佐藤愛子の、「何かやるなら覚悟を持て!」ではないが、恋愛も結婚生活も独り者生活と同じように人は孤独である。二人生活といっても基本は孤独で、だからこそ一人前の人間だろう。孤独の中で得る「出会い」の喜び、「仕事」で体験する苦しみを誰かと分かつことはあれ最終的には自身が処理する。会社上司の不満を妻にいえども、上司に使われていない妻は聞き役でしかない。
夫や妻の不満を誰かに話そうが、ブログに晒そうが、所詮は一時の気晴らしであり、何の根本解決とはならない。心ある友人に苦悩の限りを話そうとも、相手が自分に何かができるわけではない。逆の立場でいうなら、いかなる苦しみを所有する相手に対し、自分が何ができ得るのかと同じこと。人が人に関わる限界というものがある。まして、それ以上を求めても施してもダメだ。
自分はかつて独身者の中に立ち入って、結婚を奨励したことがあった。何度かあったのは、最初の相手に縁結びをしとめることに寄与したからでもある。二度目はこんな風だった。彼をデパートに連れて行き、気に入った店員がいたら俺が声をかけてやるからと。そして、彼は気に入った店員を見つけ、自分は事情を話して閉店後に連れ出す約束をし、待ち合わせ場所に彼女は来た。
後は二人を茶店に押し込み、自分はその場を去った。残念ながら彼女はすぐに店を出たという。自分の頭になかったことは、彼は見知らぬ女性と抜け目なく会話ができる男ではなかったという前提が抜け落ちていた。会わせれば何とかなろうと軽く考えていたのは甘かった。「気に入られなかった」とはその後の彼の弁。感想を聞きたく自分は翌日彼女の売り場に行った。
「どうだった?気に入る相手じゃなかったのか?」。真摯で何の下心もないすべては友人を思う行動だったが、彼女は抜け抜けとこういった。「あなたの方がいいんだけど…」。想定外のことが起こるのも現実かで、然して驚くこともない。人間社会に、合う合わないがあるだけのこと。真の目的ではないにしろ行きがかり上でのこと。女を誘うのは紳士の礼であろう。
自慢話というより、これは一連の笑い話としてこの話は自身のストックに置いている。「しかし、よくそんなことができるよな?」とある奴はいう。「そんなこと」とは、友人のために女に声をかけることで、その後のことはフロックだから、咎められることではなかろう。仕事場で声をかけられて迷惑と思うかどうかはその女性によるもので、こちらにとっては契機である。
「厚かましい」と批判する者がいようが、厚かましいと思うか迷惑かは外野がいうことでもなし。彼女自身が判断すること。そういう気持ちがなければ行動は委縮する。つまり、迷惑ならその時点で止めればいいわけだ。行動は行動である。三島由紀夫の行動は、「肉体の思考」として誰も知るものではなく、迷惑といえば迷惑で、非常識、反常識というべき考え方であった。
「行動の美はあくまでも孤独に関係する」、「男の美は悲劇性にしかないのは確実…」こんな三島の言葉を時々復唱する。佐藤愛子は、「ああ面白かった」といって死にたいというが、屈託のないユニークな考えである。自分は悲劇的な事を為して死にたいとはおもわないので、佐藤のような境地に近づけたらと考える。「屈託のなさ」、「屈託なく過ごす」というのは理想である。
独身であれ結婚であれ、面白き人生こそが最上の人生であろう。yahooブログが12月15日で終焉といいながら、8月31日をもって投稿できないと知らせがあった。こちらの予定はこちらのもので、yahooがそうなら従うしかない。あくまで利用させてもらう身であり、文句をいうのは筋違い。12月までウロウロする予定だったが、そうだというなら「道連れ」してやろうのつもりでいる。
最後っ屁ではないが、投稿が増えたのも悔いのないようにである。男が議論好きなのは、「考えること」が好きだからで、感性重視の女にそれはない。哲学者という妙な職業に女性はいない。「何で男の人って理屈っぽいの?」と女性にいわれることは結構あったが、「理屈」というのは、「実践」の裏付けであらねばならない。さもなければ単なる屁理屈となろう。
「何でそんなにお喋りなんだ?」と女性に聞くようなことはしない。それぞれが自分で考えればいい事で、それすらしないで男に聞く女は、それを見てもお喋りである。自分は男だから、男の特徴としてはせっかちの部分もある。女性にもせっかちがいるらしく、佐藤愛子はせっかちであるのを自認している。まあ、自分がせっかちであるかないかくらいわかるだろう。
せっかちという衝動はどうして身につくのだろう。加えて自分は武骨である。気がのらないときは喋らない。文字は沢山書くが、2~3日喋らないでいると、声が上手く出せないことがある。声帯も使わぬと支障がでるのだろう。「下半身は使わないでいると使い物にならん」と知人がいうので、「まだ使いたいのか?」といっておくが、人のものだからこれとて余計なことか。