♪ あんまりいそいでこっつんこ ありさんとありさんとこっつんこ
あっちいって ちょんちょん こっちきてちょん
あっちいって ちょんちょん こっちきてちょん
アリの歩くスピードで、一年間歩き続けると、弥次さん喜多さんではないが、東京・日本橋からどこまで進めるか?なんと、博多(東京~博多=1064km)を越えるのだから凄い。詳細に言うなら、アリ(クロヤマアリ)の歩くスピードは秒速約5.1cm、走るスピード(アリだって走る)は、秒速13.4cmという計測がなされている。この速度で1時間駆けて疲れないのか?
機械ならともかく、生物という有機体はエネルギー消費で疲労するようだ。が、アリが疲れてひとやすみなんかしていては、「働きアリ」という名がすたれよう。よって、「働かないアリ」などアリとは言わない。と…そのような勝手な思い込みをしてはならない。その辺りを調べてみると、アリにも人間社会と同じに、「2:6:2」の法則が存在するというのである。
「2:6:2」法則とは、集団で何かの活動(キャンプ、奉仕作業など)をする場合、2割の人が率先してリーダーシップを発揮し、6割の人がそのリーダーシップに引っぱられ、2割の人がサボる。という傾向から生まれた有名な法則である。スポーツ界でも、大金かけてスタープレイヤーを集めてみてもも、ズバ抜けて強いチームができるわけではない、というのは周知の事実。
ちなみにメジャーリーグ球団の年棒総額を見ると(2014年度)、ドジャースが2億7022万6335ドル(約321億6000万円)で2年連続首位、ヤンキースが2億1871万3571ドル(約260億円)で位。最下位のアストロズが 6913万9200ドル(約82億2900万円)となっている。ドジャース、ヤンキースは強いチームだが、常勝というわけではない。読売巨人軍しかりである。
Jリーグでいえば、最低年棒チームのサンフレッチェが優勝した。これは高年棒のスター選手といえども、ふつうの結果しか出せない人もいれば、パッとしない人がいたりする。 彼らは決して怠けているのではないし、働いて結果を出したくても、そうも行かないのが人間である。これはアリにだっていえる。働かないアリは怠けていない、働きたくても働けないのだ。
どういうことか?アリの社会にだって働きすぎて過労死もあるというから驚かされる。つかり、働かないアリは、働かないという役目を請け負うことで、アリの組織を存続させるために寄与しているという。よく働くアリが過労死するように、みながみな頑張って過労死してしまったら、組織はそこで崩壊してしまう。したがって、働かないアリも存在せねばならない。
アリという個体では、それぞれ反応に対する閾値(いきち)を持ち、その値がバラバラであるというのが、アリの研究で分かっている。「閾値」とは、特定の作用因子が生物体に対し、ある反応を引き起こすのに必要な最小あるいは最大の値のこと。判り易くいえば、ある刺激に対して行動を起こすのに、必要な刺激量の限界値のことだと考えれいい。
つまり、部屋の汚れに関わらずすぐ掃除をする人もいれば、部屋が少し汚くなったら掃除をする人もいる。さらにはゴミ屋敷状態でもへっちゃらな人間もいる。これらは人による行動のズレであり、アリの世界ではこのズレこそが社会を成立させているという仮説が立てられている。人間の場合、こういった閾値が人間社会を存続させる理由とはならない。
子どもの頃にアリの巣を壊して、プラスチックケースにたくさんのアリや卵などを入れてアリを飼うのが好きだった。飼うというのより観察であり、アリの巣が透明なケースごしにどんどん作られていくのが見えて面白かった。今の時代にあるどんなゲームよりも面白い自然の営み、法則である。まあそうはいうが、自分が今の時代の子どもなら必死でゲームをやってるかも。
確かに、働かないアリはいた。他の用事なのか何なのか、働くアリとは違って動かない。それを友だちに、「このアリみてみて、ズルいアリだよ~」などと言ったりしたが、熱心に観察を続けていたら今は生物学博士になっていたかも…。閾値をみるために、よく働くエリートアリだけを一カ所に集め、新たなアリの組織を作ってみると必ず働かないアリが出てくるという。
同じ事を何度やっても、時間が経つにつれて自然に、2:6:2の比率でアリは仕事を分担するようになるという。「今日はお前は有給とってよし」、と誰が決めるのではないから、こうしたアリの自然分担は、どういう根拠でなされているのか分らない。アリが自発的に自覚のもとにやって、それが一つのチーム、組織として自然なバランスを生んでいるのだ。
サボりたいからサボっているではなく、公益性を考えて休息がなんとも不思議。"働かないアリの存在意義"とでもいうのか、アリとて働けば疲れ、過労で動けなくなることもあるといい、だから、「働かないアリ」は、「働くアリ」が疲れて動けない状況になった時、あるいは、突発的に生まれる仕事、状況の急激な変化にそなえて「予備の労働力」として置いているというのだ…。
たかだかアリだが自然界の不思議さを知る上でいい教材だ。人間の「2:6:2」は教材というより、単に横着な人間がいるに過ぎない。仕切りたい人間もいれば、主体的行動より、主導者に引っ張られる人もいたり、それぞれが自己の利害でうごめいている。現実に、今さぼってるその理由が、一生懸命な人間がバテた時のために意図的にそうしてるのではない。
組織学からみれば、アリは凄いが人間はズルい生き物だし、「お前は一度アリになって勉強して来い!」と、いいたい気もする。社員教育の一環として数日間の自衛隊入隊が流行ったが、今もやっており、なぜか"ゆとり世代"には効果的という。会社に社員研修の基盤がないからと、自衛隊に丸投げするのもどうかと思うが、経営者はピリっとした社員を期待したい。
「学生気分の脱却を図るとともに、社会人としてのルールを学ぶこと」という企業側の意図で行われている。自衛隊研修は各駐屯地により異なるが、実際に自衛隊の駐屯地にいる隊員と同じような生活を送るという。研修は数日間の泊りがけで行われ、起床は5時~6時と早く、就寝はだいたい23時くらいのようだ。研修の具体的な内容としては以下に示す。
研修中は基本的に、隊員と同じようなキビキビとした行動が求められる。声が出ていない場合やルールを守れていない場合などは教官から指導がある。他にも隊員との懇親会や、教官などによる講話、駐屯地見学などもある。これらのカリキュラムは、自衛隊側の広報活動のひとつで、自衛隊研修を行っているが、企業側からの追加の研修内容の要望を受け付ける場合もあるという。
学生生活の長かった新入社員、学生気分が抜けないならその意識を変える効果もある。3月31日までは学生で、それで4月1日からいきなり社会人に切り替えろ、と言われても急には難しい。よって、社会人としての自己と、新しい環境および過去との関係を正しく認識する精神作用や今後の進路、方針などを定めるオリエンテーション的効果を狙う意味もないではない。
社会は雑多で矛盾が蔓延している。自分が思ったことの一つに、「なぜこんなこともできない人が出世するのか――」という上司。社会科学的分析によると、その理由は大きく3つある。1つは構造的に、「能力のない人が上にいく」ようになっている会社。特に中小企業ではそういう傾向が多い。社長の息子であるとか、近親であるとか、同族経営の問題点といえる。
次に、業種や業態にもよるが、営業職の場合、「有能な営業マン」を会社としてはできるだけ現場に置いておきたい。管理職で現場を離れると、会社の売り上げが落ちる懸念がある。よって、優秀な営業マンは、現場で仕事をしながら部下の管理も担うプレイングマネジャーに留まるケースが多い。プレーヤー時代は有能だが、役職ついてダメになる人間は存在する。
管理職と実践現場では仕事の守備範囲も変わる。営業マン時代は仕事上の悩みを聞いてくれたよき先輩だったが、上司になった途端、「俺に面倒を持ち込むなよ」となどと、"イヤな上司"になってしまったり…。我が身の事は一生懸命にやるが、部下を伸ばす、面倒見るの管理職は、利己的人間には向かないが、それでも成績に応じて出世をさせねばのジレンマ。
不思議といえば不思議だが、そもそも上司という人には変わった人が多い。誰にも真似できない、その人にしかできない、剣豪塚原卜伝ばりの無手勝流で結果を残す人がいる。ある有能な上司は、「食事どきにアポなしでお客さんの家に行って、飯を食わせてもらってこい」と命じる。信じられない命令だが、その上司は実際それで契約をとっていたという。
自分がそれで成功したから他の誰にもできるものではないが、自己の経験から良い事、正しいと思うことを信念とする上司は多く、斯くの上司は、営業マンとして優秀であれ、部下をマネジメントする能力に欠けている典型であろう。「名選手、必ずしも名コーチにあらず」は定説という。アリの社会にはおそらく上司・管理職はいないし、それで組織が動くなら素晴らしい。
「日本の驚異的な経済発展は、日本人の尽くす心の賜物」と、早大心理学の橋本仁司教授は言った。近年、その尽くす心が薄れている。尽くす心とは、忠誠心や報酬を度外視で働く気持ちであろう。「奉仕作業には率先して出た方がいい」と、よく親に言ったものだ。一銭にもならない事に一生懸命に汗出す姿を子どもにみせるのはいいこと、という持論であった。
「自然界で最も強いアリは何というアリか?」。かなり昔だが、こういうギャグを思いついた。正解はモハメド・アリ。あまり受けたという記憶はないが、今では通用しない。子どもはモハメド・アリを知るはずない。さて、ウォーキングを始めて4カ月目、結石はまだでない。「出ろ、この野郎!」と思ったところで効果ナシ。何気にアリも1年歩けば1000kmか…、ふと思った。