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「やる気」の正体

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中2の孫が部活でバスケを頑張っている、エアジョーダンのシューズを履いて。たまに試合を見に行き感想をいう。文句もいう。誉めたりもする。さまざまな学校の、さまざまなコーチが、さまざま激をいれるのを聞くが、納得いかないのはプレー中のミスに対して即座に注意を飛ばすコーチって何?終ったプレーは戻らないのに、コーチはネガティブ過ぎる。

プレー直後に文句を言うって、オカシクないか?いや、絶対オカシイ、止めるべきだろ。パスミス、ドリブルミス、相手にボールをはたかれたり、奪われたりの直後、そのミスを叱って何の意味があるのか?何のプラスになるのか?である。タイムを取って言うならともかく、試合が流れているなかで、1~2秒前のミスに声を荒げて、選手の耳に入るのだろうか?

失敗を咎められて萎縮するだけでは?選手に悔いはあるが、プレーの不満に怒るコーチの声がミスをした選手に何のプラスをもたらせるものがあると思えない。怒鳴るコーチにとって意味があるのか?それともただのイライラか?「ミス直後に怒鳴ってるのは何で?」と、一度聞いてみたい気もする。素敵な言葉が聞ければいいが、うるさい保護者と思われるか?

「奇跡のレッスン~世界の最強コーチと子どもたち~」で中学生を指導に来日した元NBA選手のマグジー・ボーグスも、プレー中に大きな声を出すが、絶対にネガティブな事は言わない。今、しでかしたミスに対して声を発するなどない。いいプレーをしたときに、「オーケー、グッジョブ!」などと誉めて選手の気持ちを高揚させ、やる気を引き出させるのが分かる。

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「オカシイ」事が本当にオカシイなら、オカシイはよくないことである。が、オカシイとか、オカシクないとかに関わらず、「つい怒鳴るのは性分だから」と、監督時代の星野仙一は言った。性分だからいいという訳でないくらい分かるだろう。よくないことか、いいことか、を考えてマネージメントをすべきで、良くない性分を改めない星野はダメ上司の典型である。

上司の良くない性格が部下を殺していいのか?人間は生身なもので、やる気がプレーや、学業や、仕事に影響する。科学的に分析すると、人間がやる気を失っているとき、それがもとで憂鬱なとき、脳内の「ノルアドレナリン」という物質が減っているという。「ノルアドレナリン」とは、ストレス・ホルモンの一つで、注意と衝動性が制御されている生物の脳に影響する。

アドレナリンはよく耳にするがノルアドレナリンとは違う。アドレナリンは、脳の視床下部が身体の危機を感知したりすると、その指令が交感神経を経て副腎に伝わり、副腎髄質から分泌される物質。一方、ノルアドレナリンは脳内と交感神経の末端から分泌され、主に脳の働きに強い影響を与えている物質。判り易くいうと、神経のリレーを滑らかにする役割を果たす。

「ノルアドレナリン」は、やる気十分のときには次々と脳神経に作用し、多くの神経を奮い立たせる。まさに脳のバイアグラである。ところが、何かのはずみで「ノルアドレナリン」が減ってしまうと、やる気が損なわれる。精神科医で元長崎大学教授の高橋良医師は、「これが進むと脳が病的変化を起こし、取り返しがつかなくなる」。と不気味な言い方をするのだ。

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症状の出方はいろいろだが、世の中がつまらない、食事はするが、それ以外のことに億劫になり、新しいことを進んでやろうなどはまったくない。日常のことさえも次第に面倒になって、心の中では「やらなきゃいけない」と分かっているのに、やれなくて悩む。あげくは「うつ病」と診断されて通院、あるいは入院となる。ある48歳の会社員の臨床例を以下記す。

尿中の「ノルアドレナリン」量は、入院当時、一日当たり34.1マイクログラムあったが、一週間後には28.6マイクログラムまで下がった。ところが、抗うつ剤を飲むと5周目には54.4マイクログラム、7週目には58.9マイクログラムまで増え、やる気を回復し治療は全快となった。この抗うつ剤というのは、正常な人には効き目がなく、逆に眠くなってしまう。

「なぜだか理由はわかっていないんですが、ノルアドレナリンがふつう量まで増えると、抗うつ剤はそれまでとは逆に、むしろノルアドレナリンの働きを抑える側に回るのではないか」とある医師はいう。つまり、正常人に抗うつ剤を飲ませてムチで打ってやる気を高めようとしてもダメということになる。なるほど、そう簡単には問屋がおろしてくれないようだ。

別の医師はいう。「それは抗うつ剤に限りません。特訓だからと無理強いさせたりが行き過ぎると、人は恐怖心と不安から、逆効果になるんです」。部下や生徒や子どもに「やる気」を起こさせるメカニズムは解明するために多くの、あらゆる動物実験などが行われている。東京農大ではこのような研究が行われた。オンドリC9号は、大学内8番鳥小屋の王様である。

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C9号はヒナの頃から仲間を突きつけ、けとばし、け倒して王位を獲得した。C9号はよう威張る。首を高く上げ、首すじの毛を逆立てると、近くにいるニワトリは首を下げてC9号に道をゆずる。飛び上がって逃げるのもいる。気にくわない相手には激しくつついて追い払う。蹴飛ばす。エサを食べる順序、砂場を使う時間、止り木の位置、すべてC9号に優先権がある。

なぜ威張る?「自分の優位を相手に示し、認めさせるためにC9号は威張る」と鳥小屋の研究主任大場助教授はいう。自分の優位を誇示するため、服従させるために威張るのは人間と何ら変わらない。威張るほどの何もないのに、自身の優越感を満たしたいがために威張るのもいる。大企業・中小企業40社の威張られる側の部下の心を調査した学者の研究がある。

上記の208人で年齢は22歳から50歳だが、大半は30代の半ばだから威張っている対象は40歳代の課長クラス。結果、分かったことは上役の80%はザックバランでないと指摘され、73%は自分の考えに固執し過ぎ、71%は地位を意識し過ぎという結果だった。仕事熱心な部下ほど威張る上司を嫌うことも分かった。仕事ができる人間は、会社を仕事の場と考えている。

だから威張り腐っている上司は不愉快極まりないのである。また、仕事より職場の仲間と和気あいあい仲よくが第一という人間関係重視派は、「威張りたい奴は威張らせておけ、そんなことなど気にしない」などと考える。威張り方、威張られ方、人の心のありようは種々さまざま。ニワトリにもいろいろな威張り方があり、本当に強いのはあまり威張らないという。

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威張らなくても王様が近づくだけで他のトリたちは脇へよけるという。このように誰もが認めて一目置いているような真の強者なら、威張ることなくとも序列と平和は保たれる。力もない、誰も認めてないのに、威張る人間は恥知らずだが、本人が気づいてないところが哀れである。星野の例を挙げたが、監督やコーチは何も威張らなくとも選手から見れば偉い様だ。

選手を叩いたり、どついたり、暴言吐いたりするような監督はどうかしてるし、どうかしてるのが「性格だ!」というなら、性格がイカレテるんだろう。208人の威張りの調査で判明したのは、「部下にやる気をおこさせる3つの原則」であった。その1、部下に仕事をまかせる。これは、やる気のあるグループの58%が、まかされる事でやる気になったと答えた。

やる気のないグループの66%は、「仕事をまかされないからやる気でない」と答えている。原則2は、部下の意見をよく聞くで、やる気のないグループの大半が、部下の意見をよく聞かない上司に仕えていた。原則3は、上司はゆったりした態度でいること。こせこせ、口うるさい、喜怒哀楽が激しい=気分屋などの上司はもっともやる気が削がれるという結果である。

これは「親」に置き換えてもいいのではないか。タイムリーでいうなら、ジャニーズ事務所のメリーにも該当する。芸能事務所のババーが、そんなに偉いのか、何をえらそうに威張ってるんだと市民感情的には思うが、芸能事務所の論理は、働いてもらっている、仕事をしてもらっているではなく、仕事をさせてやっている、文句を言うならクビ!のようだ。

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自由に事務所を変わることもできない、強力な縛りがあり、雇用側の強さが甚大なのも特筆すべきこと。事務所の社員が固定することでカルテル維持ができるなど、産業形態的には後進的も甚だしいが、辞めたらただじゃ置かんぞという仕打ちを前例で見せることで、後進の歯止めをかけている。組を辞めるなら指一本もってこいのヤクザ世界に似た恫喝を感じる。

「やる気」は上役の影響も大きい。やる気をなくし、憂うつな顔した部下の大半の責任は上役にある。部下の脳内ノルアドレナリンを減らさぬよう、上役はいろいろ工夫しなければならない。中居ら造反組のノルアドレナリンは、大分減ってるような、浮かぬ顔であった。以前のようなSMAPにはもう戻れないだろうな。解体した方が4人のために思える。

それにしても、SMAPファンの行動力。解散騒動が起こるや否、ネットでは「世界に一つだけの花」(2003年、約260万枚)を購入してトリプルミリオンを達成しようという運動がネット上で拡散、CDショップやアマゾンでは、SMAPのほかのCDシングルやDVDも売り切れ、売り上げランキングの上位にSMAPの曲が並び、彼らのファンの強靭さを見せつけた。

さらに驚くは、ファンの多くがジャニーズ事務所に対して不信感を抱いており、ネット上では、独裁的老害メリー喜多川氏への解任要求署名運動が行われている。法的には何の拘束力もなく、メリー女史が動じることはないだろうが、購買運動にも増して、SMAPファンの強い結束力を感じる。これほど力強く、「やる気」まんまんファンというのもある意味凄い。

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