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『TATTOO<刺青>あり』 ②

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結果を出して評価をもらえない会社はおそらくないはず。結果を出せなくてもトントン出世するのが同族会社。だから他の社員のやる気が削がれる。百害あって一利もないが、おバカな社長がバカ息子を可愛がる。経営者といってもダメ経営者もいるが、有能な経営者はいずれも革新的だ。日産自動車のカルロス・ゴーンは、窮地にあった会社を蘇らせたが、目標が明確だったからだ。

「会社の変革とは思考方法の変革だ」とゴーンはいう。社員一人ひとりのマインドが変われば、企業は大きく動くように、結局、企業の価値はマインドがもたらすもの。会社が安定してくると、現状維持との経営者は多いが、楽天の三木谷浩史は、「安定してくると変えたくなるんですよ。ビジネスは絶えず進化が必要で、現状維持では半年後、一年後はダメになると僕は考えています。」と言う。

彼のビジネスに対する信条は、①本質を見極める、②能動的に働く、③周りに流されない、④リスクを見極めるである。大学卒業後、日本興業銀行に入行した三木谷は、社費でハーバード大学留学、MBAを取得した後に銀行を退職。世話になったから骨を埋めるなどの「欠片」もない自由人。「『大企業を辞めたら地獄に落ちるぞ』といわれましたが、そんなリスクはあるとは思いませんでした」と、彼はいう。

楽天の三木谷もプロ野球のオーナー、オリックスの宮内義彦も球団を所有する。彼は1980年、45歳の若さで社長就任後、オリックスを世界的な金融サービス企業に育て上げた。長らくマネジメントをし、多くの中途採用に関わった経験でいえば、伸びる社員はすぐに分かるという。宮内曰く、「まず勉強する社員、そして仕事に意欲を持つ社員です。どこの大学など何の関係もありませんね。」

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とりわけ転職者にあっては、「悩み抜いて転職を決意して来てくれた社員でしょうか。そういう人は実力を発揮します。」だそうだ。「悩める人は弱い人」はマチガイ、「悩める人は強い人」、自分に厳しく、折れるまで頑張る人。人生は自の責任で切り開いて行くとの自覚と意欲と苦悩が達成感を生む。「悩める子羊」ではダメだ。大和龍門に、『悩める子羊、虎になれ』という著書があった。

そもそもなぜ「悩める子羊」なのかは聖書の記述による。聖書には、「迷う者・群れる者=羊(=人)」、「導く者=救世主・神」と言う構図の記述が多い。神の教えを知る心優しき動物は、子豚でも小虎でもライオンの子どもでもなく、何の抵抗もなく無惨にオオカミ(=悪の象徴)に食いちぎられる子羊でなければならなかった。子羊ちゃんのように、めぇめぇ泣き、悩む人は神が救うということか。

そこを理解していれば、そんな不満は口にすることもないし、目標に向かっていける。イノベーションを起こすこともできる。多くのサラリーマンの脱サラの理由が、"人に使われるのが嫌だから"であったが、それが本当にやりたいものであったかは別である。人に使われない商売は楽という考え方で成功した人がいるとは思えないが、自分は正しい、間違っていないの裏では、自己否定も必要であろう。

人間が自己否定をするから新たな価値を必死で求め、何かが生まれてくる。自分は若い頃は自己肯定ばかりだったが、確かにそれが行動を起こす理由であった。例えば、ナンパを否定する何かを見つけることはなかった。ただ、安易な結果や安易な目的は持たず、常にそのプロセスを楽しんだ。いつもいうように結果は附録である。自分なりにそこらのナンパ師とは一線を引いていた。

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だから声をかけてもナンパと思ったことはない。「これはナンパじゃないよ」と真顔でいい、相手が「じゃ、何なの?」といえば、「出会いだよ、出会い。声をかけなきゃ、出会いは起こらないだろ?だから、イイことだと思ってる」などと悪びれなかった。「そんなことして楽しいの?」と言われても、「知らない同士がいきなり楽しいなんてないし、打ち解けるから楽しいんだよ。だからそれを目指したい…」などと怯まない。

感性で口説くのではなく、論理で話すから、頭のよい女の方が自分には合っていた。感性で生きてるようなオツムの(ない)子は、ゴチャゴチャ言われても頭が疲れるんだろう。むいてないと悟っていた。だから、「お茶しませんか」などとお決まりの文句は言ったことがない。「今日は寒いね、お腹すいてない?食事って、一人でたべるより、誰かと一緒が美味しいよね」などと、相手の思考に訴える。

ナンパは感性に訴えるものだろうから、道行く人に問答を持ちかけるソクラテスであろう。ソクラテスは嫌われたが、それはソクラテスにユーモアがなかったからだ。彼は人に答を問うただけで、人を楽しませたいという気持ちはない。これでは嫌われても仕方がない。だから感性オンリー女には嫌われていいとした。感性だけで会話はできない、楽しくない男の性である。

自分は基本的に感性人間だが、感性の裏づけを探らんとの科学的思考が好きだ。人間の心や恋愛という感性も科学で解明される時代である。とはいえ、「何で人間は眠るんだろ?」の問いに「眠いからでしょ?」と答える女の感性は、少女のようで新鮮で「ハッ!」とさせられる。自分にないものに感動するのは、「面白い」と素直に思えるから、男に女性は魅力的である。

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「理屈っぽいバカ男は嫌い」という女性がいる。「感性バカ女は嫌いだ」と言って欲しいと願ってるようなものだし、言いはしないがこういう女性とはそれでオワリ。まず融和などあり得ない。「我以外皆師也」といった作家は、どれだけ多くのものを吸収したであろうか。自分と異なるものに吸い込まれるから、人は人に興味を抱く。「我以外皆興味也」が自分の信条である。だからか「声かけ人」になる。

ところで、『TATTOO<刺青>あり』 とは映画のタイトルだが、1979年にあった三菱銀行北畠支店の惨劇を描いたもので、井筒和幸がプロデューサーを務め、俳優もスタッフもピンク映画並のギャラに値切って参加してもらったと回想している。映画は金をかければいいということもないが、この映画の駄作ぶりは筆舌に尽くせない。アメリカの映画賞に「ゴールデンラズベリー賞」というのがある。

UCLAから映像製作・映画宣伝の道に進んだジョン・ウィルソンによって1981年に創設されたもので、「野次」を意味する「Razz」から命名された「Razzie Award」が正式な賞名だが、「Razz」のもうひとつの意味である「Raspberry」(木イチゴ)の実を模したトロフィーのデザインにより、「Golden Raspberry Award」とも呼ばれる。ようするに「くだらん」、「つまらん」映画に授与する賞である。

マネたりあんの日本のマスコミが2004年から「蛇いちご賞」を創設したが、単に真似るだけでジョーク度において信念がないからか、2011年を最後に消えてしまった。「ゴールデンラズベリー賞」と違って、受賞作品ならびに受賞者の発表のみで、受賞セレモニーが開催されることはない。単に話題づくりの中途半端さで、だから盛り上がらないし尻すぼみとなる。こんなことなら最初からするなである。

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そうはいっても、「ゴールデンラズベリー賞」に輝いた受賞者には、8mmフィルム缶の上に金色のラズベリーをかたどったトロフィが授与されるが、受け取りに来る人は滅多にいないという。いい物を選ぶのも難しいが、よくない物、クソ映画を選ぶのも実は難しい。単につまらない映画というよりは、「ある意味面白いが個性的すぎる作品」や「前評判が高すぎてがっかり感が強かった映画」などが選考される。

また、巨額の予算を投じたことで話題にはなったが、それに見合う面白さだったのか?そんな疑問がラジー賞候補となるケースも多い。もっとも、賞そのものがジョークであること。本気でサイテー映画を選ぶことは映画ファンとしても精神衛生上よろしくない。が、2004年度第25回で、最低作品賞『キャットウーマン』と、同作品の最低主演女優賞ハル・ベリーが授賞式に現れた。

ハル・ベリーは2002年度『チョコレート』で非白人以外で始めてのアカデミー主演女優賞に輝いた。ハルは『チョコレート』で受賞したオスカー像を左手に持参、右手にラジー像を持ち、「信じられない!私の人生でこの壇上にあがる日が来るなんて…皆本当にありがとう!感謝しなきゃいけない人たちが大勢いるわね」と、ウソ泣きをみせたハルは、アカデミー賞受賞した際の自身のスピーチのパロディ。

ハルの人柄、心の広さである。ハルは最後にこうスピーチを締めくくった。「ラジー賞受賞してここにいるなんて思いもしなかったわ。ここに来たいと望んでもいなかったけれど、ありがとう。私がまだ幼いとき、母は私にこう言ったの。『良き敗者になれない者は、立派な勝者になることはできない』と。神様、どうか二度とこの人達に会うことがありませんように!」。観客の喝采は鳴り止まない。

When I was a kid, my mother told me that if you could not be a good loser, then there's no way you could be a good winner.



なんと賢明な母であろうか。冷静であり、理性的である。こんな言葉を言える親ってそうそう居ないのでは?「good loser (よき敗者)」とは何をいうのか?「good winner(よき勝者)」とは?思うによき敗者とは、負けを怖れることなく挑戦し、敗れ去ったときに何をどう見据えるかができる人間であろう。勝者を妬んだり、負け惜しみをいったり、卑屈になるようではダメ。

よき勝者も同様に、人はそういう事を考えるから成長する。賢者と愚者の分別も時に応じ、場に応じて思考する。賢者になるのは大変だが、馬鹿になるのは避けられる。馬鹿もいろいろだが、本当の馬鹿とは、"自分以外の人間はみんな馬鹿と思ってる人間"である。これは救いようのない馬鹿であり、死ななければ直らない馬鹿である。馬鹿にならぬためには自分を見つめること。

馬鹿は自分が馬鹿だと気づいてない。大人になるということは"敗北すること"で、決して馬鹿になることではない。敗者=馬鹿ではないし、むしろ勝者に馬鹿がいる。「勝って驕らず、負けて腐らず」と、こういう言葉を教えている。勝って気が緩むのも人間だから、「兜の緒を締めよ」と戒めている。では負けたときにはどうする?「大人は敗北すること」とは、敗北を受け入れること。

敗北を受け流すこと。敗北を糧に繋げること。負ければ悔しいし、それは当然のこと。子どもはあまり敗北に拘らない。が、同じ子どもでも負けて悔しくて泣くような子ほど、真剣であろう。将棋の最高タイトルを獲った糸谷哲郎竜王は、小学一年生のときに、自分と指して負けて泣いたが、その泣き方は半端ではなかった。声を押し殺して、ドドーっと涙があふれるのに驚いた。

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勝ったときはこちらの王様を取って脱兎のごとく走り廻った。これは幼稚園のときであったが、まさに「勝って走り回り、負けて大泣き」の少年時代であった。アレくらいでないとプロになれない、強くなれないのだろう。幼稚園の頃から、将棋に命を賭けていたのである。一般的な子どもは、それほど負けに拘らないが、特別な子どもは負けることが耐えられないようだ。

『TATTOO<刺青>あり』 のモデル梅川昭美は三菱銀行内に押し入り、行員と警官の二人を射殺、人質をとって48時間籠城した。その後、警官と支店長を行内で射殺、女性行員を裸にしてバリケード代わりに並ばせるなど非道の限りをつくしたが、大阪府警察本部機動隊隊員に射殺された。借金返済のために猟銃持参で銀行に押し入った梅川は、窃盗等の常習犯だった。

1948年3月、広島県大竹市小方向村で生まれた梅川は、8歳時に父親が病気で働けなくなり、その後両親は離婚するが息子のために復縁するも、極貧の幼少時代であった。中学卒業後、広島工業大学高等学校へ進学した。この高校は自分の居住地の西隣にあり、現在はレベルアップしたが、当時は行くところのない生徒向けの高校だった。梅川はわずか1年で退学した。

その後大竹市内で建設作業員として働くも、バイクを盗んだことで会社を辞める。直後、辞めた会社社長宅に侵入し、留守番していた社長の義妹(21歳)をナイフで殺害、現金、預金通帳などを奪った。この時梅川はまだ15歳であった。逮捕後、「他の奴らはぬくぬくと暮らし、なんで俺だけが貧乏して苦しまないかん」と供述している。逮捕後、梅川は中等少年院に送られた。

イメージ 7広島少年鑑別所は、「同情、あわれみ、良心などの情性が欠如し、行動は反社会的、非論理的で罪に対する改悛の情が薄い。社会に放任することは極めて危険で、すでに病質的人格は根強く形成されており、容易には矯正不可」という鑑別結果を出すが、なぜか1年余で仮退院となる。梅川は父親の遠縁を頼って大阪へ行き、バーテン、飲食代取り立て人などをしながら生活した。
この時から三菱銀行襲撃までの15年間、梅川に警察沙汰はない。19歳の時に父親が他界、父親は生前知人に、「はよう死なんと、いまにアイツにひどい目に遭わされるわ」と嘆いていたという。梅川は父親の葬儀には出席していない。TATTOOあり…、いつ入れたのか、彼の右腕には「牡丹」、左肩に「龍」の刺青がある。そんな梅川は意外にも読書家だった。

フロイトやニーチェなどの思想書、ヒトラーの伝記も読むなど、自分を磨く努力は惜しまなかったようで、月々の本代もかなりのものだったようだ。30歳の誕生日を前にして、仲間に「オレもおふくろを心配させたらあかん齢や」と漏らすなど、母思いの一面が伺える。1977年2月、友人の1人に、「どうしても5000万円ほど欲しい。銀行強盗やるから手伝え」と持ちかけるも拒否される。

それから2年後の1979年1月26日午後14時30分、大阪市住吉区万代2丁目の三菱銀行(現:三菱東京UFJ銀行)北畠支店の駐車場に一台の車が停まった。車はダイハツのシャルマンVANである。車から1人の男が降りてきた。男はゴルフバッグを持ち、帽子をかぶり、顔には白マスク、そしてサングラスをかけている。その男が梅川昭美だった。


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