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「死にたいなら一人で死ぬべき」の危険性 

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川崎市多摩区で発生した19人の男女死傷事件で、とあるソーシャルワーカーのコラムがいち早く掲載された。社会的弱者を救うのがソーシャルワーカーの仕事で、彼らは一様に、「無差別殺人などの犯罪を防ぐには、すべての人が希望を持てる社会にすること!」との考えが軸にある。無差別殺人事件加害者心理は、「むしゃくしゃしてやった。誰でもよかった」などが多い。

11年前の「秋葉原無差別殺傷事件」、18年前の「附属池田小殺傷事事件」、19年前のゴールデンウィークの最中で起こった17歳少年による「西鉄バスジャック事件」、昨年6月に新幹線のぞみ車両内で起きた無差別殺人事件。そのほかにも路上の通行人を刺した事件など数多くあるが、これらは目的なき殺人であり、即ち、「誰でもよいから殺したい」が背景にある。

新幹線車内で自らの命を犠牲にして刃物男から乗客2人の命を救った梅田耕太郎さんの勇気は心に残るが、彼をソーシャルワーカーが讃える事はない。小田原市内の病院に搬送された後に亡くなったが梅田さんは、38歳というアブラの乗り切った年代であり若さであった。司法解剖の結果、死因は失血死。身体には胸や肩をはじめ約60ヵ所もの傷があったという。

致命傷となったのは頸部の約18cmの長さの切り傷で、なたによるものとみられている。梅田さんは小学生時代から評判の秀才で、神奈川県が誇る超名門中高一貫校を出た後、東京大学工学部へ進学。決してガリ勉タイプではなく中学・高校ではバスケなどのスポーツも頑張り、バンドも組んでいたという。大学時代はテニスサークル活動にも精力的に取り組んでいた。

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彼の勇気はどこから出たかを想像するよりないが、格闘家の那須川天心は、川崎区多摩区で起こった今回の事件を受けてこんなコメントを綴っている。「格闘技をやってますが、実際刃物を持った人と遭遇した時に助けに行けるかと言われても行けないと思う。そんな勇気ないし、力もない」とし、「でも助けたい気持ちが大きい。もっと強くならなきゃ、人として…」と。

我々が目にする天心は強い。しかしそれは格闘家としての強さであって、彼は人間としての弱さを率直に認め、「人として強くならなきゃ」と述べている。天心をして尻込みするほどの勇気をもって、新幹線車内で暴漢に歯向かった梅田さんは、人として強かったということだろう。梅田さんを知る友人はこのようにいう。「彼は非常に穏やかな性格で、人付き合いも積極的な学生でした」。

梅田さんの両親は二人暮らしで、事件後彼の母親は憔悴しきっていたという。「彼の姉や親族が両親の元に手伝いに来ているようで、我々近所の人間はそっと見守っています」(近隣住民)。母親の気持ちは分かるが、父親は不運にも刃に倒れた息子を誇りに思った筈だ。見ず知らずの他人のために命を投げ出す行動などできるものではない。それを誇りといわず何といおう。

今回の多摩区の事件後に掲載されたソーシャルワーカーの発言は、仕事としての言葉と理解することもあって、無慈悲発言とも思わない。ネット内乱舞する、「死にたきゃ一人で死ねよ」の発言を憂慮し、類似の事件を発生させないためにも社会的弱者に対し、社会は暖かく手を差し伸べ、何かしらできることはあるはずだとのメッセージの必要性を痛感したという。

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繰り返すが、それが彼らの仕事である。とはいえ、仕事とは無縁でありながらも新幹線で二名の命を救った梅田さん。仕事だからやれることもあろうが、仕事でなくてもやる人もいる。ソーシャルワーカーの仕事が重要なのは否定はしないが、仕事である以上頭が下がることもない。それに比して、仕事を離れて人を救おう、救いたいとの人の心には敬意を表したい。

加害者も実は被害者であるとの論理は、いじめ加害者の多くに実感する。ソーシャルワーカーが、多様化する現代の貧困者を救うための社会福祉を官に変わって実践するというのは認めるが、今回発された「『死にたいなら一人で死ぬべき』という発言の危険性」というコラムの題目は行き過ぎでは?「危険性」とまで言わずとも、説得力ある別の言葉で表現すべきと。

そのように感じた。というのは、「一人で死なない人は間違っている」という曲解を生む可能性もあるからだ。死にたい人はいるだろう。人間のなかには、破滅することによってしか自己を成就できない人もいる。その人にとっては破滅こそが幸せであり、自己を完成する唯一の生き方でもあり、破滅の過程のなかで自己の完成をみとめ、今回のような非道極まりない行為で人生を終えていく。

自分を破壊するのは勝手だが、他人や社会を破壊することはない。何故にこれほど邪悪な行為をして死ぬのか!斯くの無差別殺人者と、樹海や東尋坊でひっそり人生を終える者と、どちらが人間らしく誠実な最期であるか?確かに自分は現象面を述べているが、ソーシャルワーカーは現象には口を閉ざす。仕事熱心なのはいいが、総合的な考えを述べたらどうだ。

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