Quantcast
Channel: 死ぬまで生きよう!
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1448

JKというJOKER ②

$
0
0

イメージ 1

1月23日の記事の続編。社会学者宮台真司が、現代の風俗現象を切り口にしたコラムを青年誌に連載、それらを一冊の本にまとめた『世紀末の作法』(1997年・メディアファクトリー)  には、"終ワリナキ日常ヲ生キル知恵"という副題がある。著書の内容紹介と著者宮台真司についての履歴には以下のような記述がある。1959年に生まれ、転校で6つの小学校に通い、中学時代に学園紛争を経験。

大学で社会学理論の実効性に疑問を持ち、リクルート社と提携したマーケットリサーチ会社を設立した。主にルーマン理論(複雑性の縮減など)に依拠する社会学者が、90年の統計データの解釈の困難に直面してフィールド調査に乗り出し、1993年以降に発表した膨大な依頼原稿の内、短いものをまとめて1997年に刊行した300頁強の本。宮台は知る人ぞ知る「売春合法化論者」である。

彼が、援助交際を専門的に調べるきっかけになった理由は、当時付き合っていた女子高生が援助交際をやっていたからで、宮台も一時期テレクラにハマっていた。ところが、母親に50枚の会員証が見つかり、すべて捨てられたその後も続けていたという。そうした宮台の社会風俗への興味・好奇心が社会学者への道へと進ませた。戦場カメラマンが戦地に赴かずして、何の絵も撮れないように…。

ブルセラ、テレクラ、援助交際の少女たちと、その風俗をささえる"おやじ"を風刺する気鋭の社会学者として当時、「ブルセラ宮台」の別称とともに、体験的サブカルチャー論は彼のフィールドワークであった。しかし、こうした時代評というのは、当然ながら古びてしまうし、実際読んでも古臭い。この本に描かれたことにはすっかり慣らされ、その魅力に対する感度もすっかり鈍磨してしまっている。

イメージ 2

こういう社会の現実の中で大人が美辞麗句の道徳を説くのは、ホンネとタテマエの乖離を招き、大人の世界は「ウソ社会」だという実感を強化するし、それが逆効果であると知る者は、現実を直視し、認識できる大人である。自分も斯くの大人の一員で、タテマエ論の虚しさ、無意味さは分かりすぎるくらいに分かっていた。性は押入れの隅に押し込んで置く物ではないと痛切に感じていた。

何はともあれ、現実を知らないことには的確な対策は生まれない。NHKが変わったと多くの視聴者が感じているように、タブーを取っ払い、時代の変節に合わせた番組が目に付く昨今だ。『日本侠客伝』などヤクザ映画を18本も撮った映画監督マキノ雅弘は、吐き捨てるようにこう言った。「NHKはヤクザは人を殺すのでけしからんといって放送しない。そのくせ大河ドラマで信長や家康をやる。

いったいあいつ等がどれだけ人殺しをしたか、知ってるのかね~」。そのNHKに、『クローズアップ現代』という番組がある。1993年放送開始だから3500回を超えた長寿番組で、番組開始時からキャスターを務める国谷裕子は番組の顔である。幼少期から日本、アメリカ、香港等で過ごした彼女は、アメリカのブラウン大学を卒業後、日本国内の外資系メーカーに就職、商品の販売戦略を担当した。

「なぜ一つでも多くせっけんを売らなくてはいけないのかと、納得がいかなくなり、一年足らずで辞めてしまった」という。『クローズアップ現代』は、2014年5月14日放送分でやらせ疑惑が指摘され、NHKは内部調査委員会を設置した。一年後の2015年4月28日、「過剰な演出」があったとする調査結果をまとめて関係者を処罰、同日、予定を変更して調査報告書の内容や調査委の会見を放送する。

イメージ 3

番組の最後に国谷が、「22年間番組を放送してきましたが、事実に誤りがある番組を放送してしまったこと、視聴者の信頼を損ねてしまったことをおわびいたします。常にフェアで事実に誠実に向き合うことで番組に取り組んできましたが、今回調査委員会により、その一部が視聴者の信頼に反する内容と指摘されました。私としても残念でおわび申し上げます」と、涙ぐみながら謝罪を行った。

2016年初頭、NHKは『クローズアップ現代』を刷新し、番組名を『クローズアップ現代+(プラス)』に変更、国谷裕子キャスター(58)を、2016年4月期から降板させる方向で検討しているという。彼女には、22年間ご苦労様というしかない。同番組はその名の通り、現代をクローズアップして見せるわけで、2014年9月3日には、『広がる少女売春 ~"JKビジネス"の闇~』という内容で放送された。

「援助交際」、「サポート相手募集」と名を変え、少女が売春に興じているのは間違いないし、社会にはそれらの土壌となるシステムが公然と営業を行っている。夏休みには、東京都心で制服姿で客引きをしている少女たち。「女子高校生と1時間8,000円ほどでデートをするJKお散歩です」などのチラシを配布する。売春の温床にもなるJKビジネスといわれる業態が、全国に広がっている。

女子高校生と、「ハグ、1分1,000円」、「添い寝、5分で1,500円」。客は追加料金を支払い、さまざまなサービスを受ける。多くの客が、性的サービスまで要求してくる。また、17歳の少女が言う。「お客さんは、それこそ『ホテル行こう』とか、平気で言って来ます」。番組の取材に応じた少女の多くが昼間は学校に通う、一見、普通の女子高校生。しかし、学校や家庭に居場所がないと感じている。

イメージ 4

 「お母さんとけんかが毎日絶えなくて、ずっと死にたいと思っていて…」と、前出の17才の少女は言う。少女を街角に立たせ、客を取らせている業者は、満たされない少女の気持ちにつけ込んでいるという。JKビジネスに関わったある男性は、「彼女たちにご褒美をあげたり、サプライズでプレゼント差し上げるとか。女の子たちは喜ぶのでコントロールしやすい。」というが、そんなものだろう。

番組に顔ナシで登場するあやこさん(仮名18歳)は、「1日最高4万円以上は稼げるみたいに言われて、ちょっとお金に困っていたので…」という。彼女は昼間は毎日学校に通う、学校が終わると、店が用意した制服に着替え、声をかけてくれる客を待ちます。料金は1時間8,000円で、売り上げは店と折半するシステム。彼女は売春を断っているが、危険な目に遭うことも多い。そりゃそうだろう。

危険なところで危険な目に遭うのは当然。危険な目に遭いたくないなら危険なところにいなければいい。危険を回避し、乗り越えているなどと、そんなものは束の間である。たまたま今は売春をしないといってはいても、毅然とそれを続けることは不可能。なぜなら、客にもいろいろいて、金を積む者、言葉巧みに誘う者、これらを毅然とあしらう信念の持ち主がそんな所にいるはずがない。

マックの店員ではないし、そんな所にいる女の子は誰がみても軽い女と見、誘いやすい。いずれ彼女たちは、「どうせそういう女の子と見られているなら、いっか~」と自己肯定は時間の問題。強靭な信念などない。「誰もが軽い女とみるなら、自分は絶対にそうならない」という崇高な信念の持ち主は、最初からそんな所に行かない。コシ餡は嫌いだけど、「赤福」は好きと言ってるようなもの。

イメージ 5

「売春はしていない」を自分は信じない。安易な人間は、どんどん安易になり、安易が嫌なら最初から安易をしない。宮台は言う。「『何かを諦める』ことと、『諦めるべきものを初めから知らない』こととの間に横たわる大きな差異にだんだん気づく少女は、『諦めるということを知らない』。もし、私自身が、『諦めるべきものを初めから知らない』という環境に育ったら、彼女たちと同じに振舞うだろう」。

宮台は1960年代から70年代に書かれた数冊の少女マンガを読み漁り、当時の少女たちが抱いた「家族幻想」、「恋愛幻想」は、当時の少女マンガなくしては得られなかった。彼女たちは、少女マンガと共に生きたのである。そうした幻想をリアルに生きられた時代でもあった。現代の少女マンガが変質し、耽美で露骨な青年マンガを読む機会に育った少女が、変質するのは仕方のない事だ。

「乙女チック」を含めたかつての少女マンガの「幻想」が、宮台の言う単なる回顧を超えて、かつてのような圧倒的な同時代的リアルさでもって享受されるような日は、もう二度とかえってこないだろう。それは男の子にも言える。正義は強く、正義は必ず悪を滅ぼすという、勧善懲悪マンガの衰退がもたらせたもの。正義は偽善と決め付ける前に、正義の美しさを知ろうとしない若者は不幸である。

「酒鬼薔薇事件」の少年Aのような、擬似家族ゴッコが生みもたらしたもの。彼が自分の家族や家庭の中で、正しい居場所を見つけられなかったこと。では、誰がそれを阻んだのか?その事は、上記の17才少女が、「お母さんとけんかが毎日絶えなくて、ずっと死にたいと思っていて…」という言葉。学校や家庭に居場所がないという現実が、自分を求める客に自らの実在感を覚えるのだろう。

イメージ 6家に居たくない、親がうるさい、というのは思春期時期には誰にでもある。が、それが一時的なものか、致命的なものかで多少は違いはある。情緒の未熟な思春期時期にやることがない、居場所がないと感じる少女が、何か別の楽しみを求め、あるいは効率的な収入を求めて、風俗に足を踏み入れるという社会害悪を放置することなく、キッチリ取り締まるのが国家の責務ではないか。
ピンクサロン(pink salon)とは和製英語で、女性店員がナニをおしぼりで拭き拭きし、口唇を主とした性的なサービスで接客する風俗店おことを言った。ソフトドリンクやアルコール飲料も提供される。略してピンサロなどと呼ばれ、同義語にピンキャバがある。そういうところで働く女性は特殊な事情があったものだが、こんにちキャバ嬢は憧れ的な響きがある。なぜなら「ホステス」と同義と捉えているからだ。

女性従業員(キャバ嬢)には、「笑顔での応対」や「相手に話を合わせながらいい気分でお酒を飲ませる」など、感情労働を求められる。そういう世界には往々にして裏があるもので、男と女の世界に裏があって当たり前か。かつてピンサロには、JOKER(ジョーカー)、エンジェル -という女性従業員が管理者に伝える隠語があった。前者は客が射精に至らなかったこと、後者は昇天(射精)した客の事。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1448

Trending Articles