何いっても耳に入らない女がいる。男にもいるのだろうが、立ちはだかるのがバカの壁。子どものころから身近に感じていた父と母の壁。おそらく父は母を、母は父をバカと思っていた。就学前の記憶は残っている。壮絶な喧嘩で、父は泣きじゃくる母を縛り上げた。自分が4~5歳だから父が40歳母が27歳。喧嘩後に母は必ず自分を連れて家出し、友人宅を泊まり歩く。
宿に泊まらぬところが厚かましい。相手も迷惑だったろう。父の家出は決まって一人。時に母子心中事件を目にするが、母が子どもを巻きぞいにするのは、子どもを所有物と見るからだろう。子どもを身勝手に利用する母の傲慢さ。母親に殺される乳幼児は何のためにこの世に生を受けたのだ?理性のかけらもないバカ母に、「自分一人で死ねよ!」と心で叫ぶ。
人の人生は後悔と切っても切れないものだが、結婚がどれほどの後悔になるのか、後悔のない自分は想像するしかない。夫は愚痴というより、さらりと妻批判をするが、妻からの夫の悪癖や悪行を聞いたり書かれたものを読んだりで、行為についての実体を知るが、苦しみや悲しみの心情を理解するとまではいかない。理解というより、察するということになる。
葬儀に列席すれば喪主に対し、「お察し申し上げます」などという。察する以外にないとの社交辞令である。他人の痛みは分からない。人は人を完全には理解できないものだ。安吾は自分の歯痛を同感してくれぬものは冒涜者冗談めいた言い方をするが、文筆家のサービス表現だろう。女性離婚経験者の幾人から夫の不満を聞いたが、以下、夫がやりそうなことばかり。
①主人には何か隠し事がある。②家庭を顧みない。③見栄っぱりで浪費が絶えない。④気が弱いのに内弁慶で威張りくさっている。⑤陰険でドケチ。⑥人にはいい顔をするが頼りない。⑦自慢話が大好きなバカ。⑧すぐに血が昇り殴る蹴る⑨女癖が悪く、まるで歩く陰茎。他にもあるが、愚か男の行状はこんなものだ。この中で何が耐えられないか?人にもよろう。
これらのなか我慢にもほどがあるのは、⑧⑨か。いずれも不法行為であり看過できない。こういう状況に耐えて我慢を重ねる妻には、それに充当する楽しみがなくてはとてもじゃないがやってられない。資産家の夫を持つ妻は気分転換に買い物しまくるというが、一時しのぎの憂さ晴らしだろうし、根底から満たされるものではないが、一つだけ代用できるものがある。
夫以外の相手への恋なりセックスかと。不倫は違法だが罰則はなく、刑事事件にもならない。婚姻継続不能と配偶者から訴えられれば損害賠償は発生する。これと似たのがNHKの受信料。放送法で定められているが罰則はない。NHKは放送法と最高裁の判例をタテに契約を迫るが、法が正しいというわけでもない。「テレビを設置したらNHKが勝手に映る」。
「観たくもないNHKが勝手に映る」。放送法?最高裁?そんなの屁でもなかろう。司法判断というのは、提訴されたものに白黒つける使命を負うだけ。提訴もない間に立ち入ってどーせー、こーせーは行政の仕事であり、放送免許企業の監督官庁は総務省である。ところが総務省は受信料義務化の立法案を、何十年も避けている。いわゆる放ったらかし状態である。
それはなぜか?受信機を設置した以上、「観る観ないにかかわらず契約義務がある」というNHK側の論理は公序良俗に照らして無理がある。本来、契約とは自らの意志で納得してこそ正当性がある。放送法に罰則がないのも、一民間企業への利益誘導となる罰則規定は社会通念上問題だ。NHKは受信料義務化を望むも、現時点で国は弱者救済の立場に立っている。
弱者とは年金受給世帯や母子家庭世帯で、これに該当する方々は堂々と、「テレビはあるが払えない。あんたたちは我々をいじめるんか」といえばいい。裁判にはないから。職員の平均年収1700万のNHKには批判も多く徴収義務化の道は険しい。WOWOWなどのように、視聴者の意思による課金システムなら公平であるが、それなら解約者続出となるのをNHKは危惧する。
不払い者の放任がスクランブル化より得策という考えだが、支払い者の手前ちょびちょび裁判をやる。したくもない契約を強引にさせられる国は、世界広しといえども日本だけで、したがって強気でいれば裁判以外に受信料をとる方法はない。政治の基本は弱者救済だが、それでもガス・水道・電気は滞納すれば止められる。命に影響ない電波を勝手に垂れ流し、「契約しろ!」は、ヤクザそのもの。
話が違う方向に行ったが、論理として、考え方として、大事なことを述べてみたまで。「みんなが払ってるし、払わねばならぬものを踏み倒してよく平気でいるよね」などの暴言を吐くバカもいるらしい。委託業者というやりたくない仕事を高歩合で請け負う以上、追い返されるのも仕事のうちだ。国会の総務委員会質疑ものらりくらり、なんともセレモニー的茶番である。