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総理と総理候補と女性解放

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日本の置かれた政治状況というのは、二大政党を目指すとはいうものの、実現する運びにならないのは、誰もが一番が好きで一番になりたいからだろう。自民党議員にも同じ思いを抱くものがいるが、政権与党にあっては大臣というポスト、政務次官というポストがある。誰もが総理になれるわけでも、大臣になれるわけでもないなら、各種委員会の委員長とてトップである。

それでも自民党に内紛がなかったわけではない。昔のことを引き合いに出すのは、回顧主義というより、現在との比較で思索するためであるが、政界・財界・芸能・文化・スポーツなどのジャンルにおいて、昔と今を比較して違いを最も感じるのは、昔の人には顔があった。顔は誰にでもあるが、その程度の顔ではなく、ちゃんとした、組織などを代表する顔である。

安倍総理がこの国で大きな顔をもてはやされるのも、他に対抗馬という顔が育たないからで、このまま神輿を担がれる続けても全然おかしくない。対抗馬と目された小池百合子は立ち消え、石破茂は相変わらずも鈍牛のごときで党内の支持基盤を増やそうという気概がない。現幹事長でかつて小沢一郎の盟友であった二階俊博は、総理の器でない自負が二番煎じで満足を得る。

小泉進次郎が親父もどきに党内批判をするが、手練れもなければ36歳という年齢では小僧である。「小僧の神様」は小説の話で、一匹狼で総理になった純一郎の例はあれども、柳の下に泥鰌はそうそういない。与野党も含めて、顔を持つ政治家は誰なのか?元民主党の岡田、前原、枝野ら実力者は、それぞれが別の道を歩み始め、三番手だった枝野が漁夫の利から勢いづいた。

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岡田には存在感の、「そ」の字もなく、前原は頭はいいが先の見通しがなく、小池の軍門にひれ伏した。三人で唯一「顔」を所有するのは枝野である。党内抗争に明け暮れていた頃の自民党には、三角大福(三木、田中、大平、福田)という顔があった。三角大福は語呂であって、首相の順序でいえば角三福大であり、それぞれが、それぞれなりの内閣を組織した。

田中角栄は1972年7月7日から74年12月9日まで総理をつとめたが、自身の金脈問題がマスコミに激しく追及され、政局の混乱を招いたとして辞任。田中退陣後、椎名裁定で総理となった最小派閥の三木武夫は、1974年12月9日から76年12月24日まで747日の在任期間は田中の886日に次ぐが、ロッキード事件で田中逮捕を容認したことで、「三木おろし」という退陣攻めにあう。

三木退陣後の総裁選では福田赳夫以外に立候補がなく、両議院総会で福田は総理に選出される。在任期間は1976年12月24日~78年12月7日までの714日。長期政権を目論む福田は総裁再選の流れを作るため、衆議院を解散して民意を問う考えでいたが、田中派の金丸信が、「大義名分のない解散には反対する。解散が閣議で諮られたら署名を拒否する」と、釘を刺される。

福田は金丸を注意するも解散できぬままに総裁選に臨んだが、敗退して内閣総辞職となる。この一件は、日本国憲法下で与党党首選での敗北により退陣した内閣は唯一であった。満を持して登場したのが大平正芳である。「アーウー宰相」、「讃岐の鈍牛」の異名がある大平は、1978年12月7日~1980年6月12日の通算554日。政権基盤も弱いことで、「角影内閣」とも呼ばれた。

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大平内閣当時、自民党は四十日抗争と呼ばれる党内抗争が発生し、分裂状態になった。要因は、1979年の衆院選において、大平の増税発言が響いたことで、自民党が過半数を割り込む結果を招くことになり、大平を支える田中派と、三木・福田の反主流派が激突。選挙責任を問うべく大平退陣を要求に対して大平は、「辞めろということは死ねということか」としてこれを拒否。

即座に大平は総辞職でなく解散する旨を表明、閣議で衆議院解散を決定し、3日後の5月19日に本会議を開かず議長応接室に各会派の代表を集め、解散詔書を朗読した。前回の選挙からわずか7ヶ月余で衆議院は解散。内閣不信任決議可決当日に衆議院を解散しなかった初の事例である。内閣は6月22日の参院選と同時に衆院選の投票を実施を決め、史上初の衆参同日選挙となった。

総選挙が公示された5月30日、大平は新宿での街頭演説で第一声を挙げた直後に気分が悪くなり、虎の門病院に緊急入院した。大平の入院に対して反主流派の中川一郎は、この状態では6月22日から予定されているヴェネツィアサミット出席が難しいことを理由に進退すべきと発言する。一時は記者団代表3人を病室に招き談笑するも、6月12日午前5時過ぎ容態が急変、5時45分に死去。

大平は総理を辞めなかったが、死んでしまった。辞めていたら命は長らえた?じは、「たら」であろう。大平の急逝よって形的には党の一致団結を見せたものの、鈴木善幸を時期内閣に推すこととなったが、その間、伊東正義が80年6月12日~同年7月17日まで内閣総理大臣臨時代理を担う。鈴木は80年7月17日から82年11月27日までの864日は、これまでより長期政権となる。

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鈴木の後を受けた中曽根康弘は、通算で1806日の長期安定政権を担ったが、これは吉田茂内閣(通算2984日)、佐藤栄作内閣(通算2798日)、小泉純一郎(通算1980日)に次ぐもので、それを破る勢いで長期政権を目指すのが安倍晋三内閣(11月8日現在で2150日)であるが、党内抗争もない無風状態では2018年の総裁選にも出馬し、選ばれるのは間違いのない情勢である。

これまでの自民党党則によると、自民党総裁は3年で任期満了となり、同じ総裁が2期6年までとなっていた。しかし、昨年2016年3月、連続3期9年改訂された。本来なら安倍総裁は2018年の総裁選に立候補できなかったが、長期政権が続けば、憲法改正や外交課題に長期的視野で臨める体制となろう。前回2015年の総裁選は立候補者もなく、安倍総裁が無投票で再選された。

民主主義の基本は選挙であるがゆえに、無投票はあってはならずと次回は雄姿の立候補が予想される。具体的な候補者を挙げてみれば、岸田文雄、石破茂に加えて、無いとは思いつつおまけで、林芳正、野田聖子、石原伸晃、小泉新次郎…。但し、林は岸田派なので、岸田立候補なら消える。紅一点野田聖子は、以前ほどの人気はないようだが、立候補だけでも名誉というPRもある。

昔の政治家には顔があったと書いたが、財界人とて同じように顔があった。松下電器(現パナソニック)の顔といえば松下幸之助、ソニーと言えば井深大・盛田昭夫、ホンダといえば本田宗一郎、東芝の土光、日清の安藤などなどだ浮かぶが、現在のパナソニックやホンダやソニーの社長など知る者は少ない。日本にマーガレット・サッチャーやヒラリー・クリントンは生まれるのか?

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彼女たちは、女性の顔を持っていた。日本の政界でかつて総理候補と言われたのは、土井たか子、田中眞紀子、小池百合子、野田聖子、蓮舫、稲田朋美くらいか?そもそも何をもって女性の総理候補なのかは分からぬが、上記の人選でみるに、各々違いが見受けられる。この中で、「ヒドイ」の言葉が当てはまらぬのは、土井氏一人というのが自分の考えである。

土井氏といえば、「ダメなものはダメ」が有名だが、これは竹下内閣が導入した消費税に反対し、1989年の参議院選挙で改選22議席を上回る26議席当選させ参議院で、与野党が逆転したのが思い出される。女性の登用がないのを男社会だからというのは違う。リーダーシップと能力ある女性が出てくれば評は入るが、田中も小池も稲田も化けの皮が剥がれてしまった。

組織学でいえば、確かに女性は組織運営が得意ではないかも知れない(有能な人物は別として)。これを逆説的にいえば、組織のまとめ方、運営が堪能な女性を有能といえるのだろう。古代ギリシャ時代、コーカサス地方にアマゾンと呼ばれる部族がいた。アマゾンは女性だけの国で、子どもを産むために他国の男と交わるが、生まれた子どもは男なら殺す、もしくは不具にする。

女はみな右の乳房を切り取った。アマゾンの女(アマゾネス)は、戦闘と狩猟を糧と死、主として弓を武器としたが、右の乳房は弓を引く邪魔になる。アマゾネスは古代中世にかけては現存していたとみなす根拠がある。文化人類学者の報告によれば、アマゾネスとはいかないまでも、現代に女性上位社会は存在するが、地球の大部分の社会は男性上位となっている。

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これに不満の一部の女性が、「ウーマンリブ運動」を始めた、彼女らの主張は、「今の社会は一夫一婦制をもとにして、家が、社会が成立してる。一夫一婦制とは、一人の女性が一人の男性と一生涯生活すること。これって、女性の性欲求の封じ込めでしょ?」日本人の女性解放化はここまで露骨に言わないが、「抱かれる女から抱く女へ」くらいは言うのだろう。

「ウーマンリブ運動」の初期で名を馳せた「中ピ連(中絶禁止法に反対しピル解禁を要求する女性解放連合)」のスローガンは、①女性を見せ者扱いしない事。②女性をセックスの対象としか見ない風潮を改める事。良妻賢母を押し付けない事。などがある。女性解放運動は禁煙運動と同じくらいに昔からポピュラーで、成功率の低さも同じくらいというもののようだ。

なぜなら、禁酒を望む酒飲みと同じ程度の比率でしか、「解放」されたいと願う女性は少ないからである。男をリスペクトせず、独身で息巻いている田嶋陽子や上野千鶴子は、独身を貫いているがゆえに真の女性解放者であるが、女性に理解されないのは気の毒だ。隠れ女性解放者も多い。下重暁子の著書に、「主人というおかしな文化は止めてもらいたい」とあった。

イメージ 7主人が悪いなら主婦はどうなのだ?主人に対して従婦という言葉はない、それとも主婦に対して従夫を望むのか?女性の発言が女性の視点であるのは仕方がない。自分も男であるがゆえに男の目線で発言するが、「主婦という文化がおかしい」など考えたこともない。世の中の多くの男が、「男らしくありたい」と願うように、「女らしくありたい」のが女性の本音だ。

ウーマンリブは女性の独善的な情緒集団であるように、ある日男らしくない男が団結して、「男は男らしくあらねばならないのか!」とデモり始めたらどうであろうか?残飯を与えられて太らせる豚が突然知恵がつき、人間の意図に気づいてそれに反抗し、「豚らしさ」を返上とばかり、絶食をはじめたらどうなるだろうか?人間の偏った知恵を増長させるべきではなかろう。


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