3月25日、東京都杉並区のアパートで保育士の照井津久美(つぐみ)さん(32)が殺害された事件で、警視庁捜査1課は31日、殺人容疑で逮捕した男を同区井草1の保育士、松岡佑輔容疑者(31)と発表した。松岡容疑者は照井さんが勤める乳児院の同僚だった。事件当日に照井さんの部屋にいたことは認めながらも、「刺してはいない」などと容疑を否認しているという。
松岡容疑者は事件当日の26日と前日の25日に仕事を休んでいたことが捜査関係者への取材で判明。25日夕から夜勤だった照井さんの予定を把握し、人目につきにくい時間帯に部屋に侵入し、待ち伏せしていたとみて調べている。同じアパートに住む内装業の男性(19)は「容疑者と会えば挨拶はした。ベランダにゴミが散乱していて、生活が荒れているのかなと思った」と話す。
照井さんはコートを着たまま倒れており、夜勤明けで帰宅した直後に殺害されたとみられ、前日の25日深夜に照井さんの部屋から不審な物音がするのをアパートの住人が聞いており、照井さんの不在を知る松岡容疑者が夜間に侵入して待ち伏せていた可能性がある。現場アパートの屋根に土足の足跡が残されており、2階の照井さんの部屋のベランダ側の窓が割られていた。
大学卒業後は乳児院に就職。親族を通じて「3、4月は仕事が忙しい時期だから無理だけど、今年中に結婚できればと聞いていた」という。事件を知った照井さんの祖母(87)は28日、岩手県内の自宅で取材に応じ、照井さんが結婚を考えていたと話し、幸せな未来を理不尽に奪われたことに対し、「ひ孫の顔を見るのを楽しみにしていたのに」と涙ぐんでいたという。
20代のころ、杉並に住んでいた自分は友人のいる井草にはちょいちょい行った。そんなことを思いながら事件を身近に感じた。容疑者が被害者に一方的な片恋慕を抱いていたというが、本人不在の部屋に屋根を伝い、ベランダの窓を割って忍び込むってのはどういう意図か。恋する相手の部屋で様々なものを見たい、触れたいという狂気的・倒錯的心理であろう。
引き出しを開けて下着やら何やら、彼女の所有物にただならぬ興味を抱くのは分かるが、人には理性がある。恋は愛ではないし、一方通行のエゴになることは普通にある。ラ・ブリュイエールの言葉に、「恋愛は恋愛によって始まる」というのがある。初めて目にしたときは正直意味が分からなかったが、今ならなんとなく掴める。恋が自己中心的な思いであるのは誰もが経験したろう。
その恋と、相手をいたわり思いやる愛がくっついて恋愛というなら、恋だけでは恋愛といわない。息子を愛する母とて恋愛とはいわない。友愛も恋愛ではない。似てはいるが友愛とは同性対象の場合が多く、恋愛とは根本的に違う。恋人を見る目の尺度はいつも自分の側にある。自身の喜び、自身の悲しみ、自身の苦悩、それが恋人を評価する基準となる。
恋を自覚するのと、恋愛(関係にあるを)自覚するのと大きく違うのは、恋愛関係は二人で成立するもので、一方的な恋情とは違っている。恋が恋愛として意識された時の、何ともいいようのない気持ちは、うすら覚えだが記憶にある。この世はまさにバラ色に思えたりする。男と女の気持ちが一体化したと感じる喜びは、愛する同士が肉体を一体化したときの感動も同じである。
恋人でない相手とのそれは、単に性欲であるから満たされるものの質が違う。質より量を重視する男も女もいるが、自分の場合も恋愛感情と思い込んで女を渡っていたのかも知れない。が、好意を抱かぬ相手とは、「カネをもらってもしたくない」と公言、実行ていたのは事実である。行為と恋情との区別が明確でなかったのか、若き時代には自身にも不明な謎が多い。
友情は過激なパッションではないが、恋情は激しさが根底にある。それを抑えるかどうかであって、激情的であってこそ恋情である。静かなる恋もないではないが、おそらくそういう人間は何事も抑制が効くのではないか。「やめろと言われてもー♪(ヒデキー!!)」というのが流行ったことがある。西城秀樹の『激しい恋』の歌詞だが、ヒデキファンならずとも記憶にあろう。
しかし、同じ勤務先の同僚女性に対し、一方的な恋情とはいえど、窓を割って忍び込むという行為は、ピッキングでコッソリ侵入したとは訳が違う。黙って入って恋慕する女の所有物を勝手に荒し、元のままにして何食わぬ顔をした知人はいて、それを聞かされた時も驚いた。「それ犯罪だろが!住居不法侵入」。「そんなことは分かってる。見るだけで持って帰らない」。
バカは当然で彼の行為より、人の部屋にそんなに簡単に入れるものかと驚く。自称「鍵開け名人」の彼に、「パンツを眺める程度ならいいが、泥棒行脚はやめとけ」といっておく。女の部屋に不法侵入でパンツを触るのはカワイイが、技能や能力は使いどころを間違わぬことだ。今回の犯罪はガラスを割ってというからには、帰ってくるのを待って殺そうという確信犯なのか?
少ない情報のなか自分はこう推理した。部屋で待ち伏せて彼女に対する偏愛を強姦という形で想いを遂げ、その後に殺害する。ところが大声を出され、すぐに刺して慌てて逃げた。バカは後先考えない。自分が捕まらないとタカをくくっている。日本の警察の科学捜査を甘く見ている。その証拠に部屋にいたのは認めながら、「刺してはいない」などと辻褄の合わぬことを抜かす。
「バカにつける薬はない」。彼らは常人には理解できない言動をやる。周囲や身内にもバカはいるが関係を断つのが最善。津久美さんが激しく抵抗した痕跡が加害者に残っているそうだ。こんなことで将来を失うとはあまりに悲惨すぎる。バカが職場にいたことが彼女にとって不運だった。書き手不在となった津久美さんがのFBに残る、満面の笑み画像がいたましい。こんなつもりじゃなかったろうに…