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『中年論』 ④

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中年が背負う悩みには仕事もあれば家族のこともある。仕事が忙しいとしながら、家族に関わらない夫も少なくない。そんな中年の親たちに課題を突きつけるかのように、子どもが何らかの問題を起こすが、子どもにすれば親のために問題を起こしたのではない。実際そうであれ、突然起こした子どもの不祥事であり、問題であるなら、無関心な父親も対処せざるを得ない。

問題といっても様々で、犯罪もあれば、妊娠した(させた)の性関連から、学校を辞めたい、仕事を辞めたい、家を出て自活したい、外国に行きたい、事業(商売)を始めたい、新興宗教に入りたい、出家したい、などがある。親として腹がたつのは、事後報告であろう。妊娠した、仕事を辞めた、宗教に入った…。「親に相談なしに勝手なことを!」といいたくもなる。

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親は番人でもないし、子どもが何かにつけて親に相談しなければいけないこともないが、未成年者で支払い能力がないのに、高額な商品を購入すれば親が支払うことになるから、事前相談は必然である。では商品代金を子ども自身が払う場合はどうなのか?子どもが未成年者であっても、「自分の貯めたお金で買うなら、何を買おうがいいんじゃないか?」という親はいる。

「ダメダメ、くだらない物を買うかも知れない、あるいは詐欺商法に引っかかっているかもしれない、自分の金であったとしても、親に相談すべきだ」という親もいる。それぞれの親によって子の命運は決まることになる。「○○を買おうと思うんだけど、どう思う?」と親に問う子もいれば、相談ナシに、「○○買った」と後でいう子もいる。どちらの子どもが正しい?

一見道徳問題のように見えるが、親の家庭方針の問題であろう。したがって、どっちが正しいとかではなく、どっちの子どもを親が望むかであり、前者を望む親なら、「何でも親に相談すること!」と家訓のように目に見えるところに張っておくべきと考える。ついでに違反の場合の罰則も書いておくこと。これなら違反した場合の罰が事前に分かり、子どもは納得する。

親子が言い合いや喧嘩の最大の理由は、親がその場その場で勝手な規則を作ることだ。いかに未成年といえども主体性のある子なら、自分のお金で自分が買いたい物を買ってなぜ怒られなければならないのか?これは道理であろう。なのに、後になって親がアレコレ言っても、道理に反しない子どもは悪いと思わない。なのに親は子どもを叱るのが仕事と思っている。

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むしろ、【我が家の規則」】明確にし、規則を守らせることが最大の任務であろう。事後に怒るより事前に守らせる。規則もないのに、行為の後でごたごた言われれば、そりゃあ子どもとて頭にくるだろう。未成年者であっても、自分が自分の金で買いたい物を買うのがいけない理由を親がキチンと説明できれば、事後であれ子どもは納得する。が、自分にはその理由がない。

だから反対しない。子どもの頃に買ってもらえない物は、新聞配達をしてでも自分で買おうとしたし、天体望遠鏡欲しさに朝早く起きて頑張った想い出もある。それができたのは、それだけ欲しかったからだ。子どもが自分のお金で何かを買うことに対して、親は反対すべきでないとの考えは自らの体験で得たが、そういう経験もない親が無碍に反対するのでは?

おねだりすれば買ってくれる親であるのかないのか、子どもは自分の親についてよく知っている。「子どもにねだられて負けたよ、親バカだね~」という親は多く、子どもの勝利である。親が負けていいのかどうか、それが教育かどうかよりも、「親バカ」という言葉は方便というより、実は親の楽しみであるようだ。同じ親として分からなくもないし、善悪は決められない。

子どもは二つの「自分」を持っているもの。親の前の自分、親の前以外の自分である。特に親の前で、「いい子」を演じる子どもに二重性は顕著だが、親は気づかない。「ネットで知り合ったおじさんが処女を欲しいというので、あげてもいい?」と聞く子がいるか?ガミガミうるさい親に、子どもは何事たりとも相談はしない。どうせ小言を言われると分かっている。

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親に小言を言われるであろうことを、あえていうだろうか?言わなきゃ気の済まないガミガミ母親は多い。父親はそのあたりを心得ている。何を言ったところで、「陰で」という奥の手があるということを…。ガミガミ言えば反発するだけということを…。母親は即効で自分勝手な規則を作ることを…。また、母親は自分の気に入らないことを反対するものだということを…。

自分の好き嫌いが善悪である親なら子どもはやってられん。自分は宗教を嫌悪した。母親の宗教狂いの餌食にされた経験から、「宗教には絶対に入らないこと」を子どもに厳命していた。「オウム真理教」や、「エホバの証人」、その他の新興宗教入信者のトラブルや被害実態を子どもによく話した。この世に絶対真理などない、神などいない、あの世もないなど言い続けた。

「ダメ」と言われても「やる」くらいの何かは、実は評価に値するという二段構えをもっている。四人の子ども夫婦という家庭にあっては父の言葉は絶対的なものとしたが、ゆえに独善を戒めなければ支配者となる。実母は支配者であろうとしたがゆえに、自分に嫌悪された。アレもダメ、コレもダメという親は傲慢であり、「ダメ」の見返りは必要との意識は常にあった。

子どもは家の外で家庭の決まりや親の身勝手さを話し合う。我が家は規則でがんじがらめはせず、大元の優先順位を大事にし、大元以外については他の家庭よりも寛大であった。それで子どもは納得していた。「ダメ」の効果を求めるなら必要なこと。どこの父親よりも厳しいが、どこの父親よりも物分りのいい自負はあった。厳しくとも理解を得るとはそういう事。

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茶髪禁止の校則の反対意見を以下のように具申した。「教師は学校を特区にしたいようだが、社会的影響の大きい芸能人などの動向を見極め、それで社会状況を判断する柔軟性が学校にはない」。同じ制服に同じ髪型、同じ靴下に同じ靴、集団主義である方が学校的にはやりやすい。何か一つを決め、反するものはダメとする横着極まりないところで、教育の場とは言い難い。

「とりあえず反対しておくのが無難」という心ない教師の集団である。高1の時に「エレキ禁止令」が出、バンドは解散させられた。それでも破って社会人や私立高の奴らの主催するステージに飛び入りして、罰を食らった。「エレキは不良」を教師は真に受けていた。理由を聞いたところ、「カミナリ族(暴走族のこと)を見ろ、大きな音は不良なんだよ」と言った。

「青春はいかに多くの規則を破ったかによって量られるもの」。学校は無根拠でつまらない規則を作り、理由を問えば「決まりだから守れ!」という。こんな言い分に納得するなら死んだ生徒。斯くの体験から、権威に対する問題意識を有して成長した中年を、「不良中年」というなかれ。問題意識とは、社会に存在する問題に疑義を持ち、主体的に関わろうとすること。

自分の青春をしっかり生きた者は、自身の中年もしっかり生きるし、高年、老年になってもしっかり生きるであろう。若さが沁み付いているのだ。ずっと前にあるアメリカ爺さんからこういう話を聞いた。爺さんはファンキーな服に身を包み、それを楽しんでいる。「若い頃は、別に派手にしなくてもいいんだ。若さがカバーしてくれる。年をとったら派手にすべきだね~」

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爺さんはこうもいった。「若い頃はお金を稼いでいないんだから、安物を着ればいい。が、ステータスな年齢になるほど高価な物、仕立てのいい服や靴を身にまとうことだね」爺さんは日本人のことを知らないでいっているが、日本人の現実を知る自分は羞恥に襲われた。日本は間逆である。若い頃に高価なクルマやバッグを持ちたがるのは親の財布で、これをスネかじりという。

洋服だって若い頃は派手に、中高年~老齢になると地味にする。中高年はダイエーファッションという暗黙の決まりがあって、それにしたがっていれば目立たず無難である。アメリカ爺さんは「目だなきゃダメだよ、自分の実在感をおもいっきし出さなけりゃ」と楽しそうにかたる。この爺さんが日本に永住したら、「いい年こいてなんだろうね、あの服は?」といわれるのか?

いや、「外人だからいいよ」となろう。『バカの壁』という売れた本があったが、日本人には破れない、"日本人の壁"がある。いつの時代のどこの国でも、人々は常に変革を求められた。日本も間違いなく変革を求められ、大きく世の中は変わった。が、同じ髪の色、目の色、肌の色が災いしてか、同じ色であるのが統一美であったり、安心感であったりは、基本的に変わらない。

人と同じであればいい、人とちがっていると異端視する。少しづつは変わっているようでも、子どものイジメの原型にそれが多い。集団主義から個人主義に変わるのは時間も必要だが、寄って集ってワイワイが好きな国民なのに、集団的自衛権だけはダメと言う矛盾。みんなで寄って集ってイジメはするが、寄って集って人を助けることはしない。ついに集団的自衛権が認められた。

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仲間がイジメられてるとき、仲間の国が攻撃されてるとき、助けることができるようになった。こんなこと考えてみれば当たり前のことなのに、憲法9条の制約がそれを禁止した。これを機にあらゆる学校の校則に「集団的自衛権」を明記するとよい。「見て見ぬふりは罪」としながら誰も助けない。つまらぬ校則で縛るより、「集団的自衛権」を行使しない罰を与えよ。

青春は無知である。「無知は罪なり」とソクラテスはいった。となると「青春は罪」という三段論法が成立する。が、三島由紀夫は、「青春の無知は特権だ」と言った。だから「三段論法」が覆されることもない。三島は持論を述べただけ。確かにソクラテスの言うとおり、"知らなかったこと"で損をすることはままある。失敗もするし、他人を傷つけることも大いにある。

だからといって、"知ること"だけを追いかけてみても、頭でっかちの空っぽの人間になろう。結局、「知識を得る努力と、その知識を活用する"経験"の両方が必要である」。経験をまとめて人生経験という。三島はもちろんソクラテスの言葉を知りつつも、どうあがいてみても若者に経験を望めない現実を言った。ソクラテスもあとに「知は空虚、英知持つものが英雄」とした。

いずれにしても「青春は無知」である。「知らなかった」で許されることも多い。もちろん、「知らなかったで許されると思ってるのか、このタコ!」と叱る大人もいよう。「タコ」は余計だが、許してくれる人、許さない人はいる。さて、「中年は無知」である。これは社会に通用しない。中年の「知らなかった」を許す人は総じて甘いし、管理職なら適任にあらず。

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「許さない」ではなく、「許すべきではない」が正しい。なぜなら、「知らなかった」は方便に使われることも多いから。本当は知っていたのに、「知らなかった」といえば許されると思うがゆえの方便である。バカはこれをどんな風にも使う。それで免罪されるなら警察もいらない。人を殺して、「人を殺すのが悪い事とは知りませんでした」と言ってるようなものだ。

「人を殺すのが悪い」と同じような言分けをする人間はいる。本人とっては言い分けとなると思って言う事が、衆目に通用しない。これが「無知の罪」である。つまり、「知らなかった(無知)ので許して下さい」と懇願する者に、「あんたね~、知らないことが罪なんだよ。分かった?」ということ。これが分かっている人間は多少は賢い。分からぬ人はバカであろう。

なぜバカかを説明すると、「知らなかった」で免罪されると、この言葉が社会に氾濫し、誰もが無責任となる。だから「知らなかった」は許されない、許すべきでない。とここまで考えると100点だが、「知らなかった」を平然と言う人間は無思考であり、0点であり、だからバカとなる。二年前の2013年、プロ野球の公式使用球が飛びすぎると問題になったことがあった。

統一球仕様変更について日本プロ野球機構と製造のミズノが、事実を知りながら隠蔽していた。それらが公になった際、日本野球機構の当時の加藤良三コミッショナーが、「調整されていたことを全く知らなかった。不祥事を起こしたとは思っていない」と発言したことで大問題になった。こんな幼稚な言い分けに対し、ダルビッシュも海の向こうで呆れ顔でこう述べた。

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「知らない事はないでしょう。てか知らない方が問題でしょ。ついにNPBが統一球の反発係数を変えてたこと認めましたね!コミッショナーは全く知らなかったとしらをきってますが…」。日本バスケットボール協会・新リーグ運営本部副本部長の山谷拓志は、「ボールは球技の根幹。変えるのなら、リーグ、選手、チーム3者のコンセンサスが必要。情報開示をしなかったことは問題」。

いい大人が、いい中高年が、「知らなかった」という恥ずかしさ。いかに羞恥といえども、それしか言い訳の言葉がないから言うのであろう。「言い訳いっていいわけ?」というオヤジギャグがあるが、そういうギャグを言うオヤジはせめて言い訳はしないだろうよ。「言い訳は武士の恥」という言葉があるが、昨今の時代は「言い訳は男子の恥」と言い換えたらよい。

いつもいうように、自分は子どもと女には「言い訳」を免罪符と与えている。なぜなら、言い訳をぐっとこらえる理性を女・子どもに求めない。ただし、彼ら、彼女らがどのような言い訳をしようとも耳には届かない。なぜならそれが「言い訳」だからである。日本プロ野球機構の加藤コミッショナーは老人だが、彼は言い訳を超えた嘘つき罪人である。

「加藤了承の上で変更が行われた」とした下田事務局長の主張を権力で押さえ込む。後に朝日新聞が、「コミッショナーが統一球検査の報告を随時受けていた」という事実をすっぱ抜き、加藤コミッショナーは辞任に追い込まれる。東大法学部から外務省に入省した役人根性に、どうにもならない状況に追い詰められない限りゲロしない、というエリートの性。

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「人生いろいろ」、「中年いろいろ」、「エリートいろいろ」といいたいところだが、エリート族はいろいろにあらず。彼らは「自分は間違わない、ミスを犯さない」などと無知蒙昧おバカな人種である。自分以下の学歴・職歴人間を見下し、彼らと自分を比較することでしか自分を認識できないという、自尊心に蹂躙された悲哀で憐れな類だ。「上と比較せんかい!」


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