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Channel: 死ぬまで生きよう!
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悲喜こもごも…

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波乱含みの総選挙も終わって2週間。台風の目ともくされた希望の党代表小池百合子氏の話題も75日も経たぬうちに翳る。都知事でありながら未だ国政政党党首の肩書を持つ彼女。一般的に肩書が複数ある場合上位職を使うとされるが、我々一般人が彼女をどう呼ぼうが咎めはない。小池氏、小池、百合ちゃん、小池ちゃん、小池ババぁなどなど、好きに呼べばいい。

なぜ彼女の人気は失速したかについては、人気であるが故の失速であり、実力であるならこれほど急激な凋落はなかったろう。政治家も選挙という洗礼を受ける以上、人気商売的要素はあるだろうが、公明党の学会票や旧民進党候補者は無所属であっても、労組という組織票を確保できている。民主主義社会の一票というのはどういう一票も同じ一票なのである。

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政治を分かった人も、分かっていない人も、老人も若者も男も女も同列の一票である。義理や血縁で集めた票も一票である。民主主義社会が選挙によって代表者を選び、その代表者によって政治を行っていこうとする限り、上記したようないかなる票であれも同列の一票である。親族・血縁や義理で集めた票も一票であって、政治の分かる人の価値が高いこともない。

したがって、民主主義社会の中で政治を行っていく以上、言ってはならないのは、有権者を見下したりバカにする発言だが、そうとは知りつつ今回の山尾志桜里の当選には選挙区の有権者に対する当てつけがあった。山尾氏は12万8163票を獲得。敗れた自民候補との差は僅か834票で、「1万票を超える無効票は異常」といった根拠のない反発の声がネットで上がっていた。

こうした結果に納得がいかなかったのか、ランサーズには10月23日、「愛知7区の無効票が多すぎ!山尾志桜里の選挙区に何が起こったか!?」というタイトルの記事を作成する依頼が掲載された。報酬は800円。発注主である都内に住む40代前半の男性の自己紹介欄によると、会社員を辞め、個人事業主としてブログの運営やYouTube動画投稿をしているといい、子どももいる。

仕事依頼では、記事の構成について以下の細かい指定があり、全部で1500文字。

 1.愛知7区の無効票が多すぎる!(400文字以上)
 2.山尾志桜里の選挙区の当落結果(500文字以上)
 3.愛知7区で無効票が多かった理由を考察(500文字以上)
 4.記事の感想をまとめる(100字以上)

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誰でも書くことができるようになっているが、先月26日までに削除され、現在は見れない。内容が内容だけに、政治的な思惑があって記事を発注した可能性もあるが、単純にその時々で話題のテーマを取り上げ、アクセス数を稼いでいる可能性も高い。今回の件について、山尾志桜里事務所の担当者は、「何らかの対応をする状況ではありません」とのことだった。

ランサーズには本年9月24日においても、「政治系サイトのコメント欄への書き込み。保守系の思想を持っている方」という限定で、依頼が1件30円で掲載されていた。クラウドワークスにも、「政治系の記事作成。保守系の思想を持っている方限定」といった限定依頼が1本800円で出されていたことがあるが、依頼人は20代の男性である。条件指定は以下の内容であった。

 1.「安倍政治を応援している方」
 2.「テレビや新聞の左翼的な偏向報道が許せない方」
 3.「産経新聞の論調に好感を持っている方」

クラウドワークスへの記事依頼は、保守系のブログ記事が1件800円で発注されていて話題になったが、どうやらクラウドソーシングのサイトで、思想のステマ(ステルスマーケティング: Stealth Marketing)とも呼べるような仕事依頼が相次いでいるようだ。消費者に宣伝と気づかれない記事形式広告(PR広告もしくは記事広告という)の場合「PR」が義務付けられている。

媒体がお金をもらっているなら、「広告」、「PR」表示を出すのは当然だが、それを意図的に隠すが、「ステマ」である。確かにPR記事はメーカーの宣伝広告というより、取材記事という誤認を抱きやすく、そうした効果を狙っている。義務付けられているとはいえ、「PR」の文字は目立たない。広告掲載枠に掲載される広告は、一般に広告が表示されることが明確である。

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意識の低い消費者は「広告」であることに気づかない。「PR」表示に気づきにくい程に、広告が手練れてきた社会である。「PR」とは、「Public Relations」の略で、パブリックリレーションズとは20世紀初頭からアメリカで発展した、組織とその組織を取り巻く人間(個人・集団・社会)との望ましい関係をつくり出すための考え方、および行動のあり方である。

日本には第2次世界大戦後の1940年代後半に米国から導入された。行政では、「広報」と訳されたのに対して民間企業では、「PR」という略語が使われてきた。しかしその後、「PR」は、「宣伝」とほとんど同じ意味で使われるようになり、本来持っていた意味から離れてしまった。そのため多くの組織では、その職務を、「広報」と呼ぶことが多くなっている。

ただし、広報という言葉は組織と社会あるいは公衆(パブリック)とのよい関係づくりという意味が失われ、組織の一方的な情報発信と受け取られがちである。パブリックリレーションズが本来持っていた、「よい関係づくり」という点を忘れてはならないのだが、人間は本質より功利に走る。米国有数のPR会社の創業者ハロルド・バーソンは次のように語っている。

「PRという仕事はその初めにおいては、『いかに社会に語るべきか』だったが、次第に、『何を社会に語るべきか』に変わってきて、こんにちでは、『何をなすべきか』になってきてしまっている」。社会との接点を広くもつべく「広報・PR」とは、表現の方法やテクニックではなく、企業は何をなすべきかまで考えることを期待されるようになっていくべきであろう。


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クラウドワークスでは2月にも、「マスコミに関する風刺絵の作成をお願いしたい」という依頼があった。「新聞に載っているような風刺絵の絵柄」とし、絵の内容は、「マスコミや人権活動家や左翼が安倍総理やトランプ大統領を独裁者(危険人物)と批判しているけれども、そのマスコミたちは真の独裁者(危険人物)である中国の習近平に操られている」とし、報酬は5000円~1万円。

クラウドソーシング掘ると、こうしたいろいろなものが散見されるが、こんなのは氷山の一角で実際にはクローズドな場所でこういう『仕事』が大量に発注される時代となっている。よくいえば、学者や専門家やマスコミ主導で社会を動かすというより、あらゆる人間が民主主義を実践できることになる。日本国内における規制条項は今のところはないようだ。

アメリカではFTC(連邦取引委員会)が2009年に、「広告における推奨及び証言の利用に関する指導を改定し、明確にステマを規制しており、イギリスでも2008年に、「不公正取引からの消費者保護に関する規正法」を施行しており、ステマを違法と取り締まっている。明確な基準がない日本においても、専門機関や専門家の見解では概ね法律違反という方向で一致している。

ただ、医薬品医療機器等法と医療法に至っては、広告自体が禁止されているが、医療法については、医療機関と提携していない口コミサイトなどで、ユーザーが実体験に基づいて記載した口コミは、「誘因性」の要件を満たさず、医療広告に該当しないとされている。なかにし礼や、樹木希林が、ガンの陽子線治療を推奨しているが、「誘因性」が皆無とは言えないだろう。

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このような法律の微妙な抜け目が、日本におけるステマ根絶がままならない一因になっているのかも知れない。のっけの小池百合子から山尾志桜里に言及したが、確かに二人は厚化粧の厚顔女であるが、男の厚顔とはどこか違う印象がある。選挙というのは誰であれ、自分を嫌っているであろうと思われる人にさえ臆面なく近づき、笑顔振りまき握手を求めようとする。

相手から握手を拒否されようと、何をいわれようと、候補者は選挙期間中は石になっている。あの必死感はまさに悲壮感たる感じを抱くが、自分にはあの人たちが政治家を志す信念や情熱にはとても見えないのだ。「信念は岩をも砕く」という言葉もあるから、プライドを捨てて石地蔵になるくらい屁でもないのだろうが、ああした信念・情熱が眉唾に見える自分である。

それより、「ああまでして政治家になりたい」理由の本質が何であるかを多くの者はしっている。政治家は楽して食っていけるからである。議員など魅力を感じないと橋下徹のように、中身はともかく言いたいことを言える人間の自由さには心地よい。「政治家になりたい」動機と、「政治を行いたい」という動機は、単純にいえば、「なる」と、「する」である。

イメージ 6野球やサッカーの選手や、プロゴルファーに、「なる」というが、彼らの場合の、「なる」は、野球をし、サッカーをし、ゴルフをすることである。政治家になるといっても、ただなっているだけの政治家は多い。「なる」は、「する」であるべきだが、旨味のある商売の典型が政治家であろう。大学生に、「なる」、「なりたい」といっても、学問を、「する」とは別である。

「なる」と、「する」は社会に存在するが、何かに、「なる」ことを目指す状態が最も端的に表れているのが、「肩書」であり、近年は大学も肩書である。が、「肩書」でやっていけるものと、スポーツ選手のように、「実力」がものをいう、「なる」に大別される。「大きくなったら何になるの?」などの造作無い質問をする大人に対し、明晰な子どもは、「大人になる」と言えばいい。


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