花の色は 移りにけりな いたずらに 我が身世にふる ながめせしまに
好きな歌だ。美しさゆえに老いいることの嘆きを詠んだのが小野小町。かほどに有名な小町だが、名ばかり高くて、その生涯のほどはほとんど知られていない。ミステリアスな上に三大美女と称されている。花と自身の美貌を掛け合わせている。「移りにけりな」は色褪せて衰える、「いたずらに」はむなしくの意。女性的な感傷だが、「諸行無常」という言葉もある。
物事は常に変化するもの。盛えたるものもいつかは衰え、形あるものは必ずこわれる。死は必ず訪れる。と理性的に捉えられ、だからこそ、"今このひとときを大切に生きるべし"となる。同じ生きるなら、どうせ死ぬなら、しかと自身の意志で、楽しく、喜びに満ち、幸せを実感できるように、日々を生きたいものだ。そうは言えど、嘆きも、苦しみもある。
嘆けとて 月やは物を 思はする かこち顔なる わが涙かな
と、西行法師は詠んでいる。嘆きなさいと、月は私に物思いをさせるのだろうか。いや、そうではない。にもかかわらず、まるで月のせいであるかのように、こぼれ落ちる私の涙。西行は本名佐藤義清(のりきよ)といい、北面武士として鳥羽院に仕えた後に妻子を捨てて出家。日本各地を行脚しながら歌を詠む。生命を深く見つめ、花や月をこよなく愛した。
西行を語る文献に出家時のことを「妻子を捨てて出家した」とだけ書かれ、なんとも冷たい男に見えるが、実際にはちゃんと弟に後の事を頼んでいる。武士としての実力は一流で、疾走する馬上から的を射る「流鏑馬(やぶさめ)」の達人であった。北面武士とは、院御所の北面(北側の部屋)の下に詰め、上皇の身辺を警衛、あるいは御幸に供奉した武士のこと。
11世紀末に白河法皇が創設した。「北面」は今でいうエリートコースであり、採用にはルックスも重視されており、西行は容姿端麗だったと伝えられている。文武両道で美形華やかな未来は約束されていた、そんな西行はなぜ22歳の若さですべてを捨てて出家したのだろうか?いろいろ言われているが、以下の5つが有力である。①仏に対する救済心の強まり。
②友人の急死で人生の無常を悟る。③皇位継承をめぐる政争への失望。④自身の性格のもろさの克服。⑤高貴な女性との失恋。その女性とは歌会などを通して仲を深めた鳥羽院の妃・待賢門院(崇徳天皇の母)で、一夜の契りを交わしたものの、「逢い続ければ人の噂にのぼります」とフラれた。こうした様々な感情が絡み合い、官位も捨て妻子と別れて仏道に入った。
阿弥陀仏の極楽浄土が西方にあることから「西行」を法号とした。不倫の果て…だけではないが、ベッキーちゃんも、「逢い続ければ人の噂にのぼります」といって別れたら、好感度は安泰だったのだが、後悔しているのか、それとも愛を結実するのか、人生は流転、まさに一寸先は闇。かの瀬戸内寂聴も不倫の末、夫と3歳の長女を置いて駆け落ちした。
不倫相手は夫の教え子であった。その事で父から絶縁を言い渡された。今から70年前であり、当時は女性の不倫など言語道断である。彼女が出家したのは正式に離婚して20年以上も経ってのことで、当初は修道女を志すも、乳児を置いて男と逐電した過去の行状を理由に教会から拒否された。多くの寺院にも拒否されたが、今東光が師僧となり、出家得度する。
ちなみに夫の教え子との関係はすぐに終焉し、男は後に事業に失敗して自殺をした。「駆け落ち」、「逃避行」などとロマン溢れる話は過去にいくらでもあった。許されない愛を貫く方法はそれしかなかった時代である。現在のように「不倫してま~す」とヌケヌケと言えない時代の秘めたる想いが断ち切れず、すべてを投げ打って見知らぬ土地に旅立つ。
恋の魔力とでも言っておこう。さて、恒例の新成人を対象とした調査において、若者の恋愛離れを示すデータが発表された。小町のいう花の色も移りにけりな、も分かるが、世の中も移りにけりな、を実感する。過去と比べて最も変化が大きかった質問の一つが、「交際相手が欲しい」と答えた新成人は、2000年には男性が91.6%、女性が88.5%であった。
ところが今年は男性が63.8%、女性が64.2%と、全体の3分の2を割り込んでいる。実際に交際相手がいる人は、20年前の1996年には男女ともに50.0%だったが、今年は26.2%と、なんと半分にまで落ち込んでいる。さらに、昨年の内閣府が発表した2014年度の調査による、20~30代で未婚・恋人のいない人に、「恋人が欲しくない理由」を聞いたところ、多かったのは、
1.恋愛が面倒…46.2%
2.自分の趣味に力を入れたい…45.1%
3.仕事や勉強に力を入れたい…32.9%
この数字は正直、"唖然"であった。多くの人がこう考えるようになった背景には様々な理由が考えられるが、教育評論家の尾木直樹氏は、「LINEなどSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の普及で、全てがバーチャルになってしまい、若者の精神的な成熟だけでなく、身体的、性的な成熟も遅れている」と分析。言わんとする意味を考えた。
何事も便利で手軽なバーチャル体験が、実体験不足と重なり、それが成熟の遅れに起因していると言いたいのだろう。すべてを鵜呑みにするわけではないが、あり得る意見であろう。確かに、手軽に事を収めることに慣れると、人間は知らず知らず、だんだんと横着になって行く。数カ月前なら何とかやれていた事が、今はかったるい、やる気がしないとあらば要注意。
情報セキュリティー会社「デジタルアーツ」が昨年実施した調査によると、女子高校生の一日あたりの携帯電話やスマホの使用時間は平均5.5時間で、そのうち6.8%は1日15時間以上スマホなどを使用しているという。この数字は起きている時間のほとんどを携帯・スマホに使っていることになる。これについて尾木氏は、以下のような指摘をする。
「SNSで常につながっていることで行動が丸見えになってしまい、お互いの行動をしばるなど友達が信頼できなくなってしまう」そうだ。これの意味は、実例を示してもらわないと分かりづらい。そんな中、最後に信頼できるのは自分の親ということで、親との距離が縮まり、若者の自立が遅れているという。つまり、明け透けだから信頼できないというのか?
こうした現象を、「親(おや)ラブ族」と名付けたのが、『恋愛しない若者たち』の著者でマーケティングライターの牛窪恵さん。「親ラブ族」などろ、取ってつけたようだが、牛窪さんによると、「昔は親が干渉しすぎで、子どもが反発して自立したが、今はむしろ親子の距離が近づいて休日に一緒に出かけたり、過ごしたりする仲良し親子が増えている」という。
反発=自立というのは分かる。反発は頼れない、頼りたくないということだから、自然と自立につながる。仲良し親子はいいとしても、それが恋愛の障害になってはダメだろう。親が子に絶対に教えられないのが、恋愛とセックスだから。と、いいたいが、こういう女性の存在には驚いた。人のことは聞かなければ分らないことが多いが、聞いてビックリもある。
うち今父親とヤってるわwww
やばい?
保育園の時母親と離婚して高校生の頃
お小遣いやるからヤらせろって感じ始まって
今ではお金くれるからヤらせてる感じwww
隠すこともなく、あっけらかんである。お金はおそらく嘘であろう。21歳の父子家庭女性だが、これが彼女と父親の日常である。彼氏はめんどいから、「いらん」と言ったが、親父が彼氏代わりなら手っ取り早い代用品だ。これこそ正真正銘の「親父ラブ」。人間は精神的な原因が、社会環境にもさまざま影響を及ぼしかねないが、ありとあらゆる影響を受けるのだろう。
今の若者たちは不況の中で育ってきたため、望むと望まざるとにかかわらず、非正規雇用で働く人が増えている。牛窪さんによれば、「非正規雇用や年収が低い男性は『どうせ自分なんか』と自己肯定感が低く、自分から女性に声をかけようとしない」のだという。調べでは、非正規雇用の約85%の男性が、「女の子から告白してくれれば」と言っているという。
ようするに、自信がないと言うだけではなく、いざ付き合うことになったとしても、非正規であるとか、実はバイトであるとかを知られるのがカッコワルイということか。「俺は仕事は土方だけど」と、物怖じせずに言えた奴らにくらべて、プライドが強い代わりに傷つきやすいんだろう。根底は子どもに高望みをした親の期待の成れの果てではないのか?
親の期待に応えられなかったことで、自信を失ったと考える。つまり、親の子の自己肯定感を奪ってしまったのだろう。高卒でバイトの25歳と、大卒でバイトの25歳では、自尊心や自己肯定感の差は大きいと察する。実際にデータ(2011年内閣府)を見てみると、20代で非正規雇用の男性は、正社員の男性に比べて既婚者や、恋人がいる人が圧倒的に少ない。
20代男性
<既婚>
正社員…25.5%
非正規雇用…4.1%
<既婚>
正社員…25.5%
非正規雇用…4.1%
<恋人あり>
正社員…33.5%
非正規雇用…16.4%
正社員…33.5%
非正規雇用…16.4%
<恋人なし>
正社員…27.4%
非正規雇用…38.5%
正社員…27.4%
非正規雇用…38.5%
<交際経験なし>
正社員…13.6%
非正規雇用…41.0%
正社員…13.6%
非正規雇用…41.0%
また、男性は年収が少ないほど、結婚している人の割合が少なくなり、逆に交際経験のない人の割合が増えているという。この数字から独断に分析するに、昨今の男は「男」という本体を売れないのではないか?「色男、金と力はなきにけり」と言ったもので、地位うあ金がなくてもガッツがあれば男は間違いなくモテる。金がないし、非正規だし、という弱気がダメだ。
近年の現状について、少子化ジャーナリストの白河桃子さんは、「女性は出産を考えると、ある程度収入のある人と結婚したいと考え、相手に完璧さを求めるため、恋愛や結婚に慎重になる」などと言うが、女が打算的なのは昔も今も変わらない。声を大にして言うなら、男が腑抜けで脆弱なんだよ。金はなくても体でぶち当たって、女を手なずける気概がない。
要は惚れさせればいいのよ。周囲や情報に影響されず、どんどん、ぐいぐいと女に迫ればいいのに、自信のない男は口説く前から弱気になる。「お金がなくても素敵~!」って言わせる男らしさがない男は、手コキの屁コキ野郎だ。さっさといただくものはいただき、愛だの結婚だのは、後のことだ。打算的な女は小町の時代にもいたし、今に始まったことではないね。
恋人が欲しくないという若者が多い一方で、実は、「結婚したい」と答えている人は20代、30代で77.7%もいる。「7」並びのフィーバーだ(古いか?)。結婚願望自体は決して低くないし、安心して仕事や子育てができる環境があれば、「何があっても大丈夫」というのは保守的分析家の考えで、そうではなくて、一人は食えなくとも二人は食えるという時代に比べればマシだろ。
自信がないから御託を並べて、所詮は自分の消極性を自己肯定してるのではないのか?すべては自信のなさから派生したものと考える。男は一に自信、二に自信、三、四も五、六も自信だろうが、ボクちゃんに自信をつけられない家庭教育、家庭環境ではと邪推する。非正規であっても非性器じゃないんだし、積極的に恋愛を!カネはなくともキンがある。
今日は、ちとテンション高い!その理由は、若者が恋愛に尻ごみするのが信じられない、情けないからだ。異性はいいぞ、異性は面白いぞ、異性は謎だぞ、異性は楽しいぞ、異性は必要だぞ、こんなこと言わんでも分かれよ。坂口安吾の『恋愛論』末尾の言葉も思い出す。「恋愛は、人生の花であります。いかに退屈であろうとも、この外に花はない。」