現代人の風邪といわれるくらい、多くの人が罹患する鬱病(以下うつ病)である。横浜労災病院の江花部長はうつについてこのようにいう。「うつ病の患者さんは約600万人以上といわれ、それだけうつもポピュラーな生活習慣病と捉えられます。ならば、うつと共に生きる選択肢があってもいいのではないでしょうか。日頃、うつになるリスクは高いと考える方が無難です。」
うつ病というものがどういうもので、どういう風になのかまったく分らない。なった事がないが辛いものらしい。長いことうつに悩まされた、苦しんだなどという芸能人の記述を読むと、何でうつ病になるのだろう?という疑問さえ沸いてくる。一度なってみるとどういうものか分るのだろうし、辛さ苦しさも分るのだろうが、どういう症状がでるのか、とりあえず調べてみた。
【マイナスな感情(不安、悲しみ、焦り)】…うつ病最大の症状。思い当たる節がない、自動的な不安や悲しみが特徴。若い人だと焦りがメインに出てくることがあるので、端から見てると落ち込んで見えなくてうつ病に気づくのが遅れることもある。この先何も良いことがないんじゃないか、自分はダメなやつだ、何をしたってムダなんじゃないか、っていう考えも起きてくる。
【やる気がでない】…2番目あたりに多い症状。最初のうちは仕事に取りかかれずにグズグズするくらいで、症状が進むと趣味をやる気もなくなってくる。楽しいことをする気になれないのだ。こんな風になりたい、という希望もなくなってくるので、前向きな努力がしづらくなる。さらに進むと外出する気がなくなる→着替えや洗顔、入浴をするのが面倒→布団から出られない。
【眠りが悪い】…眠れない方面の悪化と、寝過ぎ方面の悪化がある。眠れない方面は不眠とか睡眠障害とか言われる症状。寝付きが悪い、夜中に起きる、朝早く目が覚めるというのが3大症状。眠りが浅いというのも不眠の一種。ただし、不眠症とは違って全く眠れないケースはまれ。寝過ぎ方面は、ズバリ過眠。昼まで眠いとか一日中眠いとか。
【頭が回らない】…働く人にとって切実な症状。いわば「仕事ができなくなる」。最初のうちは「勘がにぶる」、「アイデアが浮かばない」くらい。やがて物事の優先順位が分からなくなってきて、何が大切なのかピンと来なくなる。体の動きが遅くなる、口数が減る、会議で自分の意見が言えなくなるという事も。若くても物覚えが悪くなったり暗算が苦手になる。
【症状は朝悪く、夕方楽になる】…よほど重症でないかぎり、こういった精神症状が1日中最悪ということはない。朝が悪くて次第に楽になる「日内変動」という傾向が一般的。「昼からは平気だから、自分はまだ大丈夫」と思うのは間違い。その変動こそがうつ病の特徴。最初のうちは朝の出社が辛いところから始まる。特別イヤなことがあるわけじゃないのに行く気が起こらない。
【強い罪責感】…典型的なうつ病では、特に理由もなく自分を過剰に責めたり、過去の些細なことを思い出しては悩むといった症状が見られる。自分を責めるあまり、「自分はこの世からいなくなった方がよい」と思いこんで、会社の業績が落ちたことまでを妄想的に自分の責任だと思い込むようになったりする。
【自殺念慮・自傷行為】…これはもう最悪であり、ここまで来ると一刻を争う。自然と死にたくなる、どうしても手首を切る、という症状。思い詰めて決心して死ぬ人もいれば、自分でも意識せずフラっと自殺してしまう人もいるようだ。しかも怖いのは、これが慢性的になって自分でも慣れてしまうということ。
【その他の身体的症状】…どこかが痛い。食欲不振・食欲増進。発汗。めまい。性欲減退。胃腸の具合が悪い。耳や目が悪くなる。
ざっと読んで大変な病気のようだ。うつ病の比較的初期症状として、「不安感」はほとんどの患者に見られる。うつ病によっていろいろな症状が重なり、今までできていたこともままならなり、「自分はこのままどうなってしまうんだろう」、「周りからどう見られているんだろう」、「一人でいることがたまらなくつらい」といった不安が次々とおそってくる。
診断はどうなのか?現在のところ「うつ病」などの精神疾患を診断するための決定的な検査方法はない。血液検査や画像検査でうつ病を診断することができないため、医師と患者あるいは家族などの周囲の方との面接、問診から得られた情報をもとに診断する。近年、米国の精神医学会によって作成された「DSM-IV」と呼ばれる精神疾患の診断基準が多く用いられる。
発症に際してハッキリした理由が見当たらない場合、「内因性」という診断が付く。単極性うつ病の発症においては、発症を導くような誘因がないというわけではない。例えば、転居、転勤、昇進、子供の結婚、近親者の死去、別居、地位や財産を失うなど、急激な負担の増加・軽減といった事柄の影響が多い。ただし、これらはあくまで「誘因=きっかけ」である。
これに併せて、患者の生育歴ならびにこれまでの病歴、家族に同様の病気になった方がいないかどうか(遺伝性の有無)また、患者本人の病前性格(うつ症状が出る前の性格)について確認される。①一般的には真面目で頑張り屋、②完璧主義で何でも自分がやる、③自己評価が低い、④人に相談できないなど。内因性うつ病にかかりやすい病前性格として、以下挙げられる。
反対にうつ病になりにくい性格というのは、①部屋が汚い、②遅刻をしやすい、③忘れ物が多い、④仕事(勉強)がいつも一夜漬け、⑤感情の起伏や好不調に波がある、⑥好き嫌いによって集中力や完成度の差が激しい、などと書かれていたが、信憑性はない。どれ一つとってもデマっぽい。うつになりにくい性格がどうであれ、それになれるわけではない。だったら不要だろ?
ただし、いつも温和な人はキャパシティが高いのではなく、いい人ぶったりで我慢をしているから、異なった意見や対立した人たちの板挟みになりやすく、ストレスを溜めやすくうつ病を発症しやすいといえるかも。子どもの頃から毎日親と言い合いし、結局小学生の自分が母親をバカと見下せるくらいにバカだったから、ひれ従わずに済んだ。もし、反抗できなかったら…
考えただけでも怖ろしいが、完璧に自己の精神が内部分裂し、壊れていただろう。壊れていたというのは、親にひざまずいて、作られた嘘の自分を生きることになったと思う。親が怖いという人間に遭遇する度に、「親など恐るに足りない。嫌なことはは嫌と言った方がいい、殺されるわけでもないのに」などという。親はが正しいは絶対にあり得ないという自信。
正しくないことを押し付けられたり、いい含めようとするときは、ただ逆らい、無言の反抗をするのではなく、したくない理由を述べること。剛直な親はそれでも「お前のため」などと自分の都合を子どもに転嫁させたりするが、それとて信じないこと。自分にとっての善い悪いは、自分で決める」くらい言って、親に腹を立たせた方が利口というものだ。
一休さんは、大人を頓知で一蹴したとなっているが、大人(親)より自分が正しいと思って何ら差し支えない。が、大人はこましゃくれた子どもを嫌うので、ちゃんと論理を磨いて、反論できないようにすること。子どもが論理で大人(親)をやっつけられるなら、すべての主導権は子どもが持つ。そこまでせずとも、善い親というのは子どもに自主性を持たせようとする。
子どもにとって不幸な親は権威で押さえつけようとするが、これに勝つには理屈しかない。理屈は人を説得(納得)させる事ができる唯一のツールであろう。もう一つ「信頼」という高次なツールがあるが、子どもが親に信頼を得るのは難しい。何をやっても親に信頼される子どもというのはひとくくりの天才だから、凡人は理屈でもって反抗するしか手立てはない。
かつて精神主義が信奉された時代にあっては、子どもの躾として体罰が間違った方法であることは異論はないが、たとえ暴力をふるわないとしても「言葉による暴力」は子どもの成長に悪影響を与えるという研究結果が出ている。アメリカで13歳、14歳の子どもを持つ家庭976世帯の2年間の聞き取り調査で、怒鳴りつけるしつけ法と子どもの問題行動との相関関係を調査した。
結果明らかになったことは、13歳の子どもが母親や父親から怒鳴りつけるしつけを継続的に1年間受けた場合、問題行動を起こす確率が増加し、また子どもがうつ病の症状を示す確率も増加していたという事実であった。驚くべきことに、母親と父親が深い愛情をそそいでいたかどうかは、子どもの問題行動と抑鬱症状との強い関連性に影響を与えなかったということ。
さらに問題行動の多い子どもたちは日常的によく怒鳴られる傾向にあることも明らかになった。子どもを怒鳴りつけたり批判したりのしつけを続けることは、子どもを気むずかしくし反抗的にし、子どもをこき下ろす親は、子どもに無関心な親と同様、正しい教育が出来ていない。子育てにおける三大要素は「良いコミュニケーション、愛情、規律」と心理学者のバーンスタインは定義する。
怒鳴りつければその時は子どもは行動を止めるが、それは何かが身についたことにはならない。大事なことは子どもの行動を正しく認識し、良い振る舞い見つけ、それをきちんと褒めること。これができれば、子どもは親に敬意を払い、悪い行動を減らす。怒鳴りつけて管理をした星野監督が果たして選手に何かが身につけたか?こういう管理は短期には効果があっても長続きはしない。
大人なら誰だって嫌な上司の言う事は聞きたくないし、尊敬する人の言う事を聞こうとする。子どもを怒鳴りつけることで素行不良やうつ病を引き起こすというが、親が子どもを壊してどうする。脳の病が難しいのは、脳は他の臓器と違って一部分を取り出し、病理検査ができない。したがって脳は常にブラックボックスであり、現状のうつ病治療は暫定的な「見込み治療」といえる。
名古屋でうつ病患者を定期的に集めて聞き取りを行っている「名古屋うつ病友の会」の伊藤訓之代表も、精神医療の「うつ病治療」に疑問を抱いている。「ほとんどの患者さんが2年以上、10年もうつ治療をし、医師に対する不信感は増えるばかり。これには患者自身の錯覚も関与している。うつになる前のバリバリ働ける自分に戻レると思うあまり、完治しないと治療意欲を失う。
医師も患者さんが診察に来た時に病状が悪化・緩和くらいしか聞けないし、患者も詳しく話さないので、抗うつ薬を処方されるだけの治療になってしまう。医師は患者の日常生活を知らない。限られた診察室の中だけの会話で治療を進めている。之では何が問題か、抗うつ薬は必用か、と言う判断材料も得られない。こんな治療態度で抗うつ薬だけ飲んで完治するとは思えない。
患者の精神医療への不信感が募る中、「治る」に疑問を抱く精神科医も少なくない。沖縄県名護市の精神科医蟻塚亮二医師は、「医者の力だけでうつは治らない」という。「病気を図形の円で考えてみると、うつになった起点があり、抗うつ薬が効いたとしても円を描いて同じ起点に戻ってしまうのでは、頑なな自分と言うストレス環境に置かれ、うつは再発する。」病気になったということは、元の自分に何かの変化が起きたということ。病気が治ったとしても元の状態には戻らない。それはガンなどの病巣を取り除いても元の自分に戻れないことを前向きに考えないと再発の危険性が高まるように、うつも同じこと。ならば精神医療は無力なのか?「患者が治療に参加する事が大事で、医師に任せきりではいつまで経っても治らない。
新しい自分と、新たな生き方を患者さん自身が発見しなければ楽にはなりません。医師はその手助けをするだけです。主治医はあなたなのだから」と、蟻塚医師はいう。患者には薬信仰が強く、その効果を疑いながら抗うつ薬を処方せざるを得ない場合が多いと蟻塚医師も嘆くが、なぜそんなことが起きるのか?我々はよく「病院に薬をもらいに行く」などという。
日常何気に言い、何気に耳にする言葉。日本には優れた国民皆保険制度があり、これによって少ない医療費で高度な治療を受けれるが、その恩恵を誤解し「治療費はタダ」と思っていないか。実際は高額な保険料を払い、その上、診察毎に三割の自己負担。薬とてもらっているのではなく、「買っている」という意識が希薄であると、多くの薬をもらうと得した感となる。
このように医療保険財政の逼迫は患者側にも問題がある。人間には二種類あって、すぐに医者や薬を頼る人、医者嫌い、薬嫌いの人。自分は典型的な後者で、少々のことでは医者にもいかないし、薬は毒だと思っている。数年前に捻挫をしたときもネットで調べて自力で治した。捻挫は骨折と違って、患部の把握と考える力があればそんなに難しい治療ではない。
風邪を引くなと思えばたくさん着こんで発汗させ、意識して栄養を取る。特に喉辺りにマフラー類で防護し、どてら巻き状態で早く休めば風邪の方から逃げていく。医者に頼った大きな疾病手術は盲腸と大腸がんと包茎と童貞再生手術くらいか?その昔、「処女膜再生手術」というのが流行った事がある。何のために破れたものをワザワザ縫い合わせる必要がある?
結婚相手に処女と思われたい女の切なさと、「処女信仰」という時代錯誤がバカげた事を容認した。『白日夢』(1981年)などに主演したポルノ女優愛染恭子が18歳デビューしたときは処女で、初体験は20歳と述べている、そんな時代である。彼女は1984年アダルトビデオ『サバイバル』の処女喪失シーンを演じるために「処女膜再生手術」を受けて話題になった。80年代初頭にストリップに出演、御開帳で「公然猥褻罪」で二度の現行犯逮捕を受けた。愛染出演の際は警察が劇場に紛れ込んでいたが、それを承知で観客に喜ばれたいという女の心意気である。彼女の引退記念映画『奴隷船』(2010年)で見せたポルノ女優看板抜きの演技はそこそこ評判であった。愛する男で変質者の吉岡睦雄と逢引しやすいよう、うつ病を装って入院するのだ。
そんな愛染を尻目に、しげしげ見舞いに通う夫那波隆史の切なさを、カタカタという下駄の音で表現した演出は見事。そういえば『白日夢』の5年前、日・仏合作の『愛のコリーダ』は、性器丸出しの外国版を主体に撮られ、日本上映版は結合部がボカシでアウト。わざわざモロ版を観るためのグァム・サイパンツアーが旅行代理店で組まれて大盛況であった。
【 『愛のコリーダ』鑑賞ツアー 】とうたってないが、口から口へと瞬く間に評判となり、日本からの多くの女性客で空きナシ状態となる。2年前に上映され話題になった『エマニエル夫人』が女性客で長蛇の列を作った余韻冷めあらぬ中、時代はポルノ解禁と女性の性の自由化に邁進して行く。