわからない言葉だけでなく、態度も不機嫌の要因となる。

が、その子の良いところは、「わたしはすぐに不機嫌になるけど、でも少し時間が経てば直るから気にせんとって」と言える屈託のなさだった。「わかった!機嫌悪くなると喋らないんだよね。そうなったらカウントするよ」などと、冗談交じりにいえる関係も明るくていい。人は誰でも喜怒哀楽はあるし、あってもいいが、難義なのは「陰険」な性格である。

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不機嫌になったときに、その感情をどう収め、処理していくか、その過程は人さまざまである。「陰険」な人間は、どうにもうまく処理ができないのだろう。彼女は嫌な言葉を言われたとき、「あっ、そんなこというから傷ついた」が口癖だった。男からみてみるからに付き合いやすい性格である。これがもし、陰険に根に持たれていると、男の罪はどんどん膨らんでいく。

「その言葉、傷ついた」といわれればすぐに「ごめん」と言える彼女は、罪を増幅させない。そうなる子とならない子は兄弟の多さではないかと自己分析したこともあった。正確にはわからないが、兄弟喧嘩という心理学的効用はある。自分は一人っ子だが、子を持って分かったのは、幼い兄弟姉妹というのは、本当にバカバカしいことでケンカをするものだ。

テレビを観るソファーの座る位置でさえ譲らない。長女の定位置に次女が座ると、「どいて!そこはウチの席だし」などと言う。「勉強してていなかったでしょ?」、「でも終ったんだからどいて!」てな具合。言われる側もいやだから、暗黙の自治が成立し、席は自然と決まるようだが、少しでも反抗したりと、自治のバランスが崩れるとケンカが始まる。

話し合うとか、話し合いのレベルを超えてるとか、話し合うことを踏みつぶされるとか、そういう余地のなさがケンカを生むが、大事な事はクールダウンであり、そこに親が出て行く場合と、本人同士に任せる場合とがある。親が出て行く場合には、どちらにも組せず中立な、"大岡裁き"が大事であるが、多くの家庭は上を叱るようで、それはそれで上に不満がでる。

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下がちょっかい出したのに、「お姉ちゃんなんだから」と上が叱られるのは、納得できかねる。自分の場合、「上にたてつくケンカは下が悪い」と決めていた。上の子が叱られる不条理に比べてこちらの方がよい場合が多いからだが、滅多なことで子どものケンカに親はでなかったし、妻にも「納得いくまでやらせておけ」と指示していた。下が悪裁定は事後にである。

下に原因があっても上が叱られるのは、いい気味と日頃の上に対する下の不満があるが、上がちょっかい出した場合でも、「下が悪い」法則で下が叱られるのは、上にとって忍びない部分もある。こうした自分の「下がわるい法則」は、兄弟姉妹の多くの奴から聞いて考えた。弟・妹の多くは下である不満を、上が叱られることで果たしていたという現実だった。

「なんでいつも上が叱られなきゃならない」という上の不満は納得した。子ども同士の他愛のないケンカのなかにも、親がしっかり目を凝らせてみれば、それぞれに隠された悩みがあるものだ。したがって、兄弟姉妹ケンカの基本的な親の対応は、それぞれの持つ不満や悩みをしっかり把握することにある。"上が叱られていい気味"という下の策略に注意がいる。

兄弟ゲンカの基本は本人たちで解決すべきだが、下は上に対抗するために親の助力を求めるケースが多く、だからなおさら親が下の味方をすべきではない。「ケンカは下が悪い」は、上を孤立させないことになる。何でも親を味方につけようとする下に対する上の怒りは相当である。兄弟はどうしても上は上としての風を吹かすが、それはまた兄弟の自治に寄与する。

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橋下元大阪市長は7人の子持ちというが、我が家の4人を超えた7人の家庭というのは想像できない。部屋割りは、3+3+1なのか、2+2+3なのか、2+2+2+1なのかわからないが、昔はボロ長屋に9人、10人はザラにあったという。それはそれで一つの家族として、協力し合って上手く機能してたと察するが、橋下氏はしっかり稼いで8LDKの御殿を建ててもらいたい。

一人一部屋の家族なんて、まるでホテルのようだが、うまく秩序を機能させる夫婦は立派の一言。親の力ではかばい切れない子どもの日常は、子ども間の自治も含めた秩序維持は大変と思われる。子どもの学習机を見ると親の躾が分かる。学者の書斎の山と詰まれた書籍や資料は、まさにハリケーンと嵐が同時にやって来たような状態だが、ある学者がこういった。

イメージ 5「整頓された机は、雑然とした精神の徴候である」。田原総一郎でも立花隆でもなければ坂口安吾でもない。崩れんばかりに山と積まれた手紙や原稿、ノートや雑誌などから任意の何かを見つけるのは不可能に思えるが、彼はそこから何でも取り出せたという。他人には雑然・混沌にしか見えないが、彼にとってみれば、おそらく何らかの秩序体系がそこにあるのだろう。

両親、とりわけ母親は、こどもにキチンと片付けを要求するが、何よりよいお手本は自身がそうすることにある。しばしば男の子の方にだらしがなく、女の子の方がキチンとしているようだが、これも躾のたまものである。そうでない女の子の親は、明らかにヒドイ親であろうし、そういう基本的な習慣は、習慣として個々に内面化される早期にやらないと意味がない。

人間のきれい好きは大いなる長所で、当然にして伸ばされる性質であるが、"体系づけ"として混同はすべきでない。なによりも意思として反映されるべきものである。「整理整頓」を学校が義務つけてもそれが体系であるなら身には付かない。「手洗い励行」、「うがいの励行」も体系だから身につかないように、前出の彼女のように意思が大事である。

人間生活における自然のリズムは、「慣例」などに隷従しているのではなく、常に変化を享受しているものだ。「規律」に支配された一生はもろく、バカげたものだ。部屋をキレイにしたい、キレイな部屋に住んでいたいという人は、規律でそうしてるのではない。一言でいえば、「気持ちのいい」生活を求めた上でのアイデアであり、そのための労力を惜しまない。

乱雑で汚い部屋に居住する人は、それが決して気持ちの悪いものではないのだろう。が、自分以外の他人をなかなか呼ぶ事はできない以上、社会生活というより個人生活である。が、貧乏が遺伝するといわれるように、その様は間違いなく子どもに遺伝する。救いは子どもが親を反面教師とすることか。親が良いからとそうはならない不思議さが子どもにある。

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人にはさまざまなパターンがあるように、J.P.ギルフォードは、人間の思考過程の代表的分類を、「収斂的思考」と「放散的思考」に分けた。前者は、与えられた情報の性質によって明確な答えが得られる。例えば、2+2=4というように。「放散的思考」は、各自が受けた刺激に対し、一つであれ複数であれ、新たな反応を生む。芸術域に進む人はこちらである。

一方、「収斂的思考」は、順応的で科学分野に向いている。「放散的思考」の特徴は創造的な人に見られる特徴で、同時に子ども時代に持っていた可能性を、訓練し発達させた能力といえる。幼児期から記憶の訓練ばかりを与えられて、何で創造性を身につけられよう。子どもの、「○○ごっこ」の世界こそが、夢を現実のものにしようという創造性につながっていく。


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