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責任逃れ男の屁は臭い

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子どもの世界は他愛もない嘘や作り話や言い訳にまみれている。天体望遠鏡の接眼レンズを級友に貸したら、便所に落としたから返せないといわれた。当時の言いようのない喪失感を今も忘れることはできない。自分に出来ることは、以後そいつと口を効かないことくらいしかなかった。高価なものであり、自分の親から彼の親に話を伝えて弁済してもらえばよかった。


そんな考えはまるで浮かばなかった。「便所に落とした」と言われて、しょげるしかなかった自分だ。そんなことで奪い取るなど、相当タチの悪い性格である。中学~高校になっても、あの場面をもう一度再現できないかなど悔し紛れに考えた。人間は経年で成長すれば知恵もつくし、利口にもなる。小学3年生の無知で純朴で哀れなあのときの自分に光を当てたかった。

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司馬遼太郎は晩年このように言った。「22歳の自分に言いたいことがあった。22歳の年齢の自分に手紙を書いたのが自分の作品である」。そうした忸怩たる思いもあって、司馬は「21世紀に生きる君たちへ」という言葉を置いて逝った。「君たちは、いつの時代でもそうであったように、自己を確立せねばならない。自分に厳しく、相手には優しいという自己を。

そして…、素直で賢いという自己を。優しさや思いやりは訓練して得られるもの。本能ではない」。訓練の場は人生という人間関係の中にあるが、そこには何らかの基準と言う自身の規範がなければ、何を訓練していいのかが見えてこない。「理想と言う規範を持たない日本人は、恰好悪いですよ」と、優しさにあふれた言葉こそ、まさしく司馬遼太郎その人である。

的確な言い訳というのは自分の頭で思考する限り、見つけ出すことはなかった。頭を必要とする言い訳でなくとも、相手の頭のレベルによっては通用することもあろうが、その場合に通用する、「言い訳」ならとりあえず、「理由」として担保されるが、そういう頓珍漢人間ばかりではない。ゆえに凡人の言い分けレベルは、聞く側のレベル如何によってはみすぼらしい。

言葉は相対的なものである。ありきたりの言葉もバカには心地よく響くが、「名言」と言われるものは人を選ぶことのない普遍的価値を持つ。将棋を強いと自慢する人間は、自分より弱い相手と指すからであって、仮に負けようものなら言い訳たらたら人間である。人は自分のレベルでしか人を捉えないが、唯一の救いは自分のレベルを下に置いておけば恥をかかない。

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上位の相手を自分と同等と見下し、あるいは錯覚して言い訳をするほど羞恥はない。それらを加味して総合的思考の上で、言い訳は封印すべきとなった。通用する相手には言い訳をし、通用しそうにない相手にはしないという選択も、「通用する」との思い込みの上になされる。小中学生の子どもに言い訳をする親が、しっかり見透かされていることもあり得る。

「親を騙すなどちょろいもの」という子どもは多い。親は子どもを見くびっているようで、実は見くびられている。どちらにしても、「言い訳」は己の』品位を落とすものだから、己に素直になれず、自信もなく、ゆえに言い訳に寄り掛かる人は死ぬまで言い訳とお友達。司馬は、「優しさ・思いやりは訓練」といったが、言い訳をしない人ほど優しい人間であろう。

優しいフリをする人間は話せば分かる。斯くの人間は自己中だから自己正当化の言い訳を多用する。本質的に優しい人間が言い訳をしないのは、イライラしない、人を憎まないからろう。優しさは顔に現れるというが、それは言葉にも現れる。人間は多面的で細部の微妙な心の動きの理解は難しいが、優しい心の持ち主はすべてに現れる。優しいフリが現れるようにだ。

ずっと、ずっと、ず~っと、優しい女を探し続けて来た自分であった。優しさは弱さと混同されるが、弱い人を優しいと錯覚したり、見間違えるが、本当の優しさは、強さ、逞しさから出るもので、甘え、依存、過保護、言い訳から脱却できているからだろう。料理や裁縫や洗濯や掃除が何の苦にもならないのは、親がしてくれなかったからで、頼むのもいやだった。

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何かを頼んで恩着せがましい態度や、交換条件を突き付けられるくらいなら、いっそ自分でやった方が断然よかった。親が何もしないと、子どもは自分でするようになる。学童期にはよそんちの母親が羨ましかったが、今となってはそういう親のおかげと言うしかない。「這えば立て、立てば歩めの親心」というのは心情を謳ったもので、決して手を貸すということではない。

彼女のアパートに泊ったはいいが、徹夜の励みもあってか朝寝坊した女が困って言う。「ね~、何かいい遅刻の言い訳ない?」。「あるよ、こう言ったらいい」、「なになに…?」、「絶対に上司が信じる。間違いないよ」、「だからなに?」、「すみません、寝坊しました!」。「……」。「くだらない言い訳より間違いなく信じてもらえる」。「まじめに考えてよ」。

「まじめじゃん、大まじめ」、「あーあ!もういい、今日は休むから」、「何で?遅刻で休むなんてもったいない!」という現場の会話だが、寝坊で目覚めたとき、誰も言い訳を考えるらしい。それが不可解である。なぜに寝坊が悪いのか?まじめに友人や同僚に聞いたことがある。自分とでガキではないのだから、言い訳を考える心理は、当然にして分かっている。

ある同僚は自分にこういった。「寝坊なんか、サイテーじゃんか。100%自己責任だし、不可抗力的なものがなにもない」。「だから何?」。そんなことは当たりのマエ過ぎる。言い訳は自己責任の回避のためだろうが、「なぜ、自己責任を怖れるのか?」というのは、昔も今も自分の素朴な疑問である。これについてはさまざまな答えがあったが、正確には覚えていない。

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覚えていないが、どれも似たり寄ったりのありきたりの答えであった。もっとも問いに対する答えの一切は想定内であり。ならば、なぜ聞くのか?自分にない想定外の答えを期待しているからだが、遅刻の言い訳を考えるような小人に、そんな期待を求めたところで知れたもの。とにかく、自己責任だけは免れたいという一心で、そのためにはいかなる嘘・方便を用いる。

「逆命利君」について書いたのを思い出した。「逆命利君」とは、住友商事元常務・鈴木朗夫のことをいい、佐高信の著書である。それより「言い訳」について沢山の記事を書いた記憶もあり、「死ぬまで生きよう 言い訳」で検索をかけてみたところ、以下ヒットした。「言い訳」の表題で①~⑨、言い訳は「嘘」・説明は「真」、まともな「言い訳」などない 。

自己向上に言い訳不要、たらされ女の言い訳。これ以外にも書いていると思うが、上記の記事は表題に「言い訳」が挿入されたもの。そうして今回の、成立する言い訳などないである。2017年8月19日の「まともな言い訳などない」の記事である。今回は、「成立する言い訳はない」という表題を考えたが、両者の意味は違う。たとえまともでなくても、成立する場合がある。

言い訳というのは櫻井翔のCMでないが、説得力のある言い訳を摸索すれば見つかるかもしれない。では、説得力のある言い訳とは何かといえば、バカではない相手、単純・単調ではない相手を説得する言い訳と解釈できる。端的に言えば一筋縄でいかない相手を上手く説得できる言い訳ということだ。果たして言い訳の類でそれほど高尚なものがあるのか?

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自分の出す答えは、「ない」。そう断言する理由は、確たる事実が存在するとして、言い訳というのは事実でない虚実、捻じ曲げられたものとするなら、事実でない以上どこかに綻びは出る。では、「事実は小説より奇なり」といい、いかなる作為に満ちた虚実の小説よりも、事実の方が以て不可解であり、奇なりであったとしても、事実に於いて奇なりで、虚実ではない。

反対に、どれほど完璧に練り上げられた事実に匹敵する虚実であっても、虚実は虚実である。他人に、「これは真実だ」と言って虚実を語り、納得してもらったとしても、それは虚実でしかない。分かり易くいうなら、虚実を事実と信ずるにそれは事実なのか?と問うならそれは虚実に違いない。人が介在して信じる・信じないに関わらず、虚実は虚実、事実は事実であろう。

つまり、虚実を事実として提示するのは、対象を騙したことになる。人間が自らを偽り、相手を偽ることがあっても、神を偽ることは許されない。それが神と人間の契約であろう。したがって、「懺悔」という行為で神の許しを乞わねばならない。犯した罪は告白(懺悔)をすることで許されるというが、心から悔い改めれば、いかなる罪も神は許すのだという。

御子であるイエス・キリストは我々の罪の身代わりとなって、死後3日目に蘇った。何でもとはいっても、法治国家にあっては司法の裁きを受けねばならないが…。と、まあ宗教的懺悔を無神論者は信じない。神が許したという証文や捺印を授与されるわけでもなく、あくまでも見えない神に対する想像上の取引だが、これを宗教というなら、それが宗教である。

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懺悔といっても、カトリックは神父になされるが、プロテスタントは直接神に自分の罪を言い表して許しを請うのだという。前者は、神父が神は許されたといい、後者は、自分が勝手に許されたと思い込む。信仰とは心で神と対話するものである以上、人間の心の問題であろう。心のどこを探せど神などいない自分にとって、まったくもって未知の世界である。


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