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「親切」 と 「やさしさ」

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5月21日夕方、東京・小金井市で芸能活動中に刃物で刺され、意識不明の重体となっていた冨田真由さん(20)が、先週末に意識を回復していた。傷害の疑いで現行犯逮捕された職業不詳の岩埼友宏容疑者(27)は、冨田さんのファンで、冨田さんは岩埼容疑者からブログに執拗な書き込みをされるなどし、警察に相談していたというが、とりあえず危篤状態を脱したことになる。

冨田さんは現在も入院中で面会謝絶の状態が続くなか、入院先の医師が「脳機能に異常は認められない」と診断していることがわかった。「脳機能に異常がない」を単純にいうと、視たり聴いたり話したりなど、五感に問題なしということだ。さらには記憶、思考、空間認知などの知的認知機能を高次脳機能というが、右脳・左脳とも問題ないということなのか?

報道(日テレニュース)によると刺された個所は、左胸3回、右胸2回、左目4回、右目1回、首7回、口3回の計20回刺されたとし、また、事件を目撃していたとされる人物が、「目をくりぬかれていた」との証言もある。これらはあながちデマともいえないが、今回医師による「脳機能に異常なし」という診断は視覚障害もないということで、彼女にとって不幸中の幸いといえる。

内臓にダメージなしとのことだが、高次脳機能障害は精密検査を要するうえにまだまだ楽観は許されない。冨田さんの容態は経過を見るしかないが、犯人の岩埼容疑者は調べに対し、「刺したのは間違いない。冨田さんのファンだった」と容疑を認めている。前回記したように、好意を抱く女性から「無視」されたというネガティブな体験から逆上する人間は存在する。

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失恋体験も同じようなものだが、交際相手でもない不特定多数をファンにもつ、いわゆる芸能活動を行うアイドルに対し、思いが届かない、叶わないなどは、むしろ当然にして当然のことであると思うが、どの程度の至近距離的な交流があったのかは定かでない。最近のアイドルはAKBの指原の例もあったように、ファンに逆ナンするというから、アイドル=高値の花ではない。

今回の事件も距離感の問題が根っこにあったといわざるを得ない。その事の善悪はともかく、こういう事件に触れるとファンもいろいろという事で、それを踏まえた対応を取るしかなく、自分の身は自分で守ると言う危機管理意識を強めるしかない。ファンは善意ばかりとはいえないわけだから。プレゼントをくれたり、ファンレターをくれたり、それもファンである。

安易に受け取らないほうがいいとまでは言わないが、一度もらったプレゼントを返却されたというファンとアーチストの関係もあるんだなと、我々門外漢は驚くばかりだ。コンサート会場の芸能アイドルに限らず、フィギュアの選手などもリンク内に多くの物が投げ込まれるが、アーチストへの贈り物というのは、本来的にいえばファンとしての無償の捧げ物であろう。

今回の事件のような、アーチストとファンの距離感の近さというのか、経験ないから想像するしかないが、ファンからすれば無償の捧げ物というプレゼントではないのでは?分かりやすい事例として、「親切」や「やさしさ」という感情の実体について思考してみる。「親切」とか「やさしさ」とか、これらの情動は人間にとって道徳的に美しい心の最上位に置かれている。

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ところがその実体というのは醜いものが多い。人に優しくすることで、その見返りを得る心理は間違いなくある。「親切」という美名の裏で、「せっかく優しくしてやろうとし たのに、相手が拒否しやがった。なんてやつだ。」と、これが親切、優しさといえるのか?押し売りや強引なセールスと同じ心理であろう。ようするに、自分の都合を「親切」に当てはめているだけ。

「親切」や「やさしさ」が何であるかを実感するには、自分に置き換えて考えたり、体験を思い出してみるのがいい。人から「やさしさ」を感じる瞬間とは、どんなときだろうかと…。自分が困っている時に、願ってもない手が差し伸べられたとき? あるいは、困っているときに飛んで来てくれたり、力になってくれたり、いずれも、困っているときという前提がある。

反対に、優しさを感じないときとはどんなときか?さして困ってもいないのに、いかにも善人ぶったり、親切ぶったりであれこれする人間ではないか?相手の行為を、「ぶったり」感じるのは、迷惑だと思っているからだ。もちろん、相手は「ぶったり」ではなく、本当に親切にしたいのかも知れないが、こちらが望まない事は親切どころか、「おせっかい」という状況となる。

それなのに相手は、「やさしさ」という陶酔感に浸っているのだから、罪はないのだろうが、「親切(善意)の押し売り」というのは、やはり罪であろう。社会生活のなかで関わった経験は誰にもある。行った経験もあろうが、こちらは自身が知覚しにくい。道徳的に善いことをしている、という思い込みが判断の障害になっている。まさに善意とおせっかいは紙一重。

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「親切」や「やさしさ」という美名に隠された、計算高い行為を無意識に、あるいは意識的に行うのが人間である。このブログに数度となく書いたが、親切と言う美名に驕らず、客観的になる事は人間関係に大事だと思うようになった。自分の都合を相手の都合と勝手に置き換えて行為することの醜さである。それを気づかせてくれたのが坂口安吾の「赤頭巾ちゃんの親切」である。

本当の親切とは…、人に親切にすることの本当の意味とは、赤頭巾ちゃんが(狼が化けた)おばあさんに親切にして、食い殺されたように、たとえそうなったとしても文句もいわない気持ちですることをいう。それが親切の見返りを求めない確たる信念であるのだと。そういう気持ちでなされない親切ならすべきでないと。思えば初めてこの考えに触れた時の甚だしいショック。


そんな事は学校はおろか、誰ひとりとして教わったこともなければ、説いてくれた人もない。安吾の考えに激しく心が揺さぶられた。こういう気持ちで行為する以外の親切は、すべてにおいて見返りを求める醜さにある。そういえば昔の時代劇映画には、そんな旅がらすの渡世人がいた。人助けをし、感謝され、礼には及ばないと、ビタ一文受け取らず、背を向けて去っていく。

「後生です。せめて、お名前を…」と聞かれて、「名乗るほどの者じゃ~ございやせん」と、かまわず去っていくその後ろ姿にみる男の美学。子ども心にカッコイイであったが、青年になって安吾の一文に触れたときは、少年期に抱いた、「カッコイイ」ではなく、人が人であるための美しさであった。「そんな綺麗ごとをお前はできるのか?」という声はたまに聞く。

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こんな事は簡単にできる事。誰でもできるし、そんなに難しいことじゃない。自らが望めばそういう気持ちになれる、「やさしく」人に接することができる。つまり、そういう気持ちで行えない親切は、親切ではないと思えばいいだけのこと。何気に人に親切にする事はある。その後に相手から礼など言われたときに、人のための行為ではなく、自ら向上するための善とする。

「自分が自らのためにしたかったこと…」と言うもよし、言わぬもよし。まあ、謝礼の何かを受け取るなどはとんでもないことで、それでは自身の気持ちに背を向け、歪めてしまう。それでこそ安吾の言葉を理解したことになる。人間は卑しく、欲であって、他者からの評価を求めたいものだと…、そういう自覚が前提にあるからこそ、そうした醜さに反逆できる。

自分は善人なのだ。誠実で、無欲で、人に慕われる卑しい人間ではないと思えば、見合った理屈をつけて金品や、地位・名誉を貪る。公金・税金を己の金としか見ない人間が、「あらためます」と言ってすぐになれるか?あり得ん。自らの欲と長き格闘の日々があってこそだ。舛添はつくづく醜い男。地位にしがみつくためには、人のケツの穴でも舐めるような男。

誰がそんな男を信じる?自らの給与減額を提案したり、湯河原の別荘を売却したりと、あの手この手で食いつなごうとする、姑息で卑怯な男に騙されるほうがどうかしている。あわば70歳に届くような老齢の人間が、今さら何を言おうが、どんな手を講じようが、やったことの責任を取ることにならない。やってることがバレた後に、「もうしません」などと、そこらの不良でも言うよ。

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「公務に殉じることが責任を果たす」などの言葉を金科玉条の如くほざいても、切り捨てられた者は多く、国民を舐めるな、甘ったれるんじゃないである。孔子様の言葉によると、七十歳というのは、「自ら思うままに自由に生きても、人の道から外れるようなことはなくなった」である。「お願い、もう1回やらせて!」など、幼稚園児の言葉。「鬱陶しい、恥を知れ!」だ。

舛添要一という人間を都知事職から追い立てなければならない理由は、あれこれ言われているが、究極的にはたった一つ。ようするに、あれほど数々の粗相をしでかして置きながら、この場に及んで辞職の「じ」の字もなく、必死に地位にしがみつこうとする無様さ、惨めさ、無責任さ、哀れさ、恥知らず、と1つと言いながら5つ言ったが、ひとまとめで、「無能さ」である。

いかなる手段を講じても知事を続けたいというバカな男。そんな、無能と分かった人間を続投させる理由がない。悲しいかな本人は無能の自覚もなく、「やらせて欲しい」と訴えるが、普通の企業なら左遷で子会社送り。会社は株主のもので、無能をトップにおくなど株主が許さない。都知事は都民のための善良な仕事を担うべしで、無能知事は都民が引きずり降ろすべし。


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