人のものが欲しくともお金がなければ手に入れられない。ならば別の方法を模索するか、金持ちに恨み節をこぼすだけで何もしないか…。お金で手に入れられるものを手に入れることを、「心根が貧しい」と久米はいうがそんな彼の卑屈な、「心根がさもしい」。現実問題として金で選手を引っ張ってくるだけで、球団が強くなることはないのだから、やっかむ必要などない。
金持ちが自分の金をどう使おうが彼らの自由。「丸を巨人に取られた!」、巨人憎し!」などとカープファンはいうが、いくら巨人が丸が欲しがろうと強引にさらっていくわけじゃない。頭を下げて誠意を示し丸の承諾を得る。そのためのFA制度であ。丸の人生は丸の意志で選手は行き先を決めていい。久米は批判覚悟でいうのだから、遠慮なく批判させてもらう。
ドラフト制度より自由が尊重されるFAである。高卒でカープに入団した丸が日々研鑽・努力し、数十億円稼ぐ立派なプレーヤーになったのは素晴らしい。そんな丸に札束を積み上げる球団の心根が貧しいなど甚だしきいいがかり。貧乏人が人のものを欲しがるは心根が貧しくないというのか?ゾゾの社長が100憶円使って宇宙に行くのもお金のなせるわざ。
お金は間違いなく自身の夢を叶えるツールであるが、儲かっているからこそ堅実経営をトヨタ自動車にみる。創業以来今日まで、トヨタの経営の、「核」として貫かれてきた、「豊田綱領」は、グループの創始者豊田佐吉の考え方をまとめたもので、「トヨタ基本理念」の基礎となっている。トヨタと日産の違いは、「豊田綱領」の差であるというのは過言でなかろう。
大企業というのは優秀な人材が多いハズなのに、徹底した管理体制が構築されていないと、東芝、シャープ、東電、日産、三菱自工のようになる。白物家電で圧倒的な地位を占めていた東芝は粉飾決算で会社を危うくし、シャープは優れた技術がありながらおかしくなった。東電は原発問題で右往左往、日産はヒトラーを迎えて失敗し、隠匿体質の三菱はあの有様だ。
金も人材も集まる天下の財閥企業三菱もトヨタの徹底した商品管理を大いに見習う必要がある。このことはいかに原価管理に厳しいかということでもある。かつてトヨタは、自販と自工に分かれていた。営業がトヨタ自販、製造がトヨタ自工と分離はしていたが、営業と製造は絶えず合同で会議をやり、市場のニーズを伝え、自工はそれを受けて車を造っていた。
製造段階で自工にコストアップの必要性がでる時期もあったが、それをやれば原価が上がる。だから会議をし企業努力が必要となる。会議を終わって、会食をする場合には、一切費用は自販が負担したといい、自工側も頭を下げられた気分で悪い気はしない。50年前当時、製造部門の課長職の年間交際費は、僅か15,000円程度だったという。年間である…。
さらに特筆すべきは、外部の人間も食事が出来る社内食堂が賑わっていたが、そのメニューの単価は10年間、まったく変わらなかったといい、これほどにトヨタの原価管理は、徹底され厳しいものだった。トヨタはすごい会社になるだろう。誰もがそう感じていた。「お金持ちはケチ」というが、金銭哲学と言い換えられるし、これこそが企業努力というものである。
所詮は愛知の田舎の会社がケチで日本一になったのだから、ケチは優れていることになる。「名古屋人はケチ」という風評は聞くが、名古屋人によるケチ体験は自分にない。節約・堅実といえばどこにだっているし、浪費家もである。球界の七不思議の中に、「トヨタ自動車はなぜプロ野球球団を持たないのか?」があるが、サッカーには当初から熱心だった。
読売新聞は巨人の親会社だが、ドラゴンズの親会社の中日新聞をトヨタが買収したとする。となると、アンチドラゴンズファンはトヨタの車を買わないし買いたくなくなる。そこまで考えてのことかどうかは分からぬが、カープファンというだけでマツダ車に乗るという知人もいるし、トヨタほどの大企業なら特定相手との利害を避けた方がトータル的な利益になろう。
ケチの意味を自分は理解していない。何がケチなのかが分からないといった方がいい。こういう話がある。ソフトバンクの株式が店頭公開された94年、初値は1万8900円をつけ、孫正義氏は一夜にして約2000億円の資産を手に入れた。そんな折も折、五反田駅前の大衆的な中華料理屋で孫氏が一人で来店して、1000円もしないような定食を食べていたという。
食べ終わって会計の際に、ポケットから小銭を出して支払って出て行った。この光景をオカシイとか、孫氏をケチだとかいう人間の方がよほどオカシイ。どれほどのお金持ちであろうと、自分の食べたいものを食べるだろう。それが1000円の定食であれ、500円の日本そばであれ…。洋服に関しても無頓着な孫氏は普段、数千円のポロシャツで平気で出かけたりする。
この辺りはジョブズやビルゲイツも同じ類だが、彼らをケチというものはいるだろうが、総資産2兆円の孫氏が毎年1億円使っても、2万年かかる計算になる。彼らは企業経営にお金は使うが、私生活はいたって質素であるのは、そんなところにお金を必要としないのだろう。丸ももっとも関心が高いのは野球のことで、お金は預金通帳の数字でしかない。
アスリートは健康管理が第一だから、節制こそが本分である。お金は老後のため、子どもの教育費、さらには嫁のママ友遊興費…、まあそんなものだろうが、ほとんどは預金通帳の数字だろう。いくらもらっても大概そうなる。あげるというならもらえばいいが、お金が幸福を呼ぶことはない。「幸福」という漠然とした言葉の意味を考えてみるとよかろう。
他人と自分と比較して自分を幸だ不幸だというのは、本当の「幸福」ではない気がする。もし、本当の意味での幸福という言葉があるとするなら、おそらくそれは愛のあるところにあるのではないか。愛の種類や定義もいろいろあるが、分かりやすいのは「献身」である。自分に献身してくれる相手、自分が献身したい相手、そうした存在に幸福感を抱くのでは?
プロ野球球団は製造業ではないが、丸をとった巨人を買収と批判するが、ソフトバンクなどの企業も買収に買収を重ねてさらなる飛躍を遂げている。ようするに買収とは、人のものを欲しがるということだ。ユニクロもアメリカのアパレルメーカー、「J.Crew」の買収を目論んだが、ブランド力の差があり過ぎて失敗。欲しがるのも悪い、評価を受けるも悪いなどは笑止千万。