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生きることは、生かされるってこと

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人は生きているだけですごい。と、ふと思ったりする。生きているのは自発的な部分もあるが、病に抗った勝利でもあり、生きていながら実は生かされてるともいえる。それを感謝とするなら、生きてることは即ちどんなことにも意味があるということだ。苦しいこと、思うようにいかなくて辛いこと、それをどうするかを考え、実践することが「生」の実在感でもある。

笑い、喜び、憂い、悲しみなどを「心」の衝動というが、心とはすなわち脳である。人の脳を取り出して検体として眺める。そこにあるのは脳であり心ではない。心が見えることはない。脳の一部を取り出し、生きたまま培養できたら…、これは科学者の夢だが、考えただけで難しい。例えば首を絞めると、大人なら4分、子どもなら3分で脳がやられる。

仮死状態から蘇生するも、脳は元には戻らない。2週間前、高校時代の友人が心筋梗塞で逝った。突然死の中で心筋梗塞はもっとも怖く、医師でもその前兆の見極めが難しい。心臓は生まれて以後、いや、生まれる前から拍動を続ける臓器で、24時間休むことなく全身に血液を運ぶためのポンプとして、1日に約10万回も収縮と拡張を繰り返す。

体内の臓器は血液が運んくる酸素が必須で、心臓は命の大黒柱といえる。その心臓も、酸素や栄養素を必要とし、それが心臓の筋肉に張り巡らされた冠動脈である。冠動脈は直径がわずか3mm~3.5mmしかなく、そんな細い血管が心筋の働きを支えているのだ。心筋梗塞とは、冠動脈が完全に詰まって、心筋への血液がストップする病気である。

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冠動脈はおおまかに3本あり、その細さからして足の血管などに比べるとなんとも貧弱である。直径が数センチ、数十センチと太い水道管や配水管でも詰まるわけだから、3mmの血管が詰まらないわけがない。血管は様々な理由で詰まる。加齢による動脈硬化、高コレステロール値、糖尿病、喫煙、アルコールの多飲、ストレス、肥満などなど。

近年、コレステロールの上昇(とくに悪玉コレステロールの高値)と、境界型糖尿病の増加が問題のようだ。2005年以前は、冠動脈は動脈硬化によって徐々に細くなって詰まると考えられていたが、近年、高カロリー食摂取や運動不足で、冠動脈内部の「プラーク」という脂質のかたまりが急に壊れ、その部位に急激な炎症がおきて詰まるのが判った。

また、冠動脈が急にアレルギー的に収縮して詰まる、といったメカニズムも認知されている。血管が細くなって詰まりそうになるのが「狭心症」で、完全に詰まってしまったのを「心筋梗塞」という。先端医療機器のおかげで、生体を切らなくても体内を観察できるようになった。冠動脈の狭窄部位も造影で発見でき、適切な治療を行えば閉塞を回避できる。

下の画像は、冠動脈撮影という心臓の血管を写しだすカテーテル検査で発見された狭窄部位に、「風船」のようなものを入れ、血管が細くならないように「くだ」を入れる治療の結果、血管の狭窄が消滅した。が、これで万全というわけでなく、予後治療として血液をさらさらにする薬や、コレステロール値を下げる薬を処方されるが、何より運動が欠かせない。

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運動によって全身の血流がよくなり、血管の詰まりが防止できる。川の流れもゴミや不純物がなければスムーズに流れるように。運動による血流増大は脳にも影響し、脳血栓を防ぐばかりか、酸素を多く含んだ血液が脳を循環することでボケ防止にもなる。急性心筋梗塞は、発作が起こってから約1時間以内に30%から50%という高い確率で死亡に至る。

友人が自宅で発症したとき、家には妻が不在で彼一人だったのは不運である。帰宅した妻が慌てて救急車を呼び、病院に搬送されたが時すでに遅しだった。友人も妻も高校時代の自分の共有の友人で、話をいろいろ聞いたが、妻は自身の不在を嘆き、責任を感じていたが、そうではなく、たまたま不在の時に発症したのは不運としかいいようがない。

最新の医療技術の進歩により、心筋梗塞は1時間以内に病院に到着できれば、95%の人が助かるという。つまり、1時間という時間がまさに生死を分けている。が、心筋梗塞はどこでどういう状況で発症するかなどは誰にもわからない。脳出血や心筋梗塞を発症し、「運よく助かった」と命を落とさなかったケースには、やはりラッキーな部分が大きい。

発作の前段階に、自分の体内で何が起こっているかの正確な判断ができる人がどのくらいいるのだろうか?心筋梗塞の前兆症状は、疲労と間違えやすいこともあり、発作が起きる寸前まで気がつかない場合が多く、それでも様々な症例から、予備知識を持つことは可能。心筋梗塞は朝起きて、体が活動を開始する9時~10時に最も発症しやすい。

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一般的な症状としては胸の痛みで、朝、いきなり胸の痛みに襲われるという。この時いったい体内で何が起こっている?冠動脈が完全に詰まって、心筋への血液がストップすることで、心筋への酸素と栄養素も途絶えることとなり、この状態が30分以上続くと心筋細胞の壊死が始まるという。人間は呼吸で酸素を得、それを血管が体中の細胞に送る。

狭心症の発作は冠動脈が完全に詰まるのではなく、血流が悪くなることで起こるが、心筋梗塞が安静時に多く発症し、狭心症は運動時の発症が多い。痛みの継続時間も短く5分以内、長くても20分以内に痛みが消滅するが、それは狭くなった血管が元に戻ったのではなく、発作後に安静したことで心臓が要求する酸素や栄養素が減少したためである。

したがって、発作時の安静は重要。狭心症の発作は心筋梗塞の予備軍といえる。冠動脈の狭窄、閉塞は、高血圧症、高脂血症、糖尿病、運動不足、タバコなどの要因が重なると、年齢に関係なく動脈硬化は進む。一般に動脈硬化は粥状(じゃくじょう)硬化をいう。血管の壁に悪玉コレステロールが溜まり、ドロドロしたお粥のような粥腫ができる。

また、動脈の末端である細い部分に起こるのが細動脈硬化、血管の中膜に起こるのを中膜硬化と区別される。動脈の血管は内膜、中膜、外膜の3層構造になり、中膜にカルシウムがしみ込んで起こるのが中膜硬化で、大動脈、足・首の動脈で起こりやすい。前兆がほとんどない心筋梗塞も、上記の要因を合わせ持つ人は、発症を防ぐ日頃の用心が大事。

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心筋梗塞は胸の痛みと限らない。肩から背中にかけての痛み、腕・肩・歯・アゴの痛みもある。首が回らない、ひどい肩こり、鼻が詰まる、喉が詰まる、ゲップがでる、しゃっくりがでる、胃の不快感、動悸・息切れ、風邪でもないのに咳が出たり声が枯れる、夜中にトイレ回数が多い、心筋梗塞で胸の痛みを訴える人は全体の約半数に過ぎない。

言われてみると、確かにこれらの症状は疲労がたまっただけでも現れる。それと心筋梗塞の発作時には、冷や汗を伴うことが大きなポイントのようだ。ではなぜ、冷や汗が出る?これも体が内部異常を起こした場合に出すサインの一つで、痛みなどの症状が現れない無痛性心筋梗塞なども、冷や汗、めまい、むかつき、顔面蒼白を起こすという。

無痛性心筋梗塞は糖尿病患者に多いとされる。その理由として糖尿病患者は、合併症として「神経障害」を引き起こすことがあり、痛みなどを感じる知覚神経が障害されていると、心筋梗塞が起こっても痛みが感じられない。末梢神経障害により心筋梗塞を見逃してしまい、発見・処置が遅れると死に至ることもある糖尿病は怖い病気である。

糖尿病患者が心筋梗塞を予防するには、キチンとした糖尿病治療はもちろん、禁煙、生活習慣病の改善、寝不足の改善、ストレスの軽減などの他に、近年、アディポネクチンというホルモンを増やす事が効果的と分かった。アディポネクチンは脂肪細胞から分泌されるホルモンで、血管壁の傷を修復したり、インスリンの感受性を上げる作用がある。

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普通の健康体の人の場合、アディポネクチンは一定量分泌し、血管の傷ができればその都度修復される。ところが、内臓脂肪が多いメタボ患者や糖尿病患者の場合、アディポネクチンの分泌が著しく減少するのが研究によって明らかになった。アディポネクチンの分泌が少ないと、血管の傷がうまく修復できず、インスリンの効きも悪くなってしまう

それが動脈硬化が進行させ、心筋梗塞の要因となる。また、最新の研究では野菜や果物に含まれるオスモチンがアディポネクチン受容体を活性化させる働きあることも判った。オスモチンを多く含む食材には、じゃがいも、トウモロコシ、トマト、りんご、キウイなどがある。が、じゃがいも、トウモロコシは炭水化物が多く、高血糖になるので注意。

糖尿病に限らず、心筋梗塞の予防というのは、生活習慣病の改善と、喫煙の問題、過度の飲酒、それに高コレステロール値でメタボにならぬよう、適度の運動が何より効果的のようだ。特に運動は全身の血流がよくなること、つまり血管を掃除する効果があるのは言うまでもない。歩いたりの有酸素運動はタダでもできるが、簡単なことほどやれないもだ。

「走り続けるための理由はほんの少ししかないけれど、走るのをやめるための理由なら大型トラックいっぱいぶんはある。僕らにできるのは、その『ほんの少しの理由』をひとつひとつ大事に磨き続けることだけだ」という村上春樹の言葉。「壁は何かをやろうとする人にのみ立ちはだかる。だから壁は乗り越えるためのチャンスである」というイチローの言葉。

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前向きになれる言葉、ポジティブに生きる言葉に触発されるのもいいかもしれない。が、何事も始めるのは第一歩でしかない。あとはどこまで続けるかで、それについては、自分と厳しく付き合うしかない。人は誰も自分に甘えたいし、自分を甘やかせたい。それも楽な人生だし、否定はしない。が、何かをやろう、続けようとするなら、別の付き合い方がある。


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