と、花王は言っていない。が、花王の記事広(専門用語で記事広告のこと。近年はPR広告という)ではヘルシア緑茶を売ろうとする。花王のヘルシア緑茶は一度も飲んではいないが、結構売れているらしい。ビックリしたのは量販店で2ケースをレジに持ってきたメタボのおっさんである。そんなに効くのか?「特定保健用食品」に選定されてはいるが、信じる者は救われる?
一度も飲んだことのない自分は、数年来水出し緑茶を愛飲するが、これに勝るものはない。ヘルシアの有効成分ともいえる高濃度茶カテキンが原因と疑われる肝臓障害がカナダで報告された。フランス、スペインでも12件の肝臓障害が報告され、販売禁止措置もとられているが、日本でトクホに許可した厚労省は、審議の議事録さえ十分に取らない杜撰な審査であるのが判明した。
「もし飲むのなら、肝臓検査の数値に注意したほうが良い」とする専門家もいる。偽装のデパートとされる「発掘!あるある大事典2」を、単独スポンサーとして支援し続けてきた花王は、2007年1月、同番組スポンサー降板にあたり、「広告主として信頼性のある番組作りを要望していただけに極めて遺憾」とコメントしたというが、問題の捏造番組は1月7日に放送された。
納豆によるダイエット効果を取り上げた、「食べてヤセる!食材Xの新事実」と題する番組で、放送が終了するや否、全国各地の小売業店の店頭で納豆が売り切れ、入荷時期も全くの未定といった大騒動となった。しっかりした考えがなく、他人の言動にすぐ同調する付和雷同性は日本人には珍しくないが、余りの不自然過ぎる現象に注目した週刊朝日が独自取材を開始した。
結果、捏造個所が随所に発見されたため同誌は1月26日号で、「納豆ダイエットは本当に効くの?」という記事を掲載、関西テレビに質問状を送ったところ、関西テレビは2007年1月20日に社内調査の結果として、実際には血液検査を行っていないにもかかわらず虚偽のデータを放映したと発表、合わせて翌日21日の放送中止を発表し、同社社長の千草宗一郎らが謝罪した。
社長の記者会見後、番組の根拠となるコメントを寄せた昭和女子大学中津川研一教授は、「捏造データの裏付けに自分の話が利用され驚いている」などと関西テレビに抗議したとされる。中津川氏は、花王の公式サイトでも紹介された食用油、「エコナ」に関わる研究者である。「エコナ」は、「健康エコナクッキングオイル」という商品名で2009年まで発売された。
「他の食用油に比べて体脂肪が付きにくい」という効果を謳い、1999年食用油として初のトクホを獲得したエコナであるが、2009年の夏、TVや新聞といったマスメディアが、「花王の食用油エコナに高濃度の発がん性物質が含まれている?」という報道により一部消費者がパニックを起こした。これが『健康エコナクッキングオイル騒動』で、花王は即刻エコナの販売を中止した。
「エコナをいつか復活させたい」。2012年4月に退任した花王の尾崎元規会長は、悔しさをにじませながら発言したが、そうした思いとは裏腹に、再発売の見通しはまったくたっていない。発がん可能性成分が多量に含有されたことで問題になったエコナだが、同社は、「発がん性の懸念はない」としており、公的に安全性が確認された上で再発売するもくろみであった。
花王は、欧州食品安全機関(EFSA)に対し、エコナの主要成分であるジアシルグリセロール(DAG)油を摂取することで、体重が減少するという健康機能表示を行いたいと申請した。日本での再発売に向けて、まずは海外で効果の高い機能性についてお墨付きをもらおうという狙いだった。ところがEFSA側は、体重減少の効果は認められないという結論を出してしまった。
花王は、「栄養学的に見て、十分に体重減少との関係が証明されている」と強弁するが、効能なしの烙印を押されてしまっては説得力はない。エコナは日本ではトクホとして認められ、体に脂肪がつきにくい効果の表示を認められていたが、EFSAが認めなかったのは、審査基準が厳しいからである。食品でありながら、「医薬品並みの厳格な審査」(業界関係者)といわれている。
とはいうが、EFSAが特別に厳しいわけではない。食品による健康機能表示は、世界的に厳格化されている。日本のトクホもエコナ問題で信頼性が揺らぎ、誇大広告が蔓延していることから、審査や運用の厳格化が望まれる。エコナはピーク時には数百億円の売上高を誇っただけに、環境を整えてから、再発売するもくろみだったが、自らの失策で再発売は消滅してしまった。
エコナの次は同じ花王のトクホ商品ヘルシアである。飽食の時代にあって、ダイエット商品開発に着目するのは花王だけではあるまいが、懲りない花王に腹立たたしさを感じるのは、自社製品の安全試験のデータを隠そうとする会社である。データ捏造は、三菱自動車、スズキ自動車、神戸製鋼などの大企業でも行われているが、花王は以下の問題をどう考えているのか?
◎肝臓移植まで必要とした高濃度茶カテキンの被害
◎フランス、スペインでは発売中止になっていた
◎トクホの審議でも発ガン促進が示唆されていた
◎「議事録なんかとっていません」厚生労働省
◎花王「ファクスで回答します」
花王は自社製品が問題にされるのを不公平といわんばかりに、高リノレン酸、高オレイン酸、中鎖脂肪酸など他の油も試験をしている。発ガン促進作用が指摘されていないこれらの油でも、なぜか腫瘍が増えている。つまり花王は、「エコナが問題にされるとすれば、他社の製品も道連れだ」との言い分だろうが、エコナは「健康に良い」という宣伝が許可されている。
それが特定保健用食品(トクホ)であって、他の油は中鎖脂肪酸以外はトクホではない。我々が注意喚起すべきは、何か特定の成分を高濃度にしたものには気をつけたほうがいいという程度であろう。濃度が高い=効果が高い=害も高いという認識を持つべきで。これで「安全」といわれても困ってしまう沢山使用した後に、害があったといわれて言って行くところはない。
厚労省の外郭団体である食品安全員会も官民癒着の疑義がある。企業が委員に研究費を援助するなどの手を回すことはなきにしもあらずで、その意味で魂をうる不埒な科学者も存在する時代である。食品安全委員会というところは、データの閲覧は可能だが、コピーや写真撮影などは禁止というのだ。その理由が「著作権の侵害になるから」というのには笑ってしまう。
エコナについて調査するジャーナリストにはニベもない対応である。企業というのは都合の悪いものを隠匿しようとするが、マスコミやメディアと言ったジャーナリズムは、企業や不正の監視であろう。それを番組の視聴率の高さをスポンサーに喜ばれたいから不正や偽装をする。一体何を、誰を信頼すべきなのか?先日の、「JA」偽装についてもメディアは調査すべきだろ。
情報は出さないが、正確に報道しろといっても、そりゃあ無理というもので、正確な報道をしてもらっては困るというように聞こえてしまう。それが商売といえばそれまでだが、消費者はむしろトクホには気をつけた方がよい。ダイエットの基本は節制であり、掃き出し(運動)であるが、それができない人が、普通に使用できる油や緑茶に効果を求めようとする。
ヘルシアはエコナに次ぐメガヒット商品である。納豆は少々食べ過ぎても、とりあえず痩せないだけで病気になることは無いが、特定成分を濃縮した健康食品は、一歩間違うと病気になってしまうではないか。どちらが重大な問題か、消費者は考える必要がある。「信じる者は救われる」という気持ちが購入に向かわせるのだろうが、信じても救われぬばかりか、害の蓄積かも知れない。
花王のPR広告は、【「代謝が落ちると太りやすい」──そのメカニズムとは? 研究で見つけたメタボ予防のカギ 】という表題で注意を喚起させ、なんやかんやと、くどくどとまるで自分のブログのような記法で貫き、最期の最後に、「緑茶がいいですよ~!」と、ヘルシアの「へ」の字も出さないが、自然にトクホ緑茶への誘導がなされているが、「運動も忘れずに!」が笑えた。
江戸時代の書物で、緑茶は、「人をして痩せしむ」というのを殺し文句にしているが、これは、栄西という禅僧が1191年に中国から持ち帰った茶であるが、茶というのは、緑茶、紅茶、烏龍茶、プ―アール茶のいずれもが同じ原料の茶を製法を変えている。油を多用する中華料理でも中国人には美人でデブがいないのは、烏龍茶、プ―アール茶のおかげという宣伝効果があった。
上に記した肝移植被害についての実話は、ヘルシアと同程度の量のカテキ(600mg)が入ったサプリメントを、6ヶ月とり続けて肝臓障害を起こしたカナダの女性のケースで、以下のようなもの。「42歳の女性が、黄疸と腹部の痛みを訴え入院。肝機能検査の結果は異常な値を示した。入院後も患者の状態は悪化し、錯乱と脳症を起こして入院後9日目で昏睡状態になった。
検査の結果、中毒性肝炎と診断され入院17日目に肝臓移植が行われた。患者は入院6ヶ月前から、カフェインを抜いた緑茶から抽出したカテキンのサプリメントを1日6カプセル(カテキン量で600mg)飲んでいた。同サプリメントはダイエットに使用されており、カナダでは販売禁止」。同様の被害事例は、フランスとスペインで1999年から2003年の間に13件の副作用が報告されている。
ほとんどのケースは軽い症状ですみ、問題と疑われる商品の摂取をやめると改善した。しかし1件だけは症状は改善せず、肝臓移植まで行なったのだという。原因として疑われたのは、フランスのアルコファーマ社の「Exolise」という緑茶抽出物のカプセル錠である。 一方、日本でヘルシア緑茶がトクホとして認められたのは2003年3月である。エコナ騒動後、花王嫌いの主婦は少なくない。
比べてみればやはりお茶は生がいい。生といっても「生茶」ではなく、茶葉を見ず出しにしてPETボトルで冷やして飲む。温かいのがいいなら、レンジでチン。ただし水出しの場合、茶葉は深蒸しであることだが、p.h値が高いと緑茶がやや茶に変色するので、ミネラルウォーターにも注意がいる。いろいろ試したが、「六甲の水」と、三國屋善五郎の「葵のしずく」を飲んでいる。