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共通一次・悲喜こもごも…

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私が高校を卒業する頃、大学入試センターによる『国公立大学共通一次試験』と言う試験制度がありました。共通一次試験とは、高等学校の5教科・国語、英語、数学、理科(物理、化学、生物、地学)、社会(政経、倫社、日本史、世界史、地理)から7科目を選択し、マークシートで解答を行う1000点満点の試験で、国公立大学を志望者は、全員この試験を受けなければなりません。

共通一次試験の後、受験生は志望大学で二次試験を受け、この両方の試験結果によって合否が決まりました。 この試験は、大学入試センターが試験の得点を本人に通達せず、本人が自己採点で自分の得点を推測し、その推測した得点を参考にして2次試験の願書を提出するのです。受験の翌日、予備校が発表する新聞発表の解答から、試験の解答の正誤を決めていくのです。

自分自身のテストゆえについつい甘い点をつけてしまいがちですが、実際の得点が自己採点より低いと、合格の可能性が落ちるばかりか、大学に願書を出していても二次試験を受ける前に不合格を告知され、これを『足切り』といいます。とにもかくにも、受験生は自身の正確な一次試験の得点を知ることなく、二次試験を受けに行かなければならなかったのです。

高校3年生の冬のある日、私は共通一次試験の会場である愛知県刈谷市の愛知教育大学のにいました。共通一次試験会場は受験生の家から適当な最寄りの大学が選ばれます。試験の最初の科目は「英語」です。答案用紙の第1ページ目に、試験の注意事項が記載されていますが、その裏側には印刷された第一問目の「発音問題」もうっすらと見えます。「始め!」 の合図がかかりました。

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こうして、受験会場数百箇所、受験者数二十数万人、そして受験生達本人にとっては丸一日数時間に及ぶ、世界でも例のない史上最大の大学入学試験が、日本全国同時刻、一斉に始まるのです。数学の試験ではちょっとした事件があり、それは受験生は勿論、全ての予備校、受験産業関係者、高校教師らを驚かせる一つの事件でした。それがアスタリク「*」です。

このアスタリクは共通一次試験でたった一度もつかわれたことがなく、予備校教師、高校教師達は「今後ともアスタリクが使われることはない」、と断言していました。ところがこの年、数学の線形代数学の試験で、初めて「アスタリク」が導入されたのです。何度計算をし直しても解答にアスタリクが出てくることに、私を含む多くの受験生パニックに陥ったハズです。

私が必死で解答をやり直していると、試験官が私の解答用紙を覗きこみ、『ふう』 とため息をつき、(困ったもんだ)と言わんばかりに、首を振りながら後方に歩いて行きました。この何気ない試験官の振る舞いに、私はさらに動揺に陥ったのです。理系受験生に とって、数学はまさに得点を稼ぐドル箱であり、満点の200点を獲得することは予定の作戦なのです。

が、何度も消しゴムでマークシートの解答を消したり、必死で取り組みましたが、この段階で私は冷静さを失い、この一問に必要以上に時間を費やし、ドル箱数学で惨敗を喫したのです。この一件は大学入試センターが、「アスタリクは使われない」、との不文律を打ち破る試みであったことは言うに及ばず。さらに試験官の振る舞いにも動揺をきたしたのです。「私は言いたい!」

「何故私の受験の年にアスタリクを実施するんだ~!」

「試験官、お前だ~!お前は試験を公平に実施するための審判だろうが!受験生を不要に動揺させてどうする!お前だ!お前が俺の大切な大切な得点を奪いとったのだ。断じて許さん!」

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もう既に10年も昔の話です。今の私はあの頃の受験生の日々を懐かしく思い浮かべ ながら…、浮かべながら…、しかし、私は決して許さない!あの試験官を。昼休みが終わり、午後の試験は、国語、社会、理科。選択科目として社会では、「倫社」と「日本史」、理科では「物理」と「化学」を選択しました。そして私にとっても「悪夢の共通一次試験」は、理科の試験でした。

私にとっては全般的に不調の共通一次試験でしたが、最後の「理科」の試験で、「やめ!」の号令がかかった時は精魂付き果てぐったりしていました。「これ以後、答案用紙に一切手を触れてはなりません。解答用紙が全て回収された後も、許可があるまで席を離れてはなりません」との試験官の声。ぐったりの私は受験生の基本中の基本をすっかり忘れていたのです。

それは氏名及び受験番号の記入確認です。私がそのことに気がついた時、足元からゆっくりと体全体に冷たいものが上がってくるのを感じました。茫然とした目でゆっくりと教壇の方を向くと、まさに試験官が答案用紙をまとめて教室から出ていくところでした。「待ってくれ!」と今にも叫ぼうとする意思と、「答案用紙を確認させてくれるわけがない」と理性が拮抗する。

それらが私を金縛りにさせたのです。 そして、その僅か数秒間に、試験官は教室を出て行ってしまいました。自分の一生がかかっている…。私は意を決し、試験場の総合センターとなっている教室のドアを開けるや否や、大声で叫びました。「すいません!私、理科の試験を、名前が、答案用紙で!」すると即座に、「落ち着きなさい!」との叱咤の返答がきました。 

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眼前に、スーツ姿の大きな体格の男の人が立ち、その人は熊のように大きい体をしており、なのに静かな目をしていました。「ゆっくり深呼吸して…」。私はその人に言われた通り、ゆっくりと深呼吸を5~6回繰り返しました。そして 、自分の気持ちがゆっくりと落ち着いてくるのを見計らったように、その人は少し微笑みながら私に尋ねたのでした。

「どうしたのですか?」

私は事情を説明し、対処を懇願しました。その人は、私の名前と受験 番号を聞くと、出来るだけのことはするといいました。「でもね、何も出来ない公算の方が大きいことを覚えておいて…」。受験生の私にその言葉の意味は分かりました。このようなことが認められるなら、『問3の(4)の解答を書き間違えたから直したい。』と言う無茶なお願いも通ることになります。

「はい、わかっています」。その言葉と御礼を言ってそこを出ました。受験の翌日、予備校発表の解答を見ながら自己採点をしました。理科の自己採点もしましたが、理科を零点にする勇気はありません。自己採点の結果を予備校のコンピュータに入力したところ、第一次志望の大学に高い合格率が示されました。私は迷った末にその大学に2次試験を出願を決め受験しました。

結果は、落ちました。2次試験の結果は決して良いとはいえませんでしたが、不合格の原因の特定はできません。理科が零点だったのか、数学の「アスタリク」なのか、あるいは2次試験だけが問題だったのか。この10年間、何度自分に問うたことでしょう。誰も答えてくれません。唯一答えは、大学入試センターのコンピュータデータ管理室の中に眠っているのです。

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そしてこのデータは、統計解析用の1データとしてのみ利用され、永遠に知ることはできないのです。入学試験というのは、自分が自分の得点を知る事ができない試験であり、その結果を、合格・不合格と言う形で知らされます。合格をした人、そうでない人、試験が終れば結果だけが残り、過程に意味はありません。試験制度に矛盾を感じますが、これが競争社会の原理です。

全ての結果には原因があります。もしこの世で一つ願いが叶うなら、許されるならば、結果は享受するのして、原因を知りたいのです。多くの時間と労力を費やした、自身の青春の結果を、知らされないのはあまりに不条理では?受験の神さま、どうか教えて下さい。「私はあの答案用紙に、名前と受験番号を記入していたのでしょうか?」(ある投稿記事を簡略・加筆・修正した)

一読した感想をいうなら、人間は自身の仕事における評価もさることながら、その評価に至った規準と言うのか、要因と言うのか、原因というのか、をもっとも知りたいと思う。昨日、広島カープの黒田博樹投手(40)がマツダスタジアムで契約更改交渉に臨み、2億円増の現役では最高年俸となる年俸6億円プラス出来高払いでサインした。黒田は記者会見でこう述べた。

「想像以上の評価をしてもらった。成績だけでなく、いろんな部分でチームにとってプラスになったと言ってもらった」。言うまでもない、彼のキャリアは7年間のメジャーリーグ成績も含めて素晴らしいといえる。多くの選手がお払い箱になって里帰りする中、黒田は高年棒を蹴って日本に帰ってきた唯一の選手である。カープファンならずとも世間はそれを「男気」と称した。

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良いにつけ、悪しきにつけ、他人の評価は気になるところだ。恋人から一方的に関係の終焉を告げられても、言われた側は、「なぜ?」ということになろう。が、自分はある先輩から聞いて納得した。「こちらの都合(理由)で女と別れるときには、アレコレ言うもんじゃない。君の何がいけないとか、気に入らないとか、そういうことはいわず、悪者になればいいんだよ。」

それが「男気」だと分かった。四季の移り変わりがあるように、愛の終焉は自然の摂理だが、どうせ別れるのなら、別れ際にゴチャゴチャ言ったところで相手にプラスにならないことは言わない方がいい。アレコレ言って、落ち込んで、気にする女だっている。「結果」の「原因」は必然だが、「飽きた」は絶対に不言であり、これほど人を傷つける言葉はないのだから。

「別れ上手は、恋愛上手」という。「君には自分よりもっと相応しい相手がいるよ」と、カッコつけるのもダメ。これほど理不尽な言葉はないよ。もっとも適切な言葉は、「勝手を言って悪いけど、他に好きな女ができたんだ」。このように言われれば成すすべなく、どうにも打つ手がない。女は罵るだろうが、罵られれることが「男気」なのだ。そして女は一人泣く。

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