「お前はあの女とどういう関係なんだ?」と、ある奴が聞いてくる。「どういう関係って、別に何の関係もないよ」。この場合の「関係」とは男女関係のことを聞いている。「ふ~ん、何の関係もない関係という関係なんだな?」「うん?ちょっと待て、"何の関係もない関係という関係"って、ややこしいな、どういう意味だい?もうちょっと分かりやすく頼むよ…」
「何の関係もない関係とは、つまりは男女関係のない関係と言う意味。だからといって何らかの関係はあるだろうし、何の関係もない事はない。だから、"何の関係もない関係という関係"だろうといったまで」。「なるほど、男女関係はなくとも、何らかの人間関係はあるという意味か、それなら確かにそうだ。あの女とはただの友人だ。それだけのことよ」。
「男と女が男と女の関係なくして、友人関係で仲良くできるのか?」というのは、巷いわれること。互いが老壮年なら何ら不思議はない。ただ、若くして血気盛んの折には、ついつい接近し、ついつい御呼ばれに預かることも自然といえば自然である。互いが求めるからだろうが、「私は別にそんな気はなかったのに…」というのが女の常套句だったりする。
関係をもっていても、「関係はない」と嘘をつく場合もある。芸能人の常套句だが、自分も何度かそういう嘘をついた。「なかったことにね」と、相手と話を合わすのだ。大体、女の方からそれを言う。「わたしたち、何もなかったことにね」。理由はいろいろある。女に夫がいる。彼氏がいる。真面目で貞淑な女性と周囲から見られている。と、大体がこういうところか。
真面目で貞淑というのは、俗にいう「イイ子ぶってる」事。「何もなかったことに」と言われて、黙っておけないのが若僧時代。親しい友人などについ言ったりするが、いい女の場合に限る。「本当かい?あの女がね~、信じれんな」と、言われてちょっぴりいい気分だが、いい女だから言われるのだ。いかにもヤって当たり前みたいな女なら自慢にもならん。
博愛主義の女性は男に喜ばれるが、利用されやすい。「お願いできませんかね~」などと冗談交じりに言い、その返答加減で分かることもある。「なにバカなこと言ってんの?」などと強い口調で言い、毅然と「No!」の女性が少なくなったご時世である。嫌ではないのに軽々しく「Yes」は言わぬが、愛想のいい女、あるいは笑ってごまかす女は博愛主義と見てよしだ。
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十人十色。百人百様。万女万態。好みの相手に口説かれるときの、女にとっての至福の時間。男の言葉に嘘か真か、偽心を抱きながらも、よろめく女の切ない性。菊池寛の代表作『藤十郎の恋』のお梶はクビをくくったが、やつし事、濡れ事、口説事の技は一段と磨きがかかる。まさに傾城買にかけては日本無類の濡れ事師、坂田藤十郎一代の大芝居であった。
藤十郎の芸の餌食にされたお梶だが、この程度でクビをくくる羞恥心は今の女性にはないが、この物語はお梶がクビをくくったからこそである。こういう感じで男を弄ぶのは、実は女の方が手練れており、相手の反応によって、「じょうだんよ!」を用意し、逃げ道を作っておく。からかって楽しむ女も多く、「男ってすぐに真に受けるからかわいい」などと遊んでいる。
男からすると遊ばれている。と思う男もいるが、女も100%遊んでいるわけではないし、逆に手練た男は女の言葉じりを捉えて話を盛り上げていく。その才能があるかないかというのは、つまり、相手の言葉を逆用していく能力であろう。「冗談だわよ」という言葉の多くは、実は冗談ではないという臭気を放っているし、女はそういう生物と思う方がいい。
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引っ込み思案で度胸もなく、真面目で良心的な男は腹黒女を料理できまい。このように、男女事に限らず、何事も琴線に触れたり、腹を探りあったりするのは、ミステリアスであり、洞窟や地底探検のように面白い。そういう前向きな気持ちがあればこそ、女の洞窟探検にあやかることもできる。一見硬い女は、柔軟剤という口実を用意してやれば解決する。
スケコマシみたいな言い方にみえるが、どうしてどうして、こういう能力をバカにはできない。人間対人間は、個人と他人のせめぎあいであり、駆け引きによって勝ち負けを得る。何事においても自信は大事だが、それ以上に勇気が重要だ。が、手練者においては、「勇気」というのは特にない。彼らにとって「勇気=普通」である。人の能力差は斯くも存在する。
先天的なものもあれば、後天的なものもある。先天的なものは遺伝子と言う形で親から譲りうけたものだが、後天的な能力を人はどこで、どのように身につけたかはマチマチであろう。が、一端身についた能力は大いに役立つし、それなき者はハンディキャップを背負っている。戦う前についている差なら、ハンディを背負った人間が損に決まっている。
だからこそ人は戦うのであろう。幸福な人間は幸福を求めたりはしないし、よって幸福論を求め、幸福を模索するひとはいかばかりかの不幸が必要であり、不幸の自覚から幸福論は始まっている。宮本裕という伝説のセールスマンがいる。彼は、「買って下さい」とは一言もいわず、それなのに1カ月で69台というクルマの販売台数新記録を作ったセールスマンである。
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もちろん長けているのは、営業能力であるが、彼はこのように打ち明ける。「実をいうと、私は生まれつき話べたで、人に会うのが大嫌いでした。この道に入った13年前も、妻子を養うために、仕方なくセールスマンでもやるか、といった気持ちでした。足を棒にして歩き回り、思いつくあらゆる方法でお客さんを説得しました。が、最初の半年間は一台も売れませんでした」。
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彼は最初、顧客を脅したりしていたという。「今が買い得です。来月から税金が上がって高くなりますよ」とか、「シートカバーとクッションをサービスします」などと、エサで釣ろうとしていた。「他のクルマがいい」という客と論争してやりこめたこともあった。その場合、顧客は宮本さんの論理に屈服はしたけれど、なぜかクルマは買ってはくれなかった。
そして半年後、奇跡的に売れたクルマを届けに行ったとき、小さな子どもが、「おじちゃん、クルマをありがとう」と言ったという。彼は言う。「これが転機でした。この仕事で、ひとを幸せにすることができる、と知ったのです」。それ以後彼は、「どうすればお客さんを幸せにできるか」だけを考えた。その命題において、彼なりのものを模索し、見つけたのだ。
人を説得するための方法はたくさんある。脅す、誘惑、論理、感情などだが、そのどれにも増して効果的なのが心理説得であろう。自分が主体的に何かを言う、上手い言葉を垂れ流す、そうではなく相手の心理を見極める、腹の中を読むということだ。つまり相手に喋らせて、こちらが聞く側に回るのも効果がある。説得心理学の専門家は次のように指摘する。
「人は自分でしゃべっているうち、自分の心の奥に潜んでいた本当の気持ちに気づき、自然と正しい結論に落ちついて行く。しかも、その場合は、むりに説得されたと気づかず、自分で判断したと信じて行動に移す」。有能なセールマンは、顧客に多くを話させる。顧客が自分で言い出したことなら、引っ込みがつかなくなり、買えといわなくとも自然に売れる。
これが、「買って下さい」といわずとも、物が売れる極意である。売り手と買い手もその場においては人間関係が成立する。手練た試食販売員なら、絶対に「買って下さい」などといわない。顧客自らの意思で買おうとする雰囲気を作れば、それでいいのである。その間の顧客の心の動きなどを見ながら、適切な言葉を小出しにする。言葉が少ないも、客にはプレッシャーとなる。
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苦しさのあまりに自らの命を絶つ、相手の命を絶つ、親が子の命を絶つ、子が親の命を立つ、子が自らの命を絶つ、親が自らの命を絶つ、こういう過ちが衝動的になされるなら悲劇としかいいようがない。緻密な計画の元でなされるなら、悲劇ではあっても怖ろしき哉。自死にせよ殺意にせよ、衝動に駆り立てれたならどうすべきか?巷言われる、「頭を冷やす」も一例だ。
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これが中々できない。なぜできないのか?そばに冷水がないからか?冗談はさて、頭を冷やすというのは、冷水をかぶることではなく気持ちを冷やすこと。気持ちを熱くするのに、熱湯を浴びる必要がないように、冷静にするためにはとりあえず落ち着くことだ。自分は落ち着くために、事後のことをアレコレ考えた。自分の行為の行く末について損得を考えた。
それが間違いを食い止めるコツであろう。間違いを起こすのは、間違いを間違いと認識できない、もしくは間違いであるとの思考に至らないからで、思考し間違いであると結論すれば、間違いは起こさない。「殺人罪」と「過失致死罪」が、罪状として分離・区別されているのも人間が間違いを起こす前提にある。さりとて、その判断を人間が正しく裁けるのか?
自分のことも、他人のことも、何がしか解決の難しい壁を突き立て、その前に立ちはだかり、「難しい」などといっている。かつてのことは氷解し、壁が消えた暁に人は平穏となる。時間が経てばなんでもなかったことも、その時は大変だった。苦しくもあった。すべてが笑い話にできるから人間は幸せを実感するのであって、笑い話にならない事は悲劇であろう。
明確なる殺人動機があったとしても、喉もと過ぎれば人は罪の軽減を求めて嘘をつく。だからと言って、人が人の心を理解できるはずがない。裁判官がどうして超人であり得る。彼らはラーメンを食い、ステーキを食って糞をたれる人間である。裁判官は正しい判断を行えないと、だから陪審員制度があり、日本でも裁判員制度が生まれた。ならば、こちらは正しい?
事件には悲惨でむごたらしいものも多い。むごい「強姦・殺人事件」に、正直素人はかかわりたくない。が、裁判員制度は、裁判に国民の常識を反映させることで始まった。「強姦罪」だけなら裁判員制度の対象にはならない。理由は、「強姦罪」の法定刑は、「懲役3年以上」であり、裁判員制度の対象は、法定刑に、「死刑」、「無期懲役」の重大犯罪となる。
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日常、「強姦」など「殺人」など、考えたこともない裁判員が、常識と経験と想像の及ばぬところで判断を強いられることになる。これで正しい量刑判断が出来るのか?というのも大いなる疑問であろう。結局、人は人を正しく裁けない。キャリアを積んだ裁判官であろうと、市井判断に長けた(?)といわれる素人裁判員といえどもである。では、誰が人を裁くのか?
結局は「人」である。したがって、間違いもあろうが仕方がない。日本の裁判官によって日々書かれている判決文の異様さを、誰が咎めることができよう。マスコミやジャーナリズムによって晒されてみたとしても、「餅は餅屋」の論理がものを言う。もちろんおバカ裁判官だけではない。オカシな論告(検事)、笑える弁論(弁護人)も、同じように頻出してしまう。
マスコミが国家権力でない以上、国民がマスコミに期待するのは、三権に対するチェック機能であろう。とりわけ、議会や行政に対しては、マスコミに従事する人間以上に、国民の視線は厳しい。ところが、裁判所に対して、なぜか国民もマスコミも、ノーチェックといわれるほどに関心がない。「そんなのカンケーない」と言わんばかりに口を閉ざす。
なぜか?この国では犯人逮捕が最大の関心事である。「逮捕」が最大のニュースとなり、その後も容疑者の供述などがチラホラ出てはくるが、起訴後の裁判経過、そして判決の新聞紙面の扱いは三面の片隅に小さく載る程度。福井県勝山市であった、大学教授による教え子大学院生殺害事件は、今年の3月に発生した。今となってはほとんどの人の関心事にない。
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まあ、そういうものであろう。所詮は、見ず知らずの人、自分には「関係ない関係」の人たちである。「関係ない関係」の人たちに興味を抱くと、毎日毎日の事件さながらに体がいくつあってもおぼつかない。世の中、「関係ない関係」が、「関係ある関係」より断然多い。親子、兄弟、夫婦、上司・部下、教師・生徒、友人、恋人に一喜一憂するだけでも大変だ。
逮捕されたらさて、問題はそこでどうするか、である。惨めな親子関係があるのは、親子には先験的な愛情があるという嘘であろう。愛がないとは言わないが、「ない」時だってある。子が憎いなと思うこともあろう。過ぎ去った一切はまぼろしが如きである。それを考えると、人は今、日々その場を生きてはいるが未来を生きる。過去を生きてきたように…。
今の自分の存在根拠について人は理由なく納得できるし、その実体にさして疑問もはさまない。今の自分を認めると同時に社会をも認めることだ。犯罪者の多くが社会に不満を抱くが、彼らは己は認めるが社会は認めない。不満や文句を言うだけで社会と対峙しない。不満を社会と対峙のエネルギーにせず、無差別殺人などで社会への憎悪を晴らすなどしている。
秋葉原事件、池田小事件、新幹線焼身自殺などの無軌道性も思考の欠如である。人間は自身を内側から支えるものがないと生きていくのは難しく、だから自暴自棄になる。かつては、社会公認イデオロギーに染まるのが手っ取り早かった。たとえて言えば、暴力団、ヤクザ、右翼など。山口組の分裂の兆しを見るに、社会の必要悪であった暴力団も存在意義をなくしている。
現代人に木枯し紋次郎のような無宿無頼の渡世人稼業はない。ある意味気楽な稼業であろうが、社会の一員として定宿・定住が望ましい社会形態である。「あっしには関わりのないことでござんす」などと言ってられないご時世にあって、多くのものと関わり、答を求めて生きていく。そこに存在し、その場の空気を吸う以上、すべてに己の責任は発生する。
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